ル・マン・ハイパーカーとLMDhの“コンバージェンス”詳細が発表。4つの技術エリアで性能均衡を図る
FIA、ACOフランス西部自動車クラブ、IMSAは7月9日、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023シーズンから始まる、ル・マン・ハイパーカー(LMH)とLMDhマシンの“コンバージェンス”(収束、収斂の意)可能にするための、4つの技術エリアについて詳細を明らかにした。
7月8日にFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)が「技術規則の修正」を承認したことを受けてなされたこの発表においては、2023年からのウェザーテック選手権へのLMH車両の参戦承認も、正式にアナウンスされている。
2021年からWECで採用されているLMHはハイブリッドシステムの採用・非採用が選択できる規則であり、ベースとなる量産車両を持たないプロトタイプカーとしてデザインすることも可能となっている。
一方LMDhでは、現行のDPiと同じくLMP2シャシーをベースに共通ハイブリッドシステムをリヤに搭載する方式となり、両カテゴリーのマシンが同じ舞台で戦うためには、性能の均衡化が必須となっていた。
今回発表されたのは、このふたつのカテゴリー間の性能均衡のための具体策であり、以下の4つの主要エリアで性能を調整することにより、2023年からの相互乗り入れを実現する。
・タイヤ
・加速プロファイル
・ブレーキ性能
・空力
なお、LMDh車両は、現在のLMH規則における後輪駆動車(=ノンハイブリッド車)の技術プロファイルを、主に採用することになる。
1)タイヤ
LMDh車両は、LMH規定の後輪駆動車と同じサイズのタイヤを装着する。すなわち、34インチタイヤをリヤに、29インチタイヤをフロントに装着する。
トヨタGR010ハイブリッドのように、フロントアクスルにハイブリッド・システムを備えたLMH車両(=AWD:4輪駆動)ついては、現在と同じくフロント・リヤともに31インチのタイヤが、2023年以降も採用される。
2)加速プロファイル
ただし、AWD車両の加速プロファイルは、技術規則の一部ではなくBoP(性能調整)によってコントロールされるようになる。各サーキットにおいてドライとウエット、2種類の(フロント駆動)アクティベーション速度が120〜160km/hの範囲で設定される。
各サーキットの特性によって調整されるこの方法は、今季のWEC第2戦ポルティマオにおいて、トヨタがフロントのドライブトレーン(モーター)のアクセルプロファイルを調整することによって、すでにテストされている。
一方LMDhにおいては、リヤに搭載されるeモーターのトラクションコントロール機能への寄与を制限するための、制御ソフトウェアが導入される。
3)ブレーキ性能
どちらのタイプのパワートレインも同じコースト性能を備えているが、AWD車両においてはフロントアクスル、リヤアクスル双方のトルクレベルが考慮に入れられる。
さらに、AWD車両のフロントディファレンシャルについては、潜在的なパフォーマンス上の利点を防ぐため、コースト時に『ゼロ・ロックメカニズム』がアクティブになる。
4)空力
LMH車両は引き続きスイスのザウバーの風洞試験によってホモロゲートされる。IMSAのレースに出場する場合は、アメリカ・ノースカロライナ州のウインドシア社で“風洞特性評価”にかけられる。
LMDh車両の場合は、上記の反対のパターンとなり、ウインドシア社の風洞によりホモロゲートされ、WECに出場する場合はザウバーの風洞特性評価を受けることとなる。
■「歴史における、意義深い瞬間」とリシャール・ミル
「この重要な発表は、耐久レースの共通の未来を築くという我々の野心から生じている」と、ACO会長のピエール・フィヨンは述べている。
「我々は皆、この画期的な合意を達成するために協力してきた。すべてのステークホルダーに心から感謝したい」
「これはチームにとっても、ファンにとっても素晴らしいニュースであり、耐久レースの輝かしい未来を緻密に描くものだ」
「マニュファクチャラーは、同じモデルのクルマで世界最大の耐久レースに参加できることを夢見ていた。これが現実となるだろう」
IMSAプレジデントのジョン・ドゥーナンは、この発表に先立って先月パリで行なわれたグループ・ミーティングが、プロトタイプ・スポーツカーレースに「革命を起こす」可能性があると信じている。
「世界で最も権威のある耐久レースのステージにおいて、世界で最も優れた自動車メーカーの多くが関連技術を示すための、非常に競争力の高いトップカテゴリーのステージが設けられた」とドゥーナンは述べている。
「我々はともに次世代の耐久スポーツカーレースファンと関わり、我々のスポーツを最高レベルへと引き上げる機会を持つ」
FIA世界耐久委員会の委員長を務めるリシャール・ミルは次のように付け加えた。
「チームとマニュファクチャラーが同じクルマですべてのトップ耐久レースに参加できるという夢が、いまやすぐそこに迫っている」
「モーターレーシングの歴史における、意義深い瞬間だ」
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