WRC:トヨタ、昨年苦しんだメキシコで3台が好発進。ラトバラ「エンジン、足回りの進化を感じた」
2018年シーズン初のグラベル(未舗装路)ラリーとなるWRC世界ラリー選手権第3戦メキシコが3月8日に開幕。シェイクダウンとSS1が行われた競技初日、TOYOTA GAZOO Racing WRT(World Rally Team)はオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合2番手、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合4番手、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合5番手につけ全車がトップ5に入った。
トヨタはWRC復帰初年度となった昨年、摂氏30度近い気温と空気の薄い高地という環境の下でエンジンのクーリングに問題を抱え、ラリー期間中厳しい戦いを強いられた。
参戦2シーズン目を迎えたチームは2017年の教訓をもとにヤリスWRCの冷却系やエンジンに熱害対策を施したほか、事前にスペインで行ったグラベルテストでサスペンションにも改良を加えている。
そんななかで迎えた2018年のラリー・メキシコ。競技初日は現地9時からレオンのサービスパークから約17km離れた全長5.31kmのグラベルコースでシェイクダウンが行われ、トヨタの3名のドライバーはヤリスWRCの各部チェック、ならびにグラベルでのセッティング調整を進めた。
セッション途中、ラッピが右フロントサスペンションを損傷させるアクシデントがあったものの、3名のドライバーはそれぞれ9日から迎える本格的なグラベルラリーに向けた準備を整えている。
日が沈んでからの開催となったSS1はレオンの南東に位置する古都グアナファトで20時過ぎに競技がスタート。市街地とその地下に掘られたトンネルを利用した全長2.53kmのSSでは、タナクがトップから1.9秒差につけ総合2番手を確保。
またラトバラは総合4番手、ラッピも総合5番手につけたことでトヨタは3台全車が初日をトップ5以内で終え、翌日からの本格的なグラベルラリーを迎えることとなった。
■ラッピ「SSが始まる前に直してくれたチームに感謝」
「3人のドライバーが何も問題なく、そして良いタイムで最初のSSを走り終えたことをうれしく思う」と語るのは今シーズンからスポーティング・ディレクターに就任したカイ・リンドストローム。
「シェイクダウンは去年から続けてきた改善作業を仕上げ、データを確認することが主な目的だったが、それらは概ねうまくいったと考えている」
「メキシコのような特殊なコンディションでテストすることは通常できないため、ここでは他のラリー以上にシェイクダウンが重要になるんだ」
トヨタ勢最上位の総合2番手となったラッピは「シェイクダウンで走ったコースは実際のSSと共通点が多かったため、クルマのセットアップに関して良いフィードバックが得られた」とコメント。
また、チームメイトのラトバラも「クルマと自分自身のフィーリングを少しずつ改善していき、明日の午前と午後のステージで、それぞれどのセットアップが適しているのか理解することができた」と述べ、ヤリスWRCについては「1年前と比べるとエンジンは高地対策がきちんとなされ、足まわりも進化しておりクルマは別のレベルに達している」と評した。
一方、アクシデントに見舞われたラッピは「(シェイクダウンの)3本目の走行で露出してきたコンクリートの角にクルマが当たり、サスペンションを壊してしまった。もっと走りたかったが、SSが始まる前に直してくれたチームに感謝している」とコメント。
そして、迎えたSS1のセレモニアルスタートでは「信じられない程多くの人々が見守ってくれたことに驚いたよ!」と初日のハイライトを振り返った。
ラリー・メキシコの競技2日目は早朝からSS2〜10が行われる。今大会最長となる31.44kmのコース長を有するSS3、SS7の“エル・ショコラテ”を含む合計9SSの合計距離は155.15km。リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は389.59kmだ。
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