スペイン戦で「150%を出す」と誓った久保建英…日本をメダルへ導くゴールなるか
サッカーキング2021年8月2日(月)18時7分
U-24日本代表をけん引する久保建英 [写真]=Getty Images
「グループリーグが始まる前から、普通に行けば、準決勝はスペインだと考えていた。次は100%、120%、150%の力で勝ちたい。どうせ2試合やるなら、最終日に決勝を戦いたいと思っています」
7月31日の東京五輪準々決勝・U-24ニュージーランド(NZ)戦をPK戦の末に勝ち切った後、久保建英は安堵感をにじませつつも、次への闘志をむき出しにした。
グループリーグのU-24南アフリカ、メキシコ、フランス戦で3試合連続ゴールを挙げ、チームを1位通過へと導く大仕事を果たした。しかしながら、NZ戦は相手に徹底マークされ、自身の体力消耗も重なってゴール前のキレが影を潜めた。それゆえに「次こそは」という思いはひと際、強いだろう。
7月17日の本番前最後のテストマッチではスペインに押し込まれ、土俵際で寄り切られるような形で1-1に持ち込まれている。賢い久保は同じ轍を踏んではいけないと誰よりもよくわかっているはずだ。
改めて前回対戦を振り返ってみると、主力組が出ていた前半のスペインは、アンカーのマルティン・スピメンディが遠藤航、田中碧の両ボランチの裏を狙って配球し、サイドも効果的に使いながら攻撃を仕掛けてきた。スピメンディのケアは本来、久保が行くべきだったのだが、そのあたりが中途半端になり、後手を踏む格好になった。
その教訓を次こそ生かす必要がある。スペインも久保に対する警戒を強めてくると見られる。もしかすると、日本の中盤3枚を徹底マークしてきたNZ以上に激しい寄せや当たりを受けるかもしれない。それでも、少年の頃からスペインでスキルを学び、修羅場をくぐってきた彼なら必ず難敵をかいくぐることができる。長年、積み上げてきた底力を今こそ示すべき時なのだ。
「変に自己中になることなく、俺がチームを勝たせるつもりで引っ張りたい」と久保はコメントしたというが、エゴを出す時と仲間を生かす時のメリハリを以前よりもうまくつけられるようになってきた印象も強い。期待は高まるばかりだ。
18歳になった直後の2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)で日本代表デビューを果たした頃は、「金田喜稔の持つ19歳119日の代表最年少ゴール記録を越えるのは確実だ」と騒がれ、レアル・マドリード移籍が決まったこともあり、本人も肩に力が入っているようなところが見受けられた。最年少ゴール記録のことを聞かれるたびに「いつまでも言われ続けるのもあれなんで、早いうちに決められればそれで終わりなのかな」と不機嫌そうにコメントしていたのが記憶に新しい。
その後、コロナの影響もあって大記録達成は叶わず、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェと3チームも渡り歩いて定位置をつかみきれなかった。その影響でA代表でも主力の座を手にすることもできていない。ただ、逆にそういう足踏み状態の時期を過ごしたのは、彼にとってプラスに働いたのかもしれない。
思い起こせば、2018年前半戦を過ごしたFC東京で試合に出られず、横浜F・マリノスへレンタル移籍した時も前向きな変化があった。新たな環境で大ブレイクというわけにはいかなかったが、ベテランの中澤佑二や栗原勇蔵、親友になる山田康太らとともにプレーする中で、「なぜ自分を使ってくれないのか」という思考から「足りないものは何か」というようにマインドが変わったのは確かだ。
そこからの久保は、課題と言われた守備やオフ・ザ・ボールの動きの質にこだわり、90分間ハードワークすることを心掛けるようになプレーヤーに変化。FC東京に復帰した2019年前半戦には13試合出場4ゴールという結果を残すに至った。当時、松本山雅FCを率いていた反町康治監督も「プレーをギリギリのタイミングで変えたりと、少し日本人離れしたところがある。久々に日本人選手から質の違いを見せられた」と脱帽したほどだ。
サッカー選手のみならず、人は誰もが壁にぶつかり、それを乗り越えて成長する。今の久保はスペイン移籍から2年間の経験を糧にして、グングン飛躍している時期なのだろう。目覚ましい進化が今回の東京五輪で実証されていると言っていい。
準決勝・スペイン戦でその事実をさらに色濃く示すことができれば、今後のキャリアも変わってくるかもしれない。目下、彼の所属先はレアルだが、8月13日開幕の2021-22シーズンはどこでプレーするか決まっていない。19-20シーズンを戦ったマジョルカへの再レンタルやレアル・ソシエダへのレンタル、あるいは残留といったように、去就に関してはさまざまな憶測が流れている。本人は東京五輪に集中しており、金メダルだけを見据えているが、自らの進路も無視できないテーマなのは間違いない。
スペイン撃破の原動力となれば、選択肢がさらに増え、自身にとって最良の道を進める確率が高まる。そういう意味でも、この試合は極めて重要だ。
ペドリやダニ・オルモといったユーロ2020ベスト4の主力たちと肩を並べるようなパフォーマンスを示したうえで、日本を勝利へと導く得点を挙げる。そして金メダルを手にする……。そんな成功ロードを歩めれば、輝かしい未来が開けてくるはずだ。
文=元川悦子
7月31日の東京五輪準々決勝・U-24ニュージーランド(NZ)戦をPK戦の末に勝ち切った後、久保建英は安堵感をにじませつつも、次への闘志をむき出しにした。
グループリーグのU-24南アフリカ、メキシコ、フランス戦で3試合連続ゴールを挙げ、チームを1位通過へと導く大仕事を果たした。しかしながら、NZ戦は相手に徹底マークされ、自身の体力消耗も重なってゴール前のキレが影を潜めた。それゆえに「次こそは」という思いはひと際、強いだろう。
7月17日の本番前最後のテストマッチではスペインに押し込まれ、土俵際で寄り切られるような形で1-1に持ち込まれている。賢い久保は同じ轍を踏んではいけないと誰よりもよくわかっているはずだ。
改めて前回対戦を振り返ってみると、主力組が出ていた前半のスペインは、アンカーのマルティン・スピメンディが遠藤航、田中碧の両ボランチの裏を狙って配球し、サイドも効果的に使いながら攻撃を仕掛けてきた。スピメンディのケアは本来、久保が行くべきだったのだが、そのあたりが中途半端になり、後手を踏む格好になった。
その教訓を次こそ生かす必要がある。スペインも久保に対する警戒を強めてくると見られる。もしかすると、日本の中盤3枚を徹底マークしてきたNZ以上に激しい寄せや当たりを受けるかもしれない。それでも、少年の頃からスペインでスキルを学び、修羅場をくぐってきた彼なら必ず難敵をかいくぐることができる。長年、積み上げてきた底力を今こそ示すべき時なのだ。
「変に自己中になることなく、俺がチームを勝たせるつもりで引っ張りたい」と久保はコメントしたというが、エゴを出す時と仲間を生かす時のメリハリを以前よりもうまくつけられるようになってきた印象も強い。期待は高まるばかりだ。
18歳になった直後の2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)で日本代表デビューを果たした頃は、「金田喜稔の持つ19歳119日の代表最年少ゴール記録を越えるのは確実だ」と騒がれ、レアル・マドリード移籍が決まったこともあり、本人も肩に力が入っているようなところが見受けられた。最年少ゴール記録のことを聞かれるたびに「いつまでも言われ続けるのもあれなんで、早いうちに決められればそれで終わりなのかな」と不機嫌そうにコメントしていたのが記憶に新しい。
その後、コロナの影響もあって大記録達成は叶わず、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェと3チームも渡り歩いて定位置をつかみきれなかった。その影響でA代表でも主力の座を手にすることもできていない。ただ、逆にそういう足踏み状態の時期を過ごしたのは、彼にとってプラスに働いたのかもしれない。
思い起こせば、2018年前半戦を過ごしたFC東京で試合に出られず、横浜F・マリノスへレンタル移籍した時も前向きな変化があった。新たな環境で大ブレイクというわけにはいかなかったが、ベテランの中澤佑二や栗原勇蔵、親友になる山田康太らとともにプレーする中で、「なぜ自分を使ってくれないのか」という思考から「足りないものは何か」というようにマインドが変わったのは確かだ。
そこからの久保は、課題と言われた守備やオフ・ザ・ボールの動きの質にこだわり、90分間ハードワークすることを心掛けるようになプレーヤーに変化。FC東京に復帰した2019年前半戦には13試合出場4ゴールという結果を残すに至った。当時、松本山雅FCを率いていた反町康治監督も「プレーをギリギリのタイミングで変えたりと、少し日本人離れしたところがある。久々に日本人選手から質の違いを見せられた」と脱帽したほどだ。
サッカー選手のみならず、人は誰もが壁にぶつかり、それを乗り越えて成長する。今の久保はスペイン移籍から2年間の経験を糧にして、グングン飛躍している時期なのだろう。目覚ましい進化が今回の東京五輪で実証されていると言っていい。
準決勝・スペイン戦でその事実をさらに色濃く示すことができれば、今後のキャリアも変わってくるかもしれない。目下、彼の所属先はレアルだが、8月13日開幕の2021-22シーズンはどこでプレーするか決まっていない。19-20シーズンを戦ったマジョルカへの再レンタルやレアル・ソシエダへのレンタル、あるいは残留といったように、去就に関してはさまざまな憶測が流れている。本人は東京五輪に集中しており、金メダルだけを見据えているが、自らの進路も無視できないテーマなのは間違いない。
スペイン撃破の原動力となれば、選択肢がさらに増え、自身にとって最良の道を進める確率が高まる。そういう意味でも、この試合は極めて重要だ。
ペドリやダニ・オルモといったユーロ2020ベスト4の主力たちと肩を並べるようなパフォーマンスを示したうえで、日本を勝利へと導く得点を挙げる。そして金メダルを手にする……。そんな成功ロードを歩めれば、輝かしい未来が開けてくるはずだ。
文=元川悦子
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