初の月間MVP受賞! 竜の守護神ライデル・マルティネス、鍵を握る「第3の球種」とは?
最後尾に控えるマルティネスの存在感が中日に安心感を与えている(C)産経新聞社
中日の不動の守護神、ライデル・マルティネスが3、4月の月間MVPに輝いた。
意外にも初の受賞で、本人は会見で「先発ピッチャーが取ることが多い賞なので、自分と言われた時は本当に驚きました」と告白している。とはいえ、期間中は12試合登板で被安打5、与四死球0、防御率0.00という圧倒的なスタッツ。これで受賞しないほうがおかしい。一時単独首位に立つなど、好調だったチームの立役者として選出されたのもあったか。
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■驚異の投球を続けるキューバ産クローザー
キューバからやってきた右腕は今季で来日8年目。当初は先発だったが、2年目の2019年から救援に本格転向。以降は毎シーズン奪三振率10以上を叩き出し、1イニングに何人走者を出すかの指標「WHIP」は抑えを任される2020年からずっと0点台をキープ中だ。
ここ数年はその難攻不落さに拍車がかかっており、2022年からは2年連続で30セーブ&防御率0点台を記録。22年は自身初のタイトル・最優秀救援投手に輝き、23年は46回1/3で62奪三振に対して与四球がわずか4個と驚異のピッチングを見せた。
三振を奪い、走者を出さない。投げた試合ではかなりの確率でセーブを挙げる——。まさに当代きってのクローザーだ。ファンもその価値をわかっていて、マルティネスが登場すると本拠地は大歓声と割れんばかりの拍手に包まれる。
さらに、5月6日の巨人戦からはセーブシチュエーション時に「相手に絶望感を与える」新演出がスタート。バンテリンドームナゴヤがキューバカラーの赤色に染まり、守護神の降臨を後押ししている。
■140キロ台のスライダーがアクセントに
最速161キロの直球に150キロ前後のスプリットが代名詞の一方で、今季は140キロ台のスライダーが良い味を出している。
カウント球で使いつつ、時には三振の決め球にもなり得るということで、「第3の球種」として確立されつつある。昨季も投球割合の10%前後を占めていたが、決め球としての使用はほとんどなく、スライダーで奪ったのは62個中わずか5個。それが今季はすでに13個中3個と、精度が高まっているようだ。
5月11日の広島戦では、外から巻くバックドアのスライダーで秋山翔吾を見逃し三振に抑え、続く野間峻祥の初球にもスライダーを投げてストライクを奪った。まさに、カウント球と決め球の両方で使えている。
直球一辺倒だといずれ打たれるリスクは高まるし、スプリットを多用すると見逃されたらボールになる可能性が高い。そこでスライダーを自在に操れると「鬼に金棒」だ。
新たな武器を携え、これからもマルティネスが相手に絶望を与える。
[文:尾張はじめ]
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