過度のハードタックルをも称賛する風潮に英記者が警鐘「ドハーティの負傷は不運というより必然」
サッカーキング2022年4月12日(火)18時43分
キャッシュ(左)のタックルでドハーティ(右)は今季絶望 [写真]=Getty Images
世界最高峰のプレミアリーグはアグレッシブでスピーディなサッカーで人気を博しているが、それ故、相手に危害を及ぼしかねない危険なプレーが見られることも度々ある。そんなプレーを許容する風潮に対し、イギリスメディア『アスレティック』でトッテナムの番記者を務めるチャーリー・エクルシャール記者が警鐘を鳴らしている。
トッテナムは9日に行われたプレミアリーグ第31節でアストン・ヴィラを4-0で下したが、同試合の序盤にポーランド代表DFマティ・キャッシュの激しいタックルを受けたアイルランド代表DFマット・ドハーティが負傷交代。同選手は右ひざを負傷し、最大12週間の離脱が予想されている。
同試合では、ドハーティ以外のトッテナムの選手もケガを負う可能性があった。試合を担当したグレアム・スコット主審がキャッシュのプレーを流したこともあり、球際での攻防はエスカレート。19分にスウェーデン代表FWデヤン・クルゼフスキがイングランド代表DFタイロン・ミングスに左足を蟹挟みされる形で倒され、82分にはイングランド代表FWハリー・ケインが元同国代表MFアシュリー・ヤングから危険なスライディングを受けた。
エクルシャール記者はコラムの中で、「ドハーティの負傷は、不運というより必然だったように思う。あのようなタックルは、賞賛されるのではなく、非難されるべきものだ。私の考えでは、ドハーティの体勢は(ボールを奪う)格好のカモであり、キャッシュがあそこまで突っ込むのは不必要であり、潜在的に危険である」とキャッシュのプレーを批判。また、「プレミアリーグでプレーしていれば、スカイスポーツの解説で『献身的』と表現されたマティ・キャッシュのタックルは、許容されるだけでなく、祝福されるべきものなのだ」と、アグレッシブなチャレンジを称賛する傾向にあるイングランドサッカーの文化に懸念を示している。
「イングランドサッカー界には、たとえ制御不能に近い状態であっても、フィジカルと『献身的』なチャレンジを称賛する文化がまだ浸透していることは、間違いなく誰もが認めるところだろう。タックルを避けることは最悪の行為であり、無謀で攻撃的なタックルで誰かを傷つける方がはるかにマシなのだ。イングランドのサッカー界では、草サッカーからすべてのレベルでこのようなことが見られる」
「審判がこのような反則を厳しく取り締まることはないとわかっているのなら、ギリギリまで激しく行くのは当然だろう。グレアム・スコットがキャッシュのタックルにフリーキックの罰則を与えなかったのは、他の選手たちに『好きなようにやっていい』という許可を与えたように感じられた」
「しかし、スコットも指示に従ったとも言える。審判たちはシーズン当初、タックルに対するペナルティをより厳しくしないよう、『流れに任せる』という指示を受けていたのだ。より自由なアプローチは、より攻撃的なサッカーを促進するという考えからだ」
この“指示”に対し、かつて異議を唱えていたのが、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督だ。第2節バーンリー戦後、「これらの決定が正しい方向に進んでいるのかどうか、100%確信があるわけではない。10年から15年前に逆戻りしているようなものだ。今のメッセージは試合の流れに任せるというものだが、それが何を意味するのか、誰も正確には知らない」と、バーンリーの度を越したプレーと審判団の判定に苦言を呈していた。対戦相手のショーン・ダイシ監督はクロップ監督を『チクリ屋』と批判していたが、その1カ月後に行われたリーズ戦でリヴァプールのU-21イングランド代表MFハーヴェイ・エリオットがオランダ人DFパスカル・ストライクのタックルにより左足首を脱臼骨折する大ケガを負ったことで、クロップ監督の懸念は現実のものとなった。
サッカーをする上でケガのリスクは付き物だが、エクルシャール記者は「その可能性を減らすためにできることはたくさんある。例えば、悪質なタックルに早めの警告を与えるなどだ」と提言。また、「クリスタル・パレスは4日のアーセナル戦で、過度にフィジカルなプレーをすることなく、献身的なプレーとコントロールされたアグレッシブさで見事に勝利した」と指摘している。同記者は最後に、「イングランドのサッカーは素晴らしいし、そのフィジカル性は称賛されるべきだが、度を越したタックルを非難するためにもう少しの意欲があれば、さらに良くなる可能性がある」と綴っている。
トッテナムは9日に行われたプレミアリーグ第31節でアストン・ヴィラを4-0で下したが、同試合の序盤にポーランド代表DFマティ・キャッシュの激しいタックルを受けたアイルランド代表DFマット・ドハーティが負傷交代。同選手は右ひざを負傷し、最大12週間の離脱が予想されている。
同試合では、ドハーティ以外のトッテナムの選手もケガを負う可能性があった。試合を担当したグレアム・スコット主審がキャッシュのプレーを流したこともあり、球際での攻防はエスカレート。19分にスウェーデン代表FWデヤン・クルゼフスキがイングランド代表DFタイロン・ミングスに左足を蟹挟みされる形で倒され、82分にはイングランド代表FWハリー・ケインが元同国代表MFアシュリー・ヤングから危険なスライディングを受けた。
エクルシャール記者はコラムの中で、「ドハーティの負傷は、不運というより必然だったように思う。あのようなタックルは、賞賛されるのではなく、非難されるべきものだ。私の考えでは、ドハーティの体勢は(ボールを奪う)格好のカモであり、キャッシュがあそこまで突っ込むのは不必要であり、潜在的に危険である」とキャッシュのプレーを批判。また、「プレミアリーグでプレーしていれば、スカイスポーツの解説で『献身的』と表現されたマティ・キャッシュのタックルは、許容されるだけでなく、祝福されるべきものなのだ」と、アグレッシブなチャレンジを称賛する傾向にあるイングランドサッカーの文化に懸念を示している。
「イングランドサッカー界には、たとえ制御不能に近い状態であっても、フィジカルと『献身的』なチャレンジを称賛する文化がまだ浸透していることは、間違いなく誰もが認めるところだろう。タックルを避けることは最悪の行為であり、無謀で攻撃的なタックルで誰かを傷つける方がはるかにマシなのだ。イングランドのサッカー界では、草サッカーからすべてのレベルでこのようなことが見られる」
「審判がこのような反則を厳しく取り締まることはないとわかっているのなら、ギリギリまで激しく行くのは当然だろう。グレアム・スコットがキャッシュのタックルにフリーキックの罰則を与えなかったのは、他の選手たちに『好きなようにやっていい』という許可を与えたように感じられた」
「しかし、スコットも指示に従ったとも言える。審判たちはシーズン当初、タックルに対するペナルティをより厳しくしないよう、『流れに任せる』という指示を受けていたのだ。より自由なアプローチは、より攻撃的なサッカーを促進するという考えからだ」
この“指示”に対し、かつて異議を唱えていたのが、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督だ。第2節バーンリー戦後、「これらの決定が正しい方向に進んでいるのかどうか、100%確信があるわけではない。10年から15年前に逆戻りしているようなものだ。今のメッセージは試合の流れに任せるというものだが、それが何を意味するのか、誰も正確には知らない」と、バーンリーの度を越したプレーと審判団の判定に苦言を呈していた。対戦相手のショーン・ダイシ監督はクロップ監督を『チクリ屋』と批判していたが、その1カ月後に行われたリーズ戦でリヴァプールのU-21イングランド代表MFハーヴェイ・エリオットがオランダ人DFパスカル・ストライクのタックルにより左足首を脱臼骨折する大ケガを負ったことで、クロップ監督の懸念は現実のものとなった。
サッカーをする上でケガのリスクは付き物だが、エクルシャール記者は「その可能性を減らすためにできることはたくさんある。例えば、悪質なタックルに早めの警告を与えるなどだ」と提言。また、「クリスタル・パレスは4日のアーセナル戦で、過度にフィジカルなプレーをすることなく、献身的なプレーとコントロールされたアグレッシブさで見事に勝利した」と指摘している。同記者は最後に、「イングランドのサッカーは素晴らしいし、そのフィジカル性は称賛されるべきだが、度を越したタックルを非難するためにもう少しの意欲があれば、さらに良くなる可能性がある」と綴っている。
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