市販ベースでワークスマシンに挑むホンダ勢。そのポテンシャルはいかに!?/全日本ロード鈴鹿テスト
3月25〜26日に行われた全日本ロードレース選手権の鈴鹿合同テスト。JSB1000とST1000クラスに参戦する多くのチームが2020年シーズン初めて公の場で走行し、着々とテスト項目を消化していきました。国内を中心に活躍する二輪ジャーナリスト“コトブキ”こと佐藤寿宏氏はどんなところを注目したでしょうか?。
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本来ならば今週末(4月4〜5日)に開幕戦を迎えていた全日本ロードレース選手権。新型コロナウイルスが猛威をふるい、日増しに状況は悪化している昨今。開幕戦鈴鹿2&4に続き、第2戦ツインリンクもてぎ(4月25〜26日)も延期が3月27日に発表されましたが、鈴鹿の合同テストは、3月25日(水)・26日(木)に予定通りに行われました。
今回のテストで注目していたのは、ニューマシンCBR1000RR-Rを投入するホンダ勢。多くのチームが、ツインリンクもてぎのスポーツ走行で市販状態のまま慣らしを行い、鈴鹿テストでレース用カウル、タンク、そしてHRCのキットを組み込んだ仕様で臨んでいました。
2日間のテストでホンダ勢のトップタイムをマークしたのは、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO)でした。2分07秒フラットのベストタイムを2回計測しましたが「2回とも他車にひっかかってしまった。それがなければ2分06秒台に入っていたはず」と初テストとしては上々の手応えだったようです。
とはいえ、水野のベストタイムは、昨年の最終戦で出した2分05秒671。今回トップタイムは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)がマークした2分05秒47と1秒以上離されている。かなり差があるのが現状ですが、今回がシェイクダウンと言うことを考えるとノビしろは、まだまだあると言えるでしょう。
「JSB1000クラスに上がって、初めてマシンがフルモデルチェンジしたので、何もかもが初めて尽くしで、どうセットして行けばいいか探っている状態です」と水野。他のライダーも、方向性を探っている最中というところです。
■驚異的なトップスピードをマーク!
特筆すべきは、最高速です。渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)の312.6km/hを筆頭に、水野も310.4km/h、清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)も309.3km/hを記録。ST1000の高橋裕紀(日本郵便HondaDream TP)と作本輝介(Keihin Honda Dream SI Racing)も305km/hと、ほとんどのCBR1000RR-R勢が軒並み300km/hオーバーをマークしています。
YAMAHA FACTORY RACING TEAMの野左根航汰で307.1km/h、中須賀で305km/hなので、これは驚異的な数字と言えるでしょう。ただ、ストレートが速ければタイムが出ると言うわけではないのは、周知の事実であり、実際にタイムも、まだ出ていません。
それでも「JSBマシンもストレートで抜くことができた」とST1000でトップタイムをマークした名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO)も語るように、レースで武器なるのは間違いないでしょう。これから足回り、電子制御のセットが進んでくれば、タイムも詰まってくるはずです。
その足回りですが、JSB1000勢の多くがサスペンションはSHOWAにブレーキはNISSINの組み合わせ。岩田悟(ATJ Racing)はオーリンズにブレンボ、亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)はSHOWAにブレンボとライダーの好みやチーム事情によってイクイップメントは違っています。
高橋巧がテストしていたワークス仕様のCBR1000RR-Rは、オーリンズにブレンボ、青山博一はSHOWAにNISSINのキット車だった。高橋巧は、25日の午前中のセッション最後にクラッシュし、右肩甲骨と左足腓骨を骨折してしまいますが、314.8km/hという最高速ではトップのスピードを記録しています。青山は、ピレリタイヤを履いており、高橋巧がワールドスーパーバイクで乗るマシンのテストを行っていたようだ。8年振りに鈴鹿でスーパーバイクを走らせ、ベストタイムは、2分10秒フラットでした。
スズキ勢では、渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTUL)が安定した速さを見せていましたが、ヨシムラは今シーズン全日本にフル参戦はせず、鈴鹿8耐だけの活動になりそうです。
第2戦ツインリンクもてぎが延期になり、トライアウト2ndステージは中止となったため、5月16日(土)に予定されている鈴鹿サンデー 8耐トライアウトファイナルステージに出場することになるのでしょうか? ただ、5月中旬も新型コロナの影響で開催は微妙なところですね。ヨシムラなら主催者推薦でも文句を言う人はいないと思いますけどね。
ヨシムラから自身のチームTeam KAGAYAMAに戻った加賀山就臣は、2分09秒台とタイムが出ていないのが気になった方もいらっしゃると思いますが、実は、この前週にTOT(テイスト・オブ・ツクバ)向けのカタナを筑波でテストしている際に転倒。肋骨と右手の中指と薬指を痛めていたため、だいぶきつそうでした。
■Baby Faceがヨシムラのマシンを走らせる
ヨシムラと言えば、今シーズン、Baby FaceがヨシムラのGSX-R1000を走らすことになり「Baby Face POWERD by YOSHIMURA」でエントリー。津田一磨を引き続き起用し、アドバイザーとして辻本聡氏が加わりました。鈴鹿テストでは、初走行にも関わらず2分07秒9と、まずまずのタイムをマークしていました。
新型コロナウイルスは、日に日に感染者数が増えており、志村けんさんの命まで奪って行きました。一日も早い終息を祈りつつ、ご自身の、ご家族を守ってあげてください。またレースができる環境が戻って来た際は、皆さん、ぜひサーキットに足を運んでくださいね。
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