WTCR:eシリーズ最終戦。グエリエリ&ミケリス勝利も、初代e王者の称号はエルラシェールの手に
この世界的自粛期間で開催されたWTCR世界ツーリングカー・カップ公式eスポーツ選手権第2弾となる『Pre-season Esports WTCR Championship』の最終戦、仮想セパン・インターナショナル・サーキットでのイベントが7月19日(日)に実施され、初戦をエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)が、最終ヒートを現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)が制覇。しかし初戦の3位表彰台に続きレース2でも7位入賞を果たしたヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)が、現実世界のチャンピオンを降して5ポイント差でのタイトル獲得を決めている。
昨季のバーチャル選手権で活躍したプロのシムレーサーを交えたパイロット版の4戦を経て、現実のWTCRに参戦するレギュラードライバーや経験者のみを対象に開催された『Pre-season Esports WTCR Championship』シリーズ。その最終戦が、リアルな2019年シーズンのフィナーレを飾った舞台でもあるマレーシア、セパン・サーキットで開催された。
その仮想トラックで予選から速さを発揮したのは、FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブするアルゼンチン出身“ハコ車マイスター”のふたりで、グエリエリは惜しくもタイトルを逃した2019年の雪辱を晴らすべく、シュートアウトを制してポールポジションを確保。フロントロウに選手権首位エルラシェールが並ぶ構図となった。
すると12分間6ラップとなった決勝レース1では、エルラシェールの背後をとったグエリエリのチームメイト、ネストール・ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)が1コーナーでポイントリーダーを仕留め、シビック・デュオがオープニングラップから逃げ集団を形成する。
3番手に下がったエルラシェールには、ALL-INKL.COMのサテライト部隊とも言うべきALL-INKL.DE Münnich Motorsportのシビックに乗るアッティラ・タッシが絡み、先頭2台の逃げをサポートする形に持ち込んでいく。
これによりグエリエリはジロラミを約1秒後方に従えてポール・トゥ・ウイン。2位ジロラミは決勝ファステストを記録し、3位エルラシェールはその4秒後方で静かなフィニッシュを迎える結果となった。
■「シビックでワン・ツーを決められてよかった」とグエリエリ
「ネストールのおかげで良い展開になり、良い勝利を手にできた。ホンダやALL-INKL.COMのためにも勝ててよかったよ。それにこの世界にはメカニックがいないけれど、僕らのチームメンバーはこのストリーミングを毎戦ライブ視聴してくれている。彼らにとってもシビックのワン・ツーを決められて良かったよ」とグエリエリ。
そして公式eシリーズの最終ヒートとなったレース2は、エルラシェール、ミケリス、そして前戦勝利で首の皮1枚が繋がったグエリエリの3名にタイトル獲得の権利が残された。
その条件下で始まったレースは、オーレリアン・コンテ(プジョー308TCR/DG Sport Compétition)がリバースポールからスタートを切るも、ターン1でワイドになり王者ミケリスとベンス・ボルディズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/Zengő Motorsport)のハンガリー人コンビが先行するオープニングに。
続く2周目には大逆転を狙うグエリエリが早くも先頭集団に迫り、同じくボルディズらをかわしていたマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing)との熾烈な2番手争いを繰り広げる。
レース時間が半分を過ぎたところでようやくオモラの前に出たグエリエリは、ヒュンダイのブロックで失った時間を取り戻すべく、スパートを開始して首位ミケリスを猛追。ファイナルラップ突入時点でその差を1秒圏内にまで縮めてくる。
しかし、わずか1ラップだけでは現世界王者をパスするには充分でなく、優勝争いは0.708秒差で決着し、ミケリスが3ラウンド連勝でeシリーズ3勝目をマーク。3位にミケル・アズコナ(CUPRA Leon Competición TCR/CUPRA Racing)が入り、この最終ヒートを悠々7位でフィニッシュしたエルラシェールが、勝者ミケリスを5ポイント、2位グエリエリを6ポイント上回り、仮想空間でのチャンピオンタイトルを手にしている。
タイトルホルダーとなったエルラシェールは「最初に、このチャンピオンシップに参加した皆にお祝いと『ありがとう』を言いたい」とコメント。
「選手権前の(第1弾となる)4戦から、シミュレーターの調整に膨大な時間を費やしたよ。おかげでバーチャル・タイトルを獲れた。現実のシリーズが始まるのを楽しみにしているし、同じ結果が手にできることを願っているよ!」
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