『メルセデス・ベンツCLK-LM』ル・マン“以外”最強説! ライバルの撤退も招いたシルバーアロー【忘れがたき銘車たち】
モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回は、メルセデス・ベンツCLK-LMです。
* * * * * *
以前この連載で紹介したメルセデス・ベンツのGT1マシン、CLK-GTR。この車両は圧倒的な強さで1997年の選手権を制したものの、短期間での開発を強いられたため、問題点も多かった。
数々の問題点を改善、そしてグループCカー時代以来のル・マン24時間レースへの参戦、制覇をも目論んでCLK-GTRの後継マシンとして1998年に向けて新たに開発されたのが、今回紹介するメルセデス・ベンツCLK-LMだ。
CLK-LMのCLK-GTRからの最大の変更点は、エンジンだった。大きくて重たいM120型のV12からグループCカーでも実績のあったM119型のV8をベースにNA化したエンジンを搭載したのである。
CLK-LMは、このエンジンを採用することによって、CLK-GTRではエンジンとの重量バランスを考えてフロントに搭載されていたラジエターを両サイドへと移設した。さらにカーボンモノコックも一新され、ハンドリング性能は向上し、シャシー剛性も向上させることに成功したのだった。
CLK-LMが実戦に登場したのは、メルセデスが制覇を狙った1998年のル・マンでのことだった。このル・マンにメルセデスはCLK-LMを2台を投入した。ベルント・シュナイダー、マーク・ウェーバー、クラウス・ルドビク組の35号車が見事ポールポジションを獲得し、ジャン-マルク・グーノン、リカルド・ゾンタ、クリストフ・ブシュー組の36号車も3位につけ、デビュー戦から速さを見せつけた。
しかし、決勝ではこの好調が一転。24時間レースの開始早々、エンジントラブルに見舞われて、あっさり2台ともリタイアを喫してしまったのだった。だが、この後のFIA GT選手権ではル・マンで敗れたポルシェを圧倒し、第3戦から第10戦まで8連勝をマークする速さを披露した。
メルセデスはCLK-GTRで戦った開幕戦と第2戦で勝利を挙げていたので、結局1998年のFIA GT選手権をシリーズ全勝という強さで制したのだった。
CLK-GTR時代から2年連続で見せたメルセデスの強さだったが、これはシリーズの衰退をも招いてしまった。“メルセデス一強”の状態だけが要因ではないが、この年をもってライバルが撤退。1999年の同選手権にはGT1クラスが設定されず。1998年をもって世界選手権としての“GT1の時代”は幕を閉じたのだった。
「メルセデス・ベンツ」をもっと詳しく
「メルセデス・ベンツ」のニュース
-
ベンツ11万台リコール パワステに不具合5月16日16時29分
-
名車と暮らせば〜「ゴルフⅡ」との悲喜こもごも〜 第1回 1990年式ゴルフⅡを入手! なぜ今? 初期費用は? 詳細レポート5月15日11時30分
-
メルセデス・ベンツ『GLCクーペ』にEV航続118kmのPHEVモデル“エディション・スター”を追加設定5月1日18時20分
-
コンチネンタルのテクノロジーが、アッパーミドルクラス車両の快適性と安全性向上に貢献4月26日15時46分
-
メルセデス・ベンツ、新型EV「EQA 250」発売 - 走行距離は591km、手ごろなサイズ感4月19日17時0分
-
メルセデスの新型車「CLE」に試乗! 2ドアクーペの本質は堪能できる?4月17日11時30分
-
メルセデス・ベンツ、新型『EQA』を導入。容量70.5kWhのバッテリーで一充電走行距離は591kmに4月15日12時31分
-
超レア車「300SL」は相場3億? ガルウイングのメルセデスが豪華共演!【オートモビルカウンシル2024】4月13日10時0分
-
名車と暮らせば〜メルセデス「124」との悲喜こもごも〜 第22回 メルセデス「W124」の屋根にトラブル! 新たな「名車」も登場?4月9日11時30分
-
メルセデスAMGの『GLA』に最高峰“45 S 4MATIC”が登場。標準車にはBSGと48V電装系を搭載4月4日18時18分