WEC第7戦:ニューカラーマシンを持ち込んだトヨタ、“スパウェザー”に見舞われたFP2でワン・ツー
WEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingは5月2日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで行われた第7戦のフリープラクティス1回目、2回目に臨み、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス組7号車とセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ組8号車ともに両セッションで上位につけた。
1年前に開幕したWECスーパーシーズンの開幕戦スパでワン・ツー・フィニッシュを飾ったTOYOTA GAZOO Racing。チームは以後6戦中5勝をあげるなかでそのすべてをワン・ツーで制し、この第7戦スパはチームタイトル獲得に王手をかけた状態で迎えた。
そんな大事な一戦となる今ラウンドで、トヨタは2台のTS050ハイブリッドにトップスピードを重視したローダウンフォース仕様のエアロパッケージを投入している。ル・マン24時間を見据えたこのパッケージの登場は2018年のル・マン以来となるが、スパ戦の約1カ月前となる4月初旬にはフランス南部のポール・リカールでテストが行われていた。
また、このテストではフロントノーズ周辺のマシンカラーリングが一部変更されているのが確認されていたが、こちらも公式戦でそのまま採用されている。
スパのレースウイーク本格始動は5月2日から。90分間のフリープラクティスが2度行われるこの日は、五月晴れかと思いきや夕方には雨というスパらしい天候に。そんななか2台のトヨタTS050ハイブリッドは3日の予選、4日に行われる決勝に向けたセットアップを進め、FP1ではLMP1プライベーターのSMPレーシングの2台に続く総合3、4番手のタイムをマークした。
一方、予報どおり雨のなかで迎えたFP2では7号車と8号車で仕様の異なるウエットタイヤ、さまざまな空力セッティングを試し、起こりうるコンディションに対応するための準備作業を行っていく。そのなかでアロンソ駆る8号車がセッショントップタイムを、僚友7号車が2番手タイムを記録している。
■アロンソ「準備は整いつつある。どんなコンディションになっても大丈夫」
「今日は夕方に雨が降る予報が出ていましたので、1回目のドライコンディションでできるだけの走行を行いました」と走行初日を振り返ったのは、8号車トヨタをドライブする一貴。
「(スパは)タイヤ摩耗に厳しいサーキットで、自分はすり減ったタイヤで走行を開始したので。いい感触とは言えませんでしたが、多くの貴重な情報を得ることができました」
「公式練習2回目は雨量が多いウエットコンディションで、コース上に留まるのが精一杯でした。2015年に同じような状況で大クラッシュを起こしたことが頭を過りましたので、無事にこのセッションが終わってホッとしています」
同じく8号車を駆るアロンソは「不安定な天候と幾度かの赤旗中断でいつもとは違う一日だったが、それは僕たちだけではない」とコメント。
「ドライでもウエットでもあらゆる状況に適応できるようなセットアップを試したので、不安定な週末のレースに臨む準備が整いつつある。どんなコンディションになっても大丈夫だし、ウエットコンディションでの車両の仕上がりも問題ないよ」
■「クルマの感触はいいが、視界不良が大きな問題」と小林可夢偉
また、ドライバーズランキングでブエミ、一貴、アロンソ組8号車を15ポイント差で追いかける7号車トヨタの可夢偉は「個人的には良い一日でしたが、天候のせいで競争力の評価が難しい」と語った。
「明日の状況を見るしかないでしょう。我々はすべてのコンディションで調整作業を続けたので、どんな状況にも対応できる準備ができています」
「公式練習2回目の雨はすべてのドライバーにとって難しく、何も見えませんでした。クルマの感触は良いですが、コース上は至る所で水が多く、視界の悪さは大きな問題です」
そんな可夢偉とマシンをシェアするロペスはウエットコンディションでの走行が少なく、習熟にに不安を抱えている様子だ。
「公式練習1回目はドライで走れ、クルマは感触も良く、とても良いタイムも出すことができた。他の車両の追い抜きも問題なかったよ」
「しかし、公式練習2回目はわずか4周しか走れなかったので、あまり習熟することができなかったんだ。最初に走った時はアクアプレーニングが激しく、限界ギリギリだった。そして2周後に(マイク・)コンウェイに交代したんだ。最後にもう一度走ったけれど、またも雨に見舞われ、ベストなセッションではなかったね」
ドライバー、チームを翻弄する“スパウェザー”。今戦の予選上位グリッドの獲得には、山間の変わりやすい天気と路面コンディションの見定めも鍵になってくる。いよいよ迎える公式予選は3日15時(日本時間22時)にスタート予定だ。
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