FAカップの歴史に残る名勝負が誕生…マンU対リヴァプールの死闘を総括
サッカーキング2024年3月18日(月)15時58分
マンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールが対戦した [写真]=Getty Images
FAカップの歴史に残るような名勝負が誕生した。17日に行われたFAカップ準々決勝のマンチェスター・ユナイテッド対リヴァプールは死闘となった。延長戦までもつれ、7ゴールが飛び交った伝統の一戦を制したのはホームのマンチェスター・ユナイテッドだった。
試合は点の取り合いとなった。マンチェスター・ユナイテッドがMFスコット・マクトミネイのゴールで先制すると、リヴァプールも日本代表MF遠藤航が揺らすが、オフサイドの判定で同点ゴールは認められない。それでも4冠を目指すリヴァプールはMFアレクシス・マック・アリスターとFWモハメド・サラーの得点で逆転に成功。だが、ホームのマンチェスター・ユナイテッドも意地を見せて途中出場のFWアントニーが87分に同点ゴール。これには「今季ここまで何もやっていなかったアントニーが決めた!」と『BBC』ラジオの実況も大興奮した。
試合は2-2のまま延長戦に突入し、互いに1点ずつ決めたあと、PK戦が濃厚となった延長戦の後半追加タイム、MFアマド・ディアロが劇的な決勝点を決めた。21歳の若武者はユニフォームを脱いで2枚目のイエローカードで退場になりながらも、値千金のゴールで激闘に終止符を打った。試合後、英国メディアは「FAカップの新たなクラシック」「最高の名勝負」と激闘を称える声であふれかえっている。
英紙『The Telegraph』はこの一戦を「記憶にある限りではFAカップ史上最高の試合」と称えた。「7ゴール、123分間のヒステリー、驚くほど場違いな1つの退場。FAカップ史上、最高の名勝負の候補に挙げられるだけの要素が詰まっていた。両クラブの伝統、対照的な立場の両指揮官、終わりなきシーソーゲーム。この試合は瞬時にして名作となった」
元リヴァプールのジェイミー・キャラガー氏はSNSにて「信じられないゲーム」と称賛を送った上で「ユナイテッドにとっては素晴らしい結果だが、リヴァプールは自分たちの責任だ」とゲームを支配しながら敗れた古巣にちくり。「3得点したとはいえ、それでも攻撃陣は不甲斐なかった。とはいえ、今季ここまで活躍してきた選手たちを批判できない」と感想を綴ったあと「フットボール、なんてこった!」と元マンチェスター・ユナイテッドの名将アレックス・ファーガソン氏の名言を借りて締めくくった。
さらにキャラガー氏は、マンチェスター・ユナイテッドOBのリオ・ファーディナンド氏の「ウェンブリー!」という歓喜のポストにも反応。「落ち着けよ。決勝に勝ち上がってもマンチェスター・シティが余裕で君たちを倒す。そして来季もETH(テン・ハフ)が監督を務める。これは君が思っているような勝利じゃないんだ!」
試合を中継した英国『ITV』に出演した元マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーン氏は「今日は狂っていた」と熱戦を振り返った。「ユナイテッドは勝利を手繰り寄せたが、リヴァプールが負ける方法を見出したと言ったほうが正しい。ユナイテッドのギャンブルが功を奏し、リヴァプールはだらしなかった。でもリヴァプールはすぐに立ち直る。クロップは偉大な監督で、代表ウィーク後にチームを立て直すので問題ないだろう」
番組の司会者が「ときには試合の分析などせず、ただただ楽しむべきかもしれませんね」と問いかけると、並んで座っていた3名の解説者たちは一斉にうなずいた。そして元リヴァプールのグレアム・スーネス氏は「この試合に理屈はないね」と総括した。
悩めるマンチェスター・ユナイテッドだが、エリック・テン・ハフ監督はこの勝利が「転機」になるかもしれないと語った。「そうかもしれないが、これまで多くの機会を逃してきた。今季の第4節のアーセナル戦では、87分にPKを貰えるべきだった。さらにガルナチョのゴールが認められず、本来は無効になるはずのゴールを決められて失点した。その時のアーセナルのように、どのチームにも幸運の試合があるものだが、我々は一度もなかった。今回がそれかもしれない。この勝利がチームにエネルギーと自信を与える。凄いことができるんだと。こうやってリヴァプールに勝てるなら、どんな相手にも勝てるはずだ」
マンチェスター・ユナイテッドファンで知られるボクシングのWBCヘビー級王者タイソン・フューリー氏も、愛するチームの勝利を大いに満喫した。試合を観戦にきていた世界王者は、試合前に予想を聞かれて「僕はユナイテッドファンなのでユナイテッドの勝利さ。3-2の名勝負になる」と語っていたが、ほぼその通り展開になったのだ!
対照的に喜べなかったのはリヴァプールのユルゲン・クロップ監督だ。今季リヴァプールが先制した試合で負けるのは初めてのこと。ケガ人が続出するなか、4冠を目指して奮闘してきたが、ゲームを優勢に進めながら勝ち切れずに宿敵に後塵を拝した。試合後にノルウェーのTV局にて「普段はインテンシティが特徴ですが、どうして延長戦は難しかったのですか?」とレポーターに聞かれると、不満を露わにしてまくし立てた。「ちょっと間抜けな質問に思うね。『なぜ相手の方が体力があるのか?』と聞くのは、我々の試合を一度も見ていない人だけだ。最近、我々は何試合こなしてきただろうか。ユナイテッドは何試合なんだい。でも、これがスポーツさ。この質問は残念だね」
それでもインタビュアーが質問を続けようとすると、クロップは「君は良い状態にないようだし、私も君に付き合う我慢強さはない」と言い放ち、途中でインタビューを打ち切ってその場を後にした。
敗れたリヴァプールは4冠の夢を絶たれたが、まだ3冠を目指せる位置にいる。一方で勝利したマンチェスター・ユナイテッドは、次はウェンブリー開催となるFAカップ準決勝で2部のコヴェントリーと対戦することが決まった。勝てば決勝でマンチェスター・シティ対チェルシーの勝者と対戦する。果たして世界最古のカップ戦のトロフィーを手にするのはどのチームなのか?
(記事/Footmedia)
【ハイライト動画】マンチェスター・ユナイテッドvsリヴァプール
試合は点の取り合いとなった。マンチェスター・ユナイテッドがMFスコット・マクトミネイのゴールで先制すると、リヴァプールも日本代表MF遠藤航が揺らすが、オフサイドの判定で同点ゴールは認められない。それでも4冠を目指すリヴァプールはMFアレクシス・マック・アリスターとFWモハメド・サラーの得点で逆転に成功。だが、ホームのマンチェスター・ユナイテッドも意地を見せて途中出場のFWアントニーが87分に同点ゴール。これには「今季ここまで何もやっていなかったアントニーが決めた!」と『BBC』ラジオの実況も大興奮した。
試合は2-2のまま延長戦に突入し、互いに1点ずつ決めたあと、PK戦が濃厚となった延長戦の後半追加タイム、MFアマド・ディアロが劇的な決勝点を決めた。21歳の若武者はユニフォームを脱いで2枚目のイエローカードで退場になりながらも、値千金のゴールで激闘に終止符を打った。試合後、英国メディアは「FAカップの新たなクラシック」「最高の名勝負」と激闘を称える声であふれかえっている。
英紙『The Telegraph』はこの一戦を「記憶にある限りではFAカップ史上最高の試合」と称えた。「7ゴール、123分間のヒステリー、驚くほど場違いな1つの退場。FAカップ史上、最高の名勝負の候補に挙げられるだけの要素が詰まっていた。両クラブの伝統、対照的な立場の両指揮官、終わりなきシーソーゲーム。この試合は瞬時にして名作となった」
元リヴァプールのジェイミー・キャラガー氏はSNSにて「信じられないゲーム」と称賛を送った上で「ユナイテッドにとっては素晴らしい結果だが、リヴァプールは自分たちの責任だ」とゲームを支配しながら敗れた古巣にちくり。「3得点したとはいえ、それでも攻撃陣は不甲斐なかった。とはいえ、今季ここまで活躍してきた選手たちを批判できない」と感想を綴ったあと「フットボール、なんてこった!」と元マンチェスター・ユナイテッドの名将アレックス・ファーガソン氏の名言を借りて締めくくった。
さらにキャラガー氏は、マンチェスター・ユナイテッドOBのリオ・ファーディナンド氏の「ウェンブリー!」という歓喜のポストにも反応。「落ち着けよ。決勝に勝ち上がってもマンチェスター・シティが余裕で君たちを倒す。そして来季もETH(テン・ハフ)が監督を務める。これは君が思っているような勝利じゃないんだ!」
試合を中継した英国『ITV』に出演した元マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーン氏は「今日は狂っていた」と熱戦を振り返った。「ユナイテッドは勝利を手繰り寄せたが、リヴァプールが負ける方法を見出したと言ったほうが正しい。ユナイテッドのギャンブルが功を奏し、リヴァプールはだらしなかった。でもリヴァプールはすぐに立ち直る。クロップは偉大な監督で、代表ウィーク後にチームを立て直すので問題ないだろう」
番組の司会者が「ときには試合の分析などせず、ただただ楽しむべきかもしれませんね」と問いかけると、並んで座っていた3名の解説者たちは一斉にうなずいた。そして元リヴァプールのグレアム・スーネス氏は「この試合に理屈はないね」と総括した。
悩めるマンチェスター・ユナイテッドだが、エリック・テン・ハフ監督はこの勝利が「転機」になるかもしれないと語った。「そうかもしれないが、これまで多くの機会を逃してきた。今季の第4節のアーセナル戦では、87分にPKを貰えるべきだった。さらにガルナチョのゴールが認められず、本来は無効になるはずのゴールを決められて失点した。その時のアーセナルのように、どのチームにも幸運の試合があるものだが、我々は一度もなかった。今回がそれかもしれない。この勝利がチームにエネルギーと自信を与える。凄いことができるんだと。こうやってリヴァプールに勝てるなら、どんな相手にも勝てるはずだ」
マンチェスター・ユナイテッドファンで知られるボクシングのWBCヘビー級王者タイソン・フューリー氏も、愛するチームの勝利を大いに満喫した。試合を観戦にきていた世界王者は、試合前に予想を聞かれて「僕はユナイテッドファンなのでユナイテッドの勝利さ。3-2の名勝負になる」と語っていたが、ほぼその通り展開になったのだ!
対照的に喜べなかったのはリヴァプールのユルゲン・クロップ監督だ。今季リヴァプールが先制した試合で負けるのは初めてのこと。ケガ人が続出するなか、4冠を目指して奮闘してきたが、ゲームを優勢に進めながら勝ち切れずに宿敵に後塵を拝した。試合後にノルウェーのTV局にて「普段はインテンシティが特徴ですが、どうして延長戦は難しかったのですか?」とレポーターに聞かれると、不満を露わにしてまくし立てた。「ちょっと間抜けな質問に思うね。『なぜ相手の方が体力があるのか?』と聞くのは、我々の試合を一度も見ていない人だけだ。最近、我々は何試合こなしてきただろうか。ユナイテッドは何試合なんだい。でも、これがスポーツさ。この質問は残念だね」
それでもインタビュアーが質問を続けようとすると、クロップは「君は良い状態にないようだし、私も君に付き合う我慢強さはない」と言い放ち、途中でインタビューを打ち切ってその場を後にした。
敗れたリヴァプールは4冠の夢を絶たれたが、まだ3冠を目指せる位置にいる。一方で勝利したマンチェスター・ユナイテッドは、次はウェンブリー開催となるFAカップ準決勝で2部のコヴェントリーと対戦することが決まった。勝てば決勝でマンチェスター・シティ対チェルシーの勝者と対戦する。果たして世界最古のカップ戦のトロフィーを手にするのはどのチームなのか?
(記事/Footmedia)
【ハイライト動画】マンチェスター・ユナイテッドvsリヴァプール
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