F1 Topic:審議とペナルティ付与を角田に伝えなかったアルファタウリ。わずか2周で入賞を失うことに
角田裕毅(アルファタウリ)と周冠宇(アルファロメオ)のバトルを巡るレーススチュワードの裁定にはさまざまな意見がある。これは今回のインシデントが、レースにおいて事故はつきものであると同時に、その裁定は完全に白黒がはっきりとしているわけではないなかで行わなければならないという難しさが伴うことをあらためて認識させられた一件だったと言える。
レーススチュワードの正否はともかく、今回のF1第8戦スペインGPで角田が入賞に値する走りを披露していたことは間違いない。そのことは、フランツ・トスト代表も「ユウキは素晴らしい走りをしていた」と語っていることからもわかる。
したがって、周とのバトルの後、チームはポイントを獲得するための手段を講じる必要があったと思う。というのも、周とバトルしていたとき角田は9番手を走行し、周にポジションを明け渡したとしても、10位でフィニッシュし、1ポイントは確実に手にいれることができたからだ。
私が角田のレースエンジニアだったら、バトル後、周が「押し出された」と無線で叫んだのを聞いて、角田に無線でこう告げただろう。
「ただちに周にポジションを譲れ」と。
周が無線で押し出されたという訴えは、アルファロメオのチームマネージャーを通して、レースコントロールへ伝わることは明白だった。周にポジションを明け渡せば、1ポイント失うが、レースコントロールがこの一件を審議対象にすれば、5秒ペナルティが出る可能性があり、入賞圏外へ落ちるからだ。
しかし、チームは角田にその指示を出さなかっただけでなく、審議対象になったことも伝えず、さらに5秒ペナルティが科せられたことも教えなかった。もし、5秒ペナルティを知っていたら、たとえ無理でも角田はもっとプッシュして、後続との差を広げようとしていただろう。角田がペナルティを知らされたのはチェッカーフラッグの後だった。角田に成す術はなかった。
しかも、チームは周とのバトルは「ユウキのミスだった」(トスト)という見方をしていた。それならば、レーススチュワードの判断を待たずとも、ポジションを譲った方がよかった。そうすれば、レースコントロールが審議対象とすることはなかっただろう。
しかし、それを行わなかったため、59周目にレースコントロールは審議対象とした。こうなると、もうポジションを譲っても、審議が取り消されることはない。
57周目から59周目までの2周で、角田の入賞をみすみす放棄した。今回のアルファタウリの対応は、そう言わざるを得ない失態だった。
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