ロス・ブラウン、古巣メルセデスF1の不振に驚く「調子の悪いマシンでレースに出るのは異例のこと」
F1のスポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、第6戦アゼルバイジャンGPでルイス・ハミルトン(メルセデス)は“人柄の試練”に見舞われたと述べているが、レース終盤に大きな犠牲を払うことになったハミルトンのミスは、幸運なことにマックス・フェルスタッペンの不運で“相殺”されたと主張している。
フェルスタッペンは、アゼルバイジャンGPの終盤で突然のタイヤトラブルに見舞われ、確実と思われた優勝を奪われた。そのため、ハミルトンが多くのポイントを獲得して最大のライバルからドライバーズ選手権の首位の座を奪い返す可能性があった。
しかしW12のコクピット内で、ブレーキバランススイッチに触れたことに気づかなかったというミスのせいで、ハミルトンはリスタート後に1コーナーで止まりきれず退避路に進まざるを得なかった。彼は、レースで優勝することになるセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)と首位の座を争っていたところだった。
「今週末にルイスは人柄を試されることになった」とブラウンは月曜日のレース後のインタビューでコメントした。
「概して、彼は非常にうまく乗り切っていた。金曜日のマシンのペースは振るわなかったが、土曜日にはさらに上の位置につけることができたのは、良い一歩だった。マシンは最速ではなかったが、彼はそのマシンで何かができるだろうと分かっていた」
「彼は素晴らしい仕事をしたが、その後リスタートで何が起きたのか私には分からない。彼はスイッチの問題だと言っていた。リヤブレーキがかなり熱を持っていたのは明らかだった」
「彼がコーナーを曲がろうとしているようには見えなかった。だがマックスの事故の後で、チャンピオンシップの可能性は広く開かれた。メルセデスとルイスは不満だろうが、マックスの不運を考えると、相殺されたと言えるだろう」
■ラスト2周は「スプリント予選レースのいいテストになった」
ブラウンはモナコでの問題に続いて、バクーでのメルセデスの不振に驚かされたと認めた。しかし以前メルセデスに所属していたブラウンは、F1が伝統的なコースに戻ったら、チームは調子を取り戻すと考えている。
「メルセデスが調子の悪いマシンでレースに出るのは異例のことだ。モナコでの困難を経て、彼らは異なる道を選んだが、そのために金曜日にはパフォーマンスが発揮されなかったのだと考えられる」
「彼らがモナコでそうだったように、タイヤ温度に問題があったら、私なら異なる方向性のことを試すようにするだろう。だから金曜日の彼らの苦戦はその結果だったかのかもしれない」
「メルセデスがより自信を持てるレース、そして馴染みのある環境に戻ったら、彼らは最高の状態になるだろう。彼らは市街地コースではいつも少々苦戦している。市街地コースが彼らの強みだったことはない」
「レッドブルは今年良いスタートを切っている。昨年の状態とは完全に真逆だ。彼らは年の後半まで実力を発揮できなかった。だから彼らのスタートは心強い兆候だ。彼らがこの勢いを維持してメルセデスと戦い続けることができれば、かなりのバトルを目にすることになる」
最後に日曜日のバクーにおける2周の猛ダッシュについて評価したブラウンは、あの熱狂的なレースが今後F1で開催される予選スプリントレースにとって吉兆となると考えている。
「多くの解説者たちがアゼルバイジャンGPの最後の2周を見て、あともう10周必要だと言っているのを聞いて心強かった。なぜならあれは予選スプリントレースの良いテストとなったからね」
「予選スプリントレースは17周から20周ともっと長くなるが、同様にスリリングなレースになる。ドライバーはタイヤを労わる心配をしなくてすむからだ」
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