【インタビュー】ピエール・ガスリー「アップデートを急ぐより、本来の実力を100%引き出したい」
ヨーロッパラウンド初戦となるF1スペインGPが今週末からスタート。トロロッソ・ホンダのアップデート予定やこれまでの成績のアップダウンが激しかった原因など、気になる状況をピエール・ガスリーにインタビューした。
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──ヨーロッパにF1が戻って来て、ホッとしているのでは?
ピエール・ガスリー(以下、ガスリー):というよりカタルーニャサーキットという、ものすごく良く知ってるコースを走れることが、素直にうれしいかな。下位カテゴリーも含めれば、1000周以上走ってるからね。F1だけでも、開幕前のウィンターテストで、かなり充実した走行ができたし。
──慣れ親しんだコースという点では、ライバルたちも同じです。
ガスリー:それは、その通り。だからこそ僕らの現時点での実力が、素直に比較されると思う。というか、その実力を100%引き出せる週末にしないとね。
ここまでの4戦は、特にタイヤの使い方が理解できないレースが多かった。低温のコンディションの時だけに限らず、なかなかタイヤ本来の性能を発揮できなかった。そこをしっかり理解し直すのも、この週末の課題かな。
──ヨーロッパラウンド初戦は、例年多くのチームが大型アップデートを投入します。トロロッソ・ホンダは?
ガスリー:残念ながら今回は、大した改良版じゃない。次のモナコか、遅くともカナダには間に合うと思う。
──ということは今週末は、改良版を投入するライバルたちとの差がいっそう広がる恐れがある?
ガスリー:その答えは金曜以降に出るだろうね。ただ確かに言えるのは、ここまでのレースで僕たちはまだマシン本来の性能を、完全に使いこなしてないということだ。その意味では過去4戦でのライバルたちとの差を、そのまま受け止めるべきじゃない。
STR13のポテンシャルは、結果以上にあると信じてるからね。なので改良版の投入を急ぐより、今のマシンの理解を深める方が重要だと思う。でないと車体に変更が加わると、いっそう混乱する恐れがある。逆にきっちり理解できてれば、改良版の理解もよりスムーズに行くだろうしね。
──このサーキットでは今週末、どれほどのパフォーマンスが発揮できそうですか?
ガスリー:少なくとも中国や、アゼルバイジャンよりは期待できる。もちろんライバルたちも休んでたわけじゃないから、クルマへの理解も進んでるし、開幕序盤に比べれば戦闘力は増してる。
たとえばフォース・インディアはアゼルバイジャンですごく速くなったし、ハースは結果こそ出てないけど、安定して速い。その中で僕らがどの位置にいるのか、それも今週末しっかり把握できると思うよ。
──具体的に、Q3進出は可能ですか。
ガスリー:今言ったフォース・インディアやハース、それにルノーの戦闘力を考えると、トップ10に食い込むのはかなり厳しいよね。でも決して不可能だとは思ってない。いつだって予選はQ3進出、レースはポイント獲得を目標にやってるわけだし。
──ここまでの4戦、成績のアップダウンが激しかった。原因は究明できましたか。
ガスリー:完全にはできてない。ひとつ確かに言えるのは、僕らのクルマはタイヤの作動温度域に入れるのがすごく難しいということだね。低温の時に温まりにくいだけじゃなくて、暑い時はオーバーヒートしやすかったり。
──アゼルバイジャンではホンダ製パワーユニットの問題もあったのでは?
ガスリー:純粋なパフォーマンスというより、回生エネルギーをどこでどれだけ使うか、それがうまく行かなかったということだ。それはホンダだけの問題というより、チームや僕たちドライバーとの、コミュニケーションの問題でもあった。それがクリアになって、今後に向けて対策を話し合えたのは、すごく有意義だったね。とにかく厳しい週末だったけど。
──ホンダの改良版投入は、噂されているようにカナダですか?
ガスリー:それは彼らに質問してほしいけど、開発は順調に進んでると聞いてる。適切なタイミングを探ってるところだと思うよ。
──アゼルバイジャンではレース終盤に、ケビン・マグヌッセンとの接触事故もありました。レース後も、しばらく怒りが収まらなかった?
ガスリー:そう。自分を律するのに、かなり苦労したね。一歩間違えれば大事故に繋がる行為だったというのもあるし、あれがなければポイント獲得できた可能性もあった。それがフイになってしまった怒りもあったね。
ケビンはレース後に謝罪に来て、翌週にはメッセージも送ってきた。僕ももう、過去のこととして忘れるつもりだ。とにかくこういうことは、二度と繰り返してほしくない。ケビンに望むのは、それだけだよ。
──2019年に向けてのホンダとレッドブルの交渉が、話題に上がっています。あなたも大きな関心を持ってると思います。
ガスリー:確かに。でもトロロッソが来季もホンダと組むのはわかってるし、2019年マシンはホンダと密接に協力し合って開発を進めてる。僕らがどこまで速くなるか、今はむしろ、それが楽しみでしょうがないよ。そもそも交渉の詳しい内容は、僕は全然知らないし。
──あなた自身が、来季はレッドブルに行く可能性もありますよね。
ガスリー:状況次第ではね。でもそれは僕が考えることじゃないし、今はとにかくトロロッソ・ホンダで最良の結果を出し続けることが最優先だよ。あえていうまでもないことだけど。
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