様々な期待にワクワク… 国内女子ツアー開幕戦を振り返る【原田香里のゴルフ未来会議】
今季開幕戦を制した岩井千怜(撮影:米山聡明)
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。いよいよJLPGAツアーが始まりました。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」では、岩井千怜さんが、西郷真央さんを振り切って優勝。昨年に続いて強さを見せています。
日本ではシーズン初戦ですが、岩井さんは双子の姉・明愛さんとともにすでに欧州女子ツアー「アラムコ・サウジレディースインターナショナル」、米国女子ツアー「ホンダLPGAタイランド」の2試合でプレーしています。日本では開幕戦ですが、決して久々の試合というわけではなく、十分に実戦でのカンのようなものを持って臨むことができたはずでしょう。
岩井ツインズだけではなく、西郷さんも今年、主に戦う米女子ツアーの「LPGAドライブオン選手権」と岩井ツインズと同じサウジの欧州ツアーに出場しており、準備は十分整っていたと思います。
千怜さんはダブルボギーもありましたが、パットをどこから打つかを考えるプレーの組み立てを徹底していた印象です。千怜さんの最終日コメントは「攻め続けた…」と言っていたと思うのですが、攻めるということはただピンの近くに寄せればよいというものではなく、バーディを取るためにはパットをどこから打つのがよいのか? を考えて攻める。
もちろん、どの選手もそのことは意識していると思います。今回、最終日に最終組で一緒にプレーしていた西郷さんも仁井優花さんも、わかっていたはずです。それでもうまくいかないことも多いのですが、千怜さんはしっかりセオリー通りにできていたのが印象的でした。昨年後半に活躍し、今年もいいプレーをするのだろうな、と感じられる選手が多かった開幕戦。仁井さんや天本ハルカさん、昨年6度目のプロテストに合格した高木優奈さんなど、初優勝が期待される選手も上位に入っていました。
最終組だった仁井さんのプレーはテレビでじっくり見ましたが、今季は優勝する姿が見られる気がしました。一方の高木さんはSNSに「『また来週頑張ります』って言えることが幸せ」と書いていましたが、ツアーで戦える喜びがしみじみと伝わってきます。
こんなふうに初優勝を狙う選手、昨年以上にステップアップしそうな選手などがたくさんいるツアーですが、ツアー復帰を決めた森田理香子さんのプレーも注目されていましたね。2013年には賞金女王タイトルまで手にした選手ですが、18年のシーズンを最後にツアーから離れており、6年ぶりの復帰を宣言。大会歴代優勝者でもあり、主催者推薦で出場していました。
ひさびさのツアーだというのに、持ち前の飛距離は衰えることなく、それを武器に予選を通過。しっかり36位タイに入っています。今週の「明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」にも出場するそうです。ツアーを離れた直後はゴルフがイヤになっていたと聞きますが、これまでゴルフを続けていたことが、本当に良かったと思います。
ゴルフは奥の深い生涯スポーツ。34歳になった今だからわかったこと、できることがいろいろあることに気付くのではないでしょうか。私たちプロゴルファーも、ツアーでプレーするだけでなく、ゴルフを通じていろいろなお仕事ができる可能性があります。レッスン、ウェアや用品の開発に携わる仕事など、さまざまな形でゴルフのすばらしさを伝えるには、これまでに積んできた色々な経験がムダになることはありません。
森田さんも、再び戻ってきたツアーでプレーすることによって、さらにその経験値を上げていくのではないでしょうか。もちろん、ツアーでの活躍にも期待したいところです。いずれにしても、シーズンが始まり。これからはほぼ毎週、みなさんと一緒に熱い戦いを楽しみにしたいですね。
■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部で腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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