マシンのスローダウン、天候の変化、SC介入とレイの転倒…。鈴鹿8耐でカワサキの優勝が遠のいた瞬間
7月29日に鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿8時間耐久ロードレースの決勝レース。4回目のピットインを迎えたKawasaki Team GREENのジョナサン・レイが駆るマシンが、突如失速した。なぜ、カワサキZX-10RRはスローダウンしてしまったのだろうか。
スローダウンしたのは、カワサキ・チームグリーンが4回目のピットインを迎えた100周目だった。レイが駆るマシンは通常ではない遅い速度でピットレーンに入ると、ホームストレートの下り坂を利用してゆっくりとピットに向かった。
ガス欠かとも思われたが、このときカワサキ・チームグリーンが周回したのは28周。第2スティントからこのときの第4スティントまで、同じ周回数だった。
カワサキ・チームグリーンの釈迦堂利郎監督はレース後、「原因は不明です」と語る。
「スローダウンをしたのは裏ストレートの真ん中を少し過ぎたあたりからでした。(下り坂なので)惰性で帰ってこられたのはよかったですけれど。原因はまったくわかりません。ガソリンの量が少なくなったら警報がつくようになっているのですが。あれで30秒から40秒、損をしてしまいました」
スローダウンして戻ってきたマシンを一時ガレージに入れたカワサキ・チームグリーンは、ライダーをレオン・ハスラムに代えて3番手でレースに復帰する。
その後、突然雨が降り出し、MuSASHi RTハルク・プロ.ホンダの水野涼が転倒。これによってセーフティカーが介入した。鈴鹿8耐のセーフティカーは2台導入され、そのときにどちらのセーフティカーの後ろにつことができるのかも重要だ。
同じセーフティカーのグループに入れば、前とのギャップを詰めることができる。反対に、追いかけたいチームと別のセーフティカーのグループに入ってしまうと、差が開くことになってしまう。
カワサキ・チームグリーンはアンラッキーにも、この2回目のセーフティカーランのとき、トップ2台とは別のセーフティカーのグループに入ってしまい、そのためトップの2台、Red Bull Honda with 日本郵便、YAMAHA FACTORY RACING TEAMと半周ほど離れてしまった。
さらにこのセーフティカーラン中、ライダーを担当していたレイがスプーンカーブで転倒。すぐに起き上がりマシンをピットに戻したが、このときの状況についてレイはこう説明する。
「そのときはスリックタイヤで走っていて、路面はフルウエットだった。(ピットに)入ろうと思ったけれど、チームが『ステイ』とサインを出していたので、それを我慢していたんだ。(転倒のときは)何が起こったのかはわからない。スロットルのせいでもなければ、するっと(転んだ)。ケガはしなかったよ」
トップ争いを演じながらも3位で終えた決勝レースを振り返り、釈迦堂監督は「(レースでは)通常のドライだったらよかったのだけど。雨になってドライになって、セーフティカーが履いて……。一瞬のタイミングが、勝負を分けてしまいましたね」と語った。
序盤から中盤にかけてトップを走り鈴鹿サーキットを沸かせたカワサキ・チームグリーンは、優勝に手が届くことはなかった。しかし、2018年の鈴鹿8耐でレイが見せた感嘆すべき速さと、カワサキ・チームグリーンの活躍は間違いなく、ファンを魅了するものだった。
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