“変える意識”と“流されない意識” スコットランドでの第一歩、小田裕太郎の現在地
サッカーキング2023年6月30日(金)12時3分
小田裕太郎 [写真]=藤丸リオ
日本から遠く離れたスコットランドの地で、いま日本人選手が多く活躍している。セルティックの古橋亨梧、旗手怜央、前田大然といった日本代表組に加え、岩田智輝、小林友希らが、異国で強靭な選手たちと激しい競争を繰り広げている。
そんなスコットランドに1月、新たな選手が降り立った。ヴィッセル神戸からハーツへと移籍したパリオリンピック世代の小田裕太郎だ。
これまで各年代の世代別代表に選ばれ、世界のチームと対戦してきた小田は、神戸で出場機会を得るようになってきたタイミングではあったものの、海外移籍のチャンスを逃すわけにはいかなかった。
「もともと海外でプレーしたいなと思っていました。チャンスがあれば行きたいなと思っていたので、今回そんなに迷った感じはないです。タイミングも良かったですし、この年でチャレンジしたいしというのもあったので決断しました」
ただ、スコットランドでの戦いの日々は簡単なものではなかった。冬加入ということもあり、チームはすでに出来上がりつつある状況。その中で、コミュニケーションにもまだ難がある日本人選手が易々と入っていけるほど甘いものではない。特にJリーグはFIFAワールドカップカタール2022もあって早めにシーズンが終幕。昨季からのオフが長かった小田にとって、コンディションを欧州のレベルに合わせるのには時間がかかった。
「最初は練習がめちゃめちゃキツく感じました。慣れるのに2、3カ月くらいかかりましたね。強度は高いし、ピッチもすごく柔らかいから難しい。それでも、やり続けないといけないと思ってやっていました」
トレーニングにしても、試合にしても、日本との違いが明確にあった。スコットランド人を中心とした選手たちは、軒並み体が大きく、フィジカルの強い選手が揃う。その中で、つなぐチームもあれば、ロングボールを蹴ってFWにボールを当てたところから組み立ててくるチームもあって、そこの違いに最初は戸惑いがあったという。
だからこそ、自身の身体からサッカーに対する考えまで変化を求める必要があった。フィジカル面に関しては「(スコットランドの選手に)惑わされて『これくらいにならないとあかん』と思わないことを意識しています」と笑うように、自分に合った筋力トレーニングを徹底。この数カ月で体重が3キロも増えたが、「キレを失わないように」バランスよく筋肉量を増やしながら体脂肪を減らした。
プレー面では「ウイングですけど、CBが競ったあとのセカンドボールを拾うことだったり、そこから攻撃につなげたり、自分が出て行ったりというのは、日本にいる時よりも意識しています」とし、相手との駆け引きにおいても変化が生まれていることを明かした。
「僕はあまり体をぶつけるタイプではないですけど、あっちにいって思ったのは有利なポジションでぶつかろうかなと。自分のスピードを生かして、ボールに近いところで当たったり、先にボールを触ったりして自分のアジリティというかスピードを生かそうかなと考えています」
そういった意識付けが少しずつ形となって現れたことで、終盤は6試合連続でスタメン出場。最終戦ではゴールも奪うことができた。また、首位のセルティックと相対した一戦では、確かな手応えを感じている。
「相手に日本人も多いし、気合が入っていました。もちろんゴールやアシストをしたかったですけど、それ以外に通用するなと思えるところがあったので、足りないというよりは、こういう感じでできるんだというのが正直強かったですね」
そんなスコットランドでの戦いを経て、小田はU-22日本代表の欧州遠征に参加した。普段の右WGではなく慣れないCFでピッチに立った影響もあり、イングランド戦では結果を残すことができなかったが、小田は「オリンピックの時にはメンバーが変わる。そこに生き残ることしか考えていない」と次なる戦いを見据えている。
来年に迫るパリ五輪のメンバーに入っていくには、やはりクラブでの活躍が必須になる。「チームメイトも理解してくれて、やっと馴染めたし、サッカーにも適応できた。来季は最初から絡み続けて何よりゴールやアシストという結果を残していければ」と前を向いた小田。これまでと違う日常に身を置き、新たな“小田裕太郎”を作り上げたとき、代表で輝く小田の姿があるはずだ。
取材・文=藤丸リオ
そんなスコットランドに1月、新たな選手が降り立った。ヴィッセル神戸からハーツへと移籍したパリオリンピック世代の小田裕太郎だ。
これまで各年代の世代別代表に選ばれ、世界のチームと対戦してきた小田は、神戸で出場機会を得るようになってきたタイミングではあったものの、海外移籍のチャンスを逃すわけにはいかなかった。
「もともと海外でプレーしたいなと思っていました。チャンスがあれば行きたいなと思っていたので、今回そんなに迷った感じはないです。タイミングも良かったですし、この年でチャレンジしたいしというのもあったので決断しました」
ただ、スコットランドでの戦いの日々は簡単なものではなかった。冬加入ということもあり、チームはすでに出来上がりつつある状況。その中で、コミュニケーションにもまだ難がある日本人選手が易々と入っていけるほど甘いものではない。特にJリーグはFIFAワールドカップカタール2022もあって早めにシーズンが終幕。昨季からのオフが長かった小田にとって、コンディションを欧州のレベルに合わせるのには時間がかかった。
「最初は練習がめちゃめちゃキツく感じました。慣れるのに2、3カ月くらいかかりましたね。強度は高いし、ピッチもすごく柔らかいから難しい。それでも、やり続けないといけないと思ってやっていました」
トレーニングにしても、試合にしても、日本との違いが明確にあった。スコットランド人を中心とした選手たちは、軒並み体が大きく、フィジカルの強い選手が揃う。その中で、つなぐチームもあれば、ロングボールを蹴ってFWにボールを当てたところから組み立ててくるチームもあって、そこの違いに最初は戸惑いがあったという。
だからこそ、自身の身体からサッカーに対する考えまで変化を求める必要があった。フィジカル面に関しては「(スコットランドの選手に)惑わされて『これくらいにならないとあかん』と思わないことを意識しています」と笑うように、自分に合った筋力トレーニングを徹底。この数カ月で体重が3キロも増えたが、「キレを失わないように」バランスよく筋肉量を増やしながら体脂肪を減らした。
プレー面では「ウイングですけど、CBが競ったあとのセカンドボールを拾うことだったり、そこから攻撃につなげたり、自分が出て行ったりというのは、日本にいる時よりも意識しています」とし、相手との駆け引きにおいても変化が生まれていることを明かした。
「僕はあまり体をぶつけるタイプではないですけど、あっちにいって思ったのは有利なポジションでぶつかろうかなと。自分のスピードを生かして、ボールに近いところで当たったり、先にボールを触ったりして自分のアジリティというかスピードを生かそうかなと考えています」
そういった意識付けが少しずつ形となって現れたことで、終盤は6試合連続でスタメン出場。最終戦ではゴールも奪うことができた。また、首位のセルティックと相対した一戦では、確かな手応えを感じている。
「相手に日本人も多いし、気合が入っていました。もちろんゴールやアシストをしたかったですけど、それ以外に通用するなと思えるところがあったので、足りないというよりは、こういう感じでできるんだというのが正直強かったですね」
そんなスコットランドでの戦いを経て、小田はU-22日本代表の欧州遠征に参加した。普段の右WGではなく慣れないCFでピッチに立った影響もあり、イングランド戦では結果を残すことができなかったが、小田は「オリンピックの時にはメンバーが変わる。そこに生き残ることしか考えていない」と次なる戦いを見据えている。
来年に迫るパリ五輪のメンバーに入っていくには、やはりクラブでの活躍が必須になる。「チームメイトも理解してくれて、やっと馴染めたし、サッカーにも適応できた。来季は最初から絡み続けて何よりゴールやアシストという結果を残していければ」と前を向いた小田。これまでと違う日常に身を置き、新たな“小田裕太郎”を作り上げたとき、代表で輝く小田の姿があるはずだ。
取材・文=藤丸リオ
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