パリ五輪世代筆頭ボランチ 藤田譲瑠チマはベルギーで輝けるのか
サッカーキング2023年8月4日(金)7時52分
2023-24シーズンの主要欧州リーグの先陣を切り、7月28日にベルギー1部が開幕。現時点で日本人選手7人を擁するシント・トロイデンはホームでスタンダール・リエージュと対戦。1-0で勝ち切り、幸先のいい白星発進をしてみせた。
今夏のステップアップが噂される日本代表GKシュミット・ダニエルとアルビレックス新潟から加入した伊藤涼太郎が先発。途中から37歳のベテランFW岡崎慎司、新加入のパリ五輪世代のボランチであるMF山本理仁がピッチに立つ中、7月27日に横浜F・マリノスからの完全移籍が決まった藤田譲瑠チマはもちろんベンチ外だった。
労働許可の関係もあり、週が明けてからチームに正式合流し、新天地デビューは早くても8月13日のアンデルレヒト戦になる見込みだ。
問題はポジションとなる。スタンダール戦を見る限り、シント・トロイデンは3-4-2-1の布陣でスタート。伊藤涼太郎はボランチの位置から試合に入り、2列目へ徐々に上がってインサイドハーフやトップ下のような形でプレーした。アンカー的な守備的MFにはマティアス・デロージが入り、85分に山本が彼と交代している。
こういった状況だと、藤田もデロージや山本とのポジション争いを強いられそうだ。あるいは、ボランチから2列目を幅広くこなす伊藤の役割を求められる可能性もある。現時点で一つハッキリしているのは、藤田に定位置が約束されているわけではないということ。それは事実と言っていい。
今季からシント・トロイデンの指揮官を務めるのは、かつてヴィッセル神戸も率いた経験を持つトルステン・フィンク監督。日本人選手の特徴をよく知っているし、藤田と山本が東京ヴェルディのアカデミー時代から共闘してきた間柄だとも認識しているはず。ゆえに、2人を揃って使うという選択肢も持ち合わせているだろう。
ただ、必ずしもそう仕向けるとは限らないし、伊藤ら他選手との兼ね合いもある。全ては藤田が全体練習に合流してからになるが、指揮官はベストな起用法を慎重に見極めていくはずだ。
藤田にしてみれば、厳しい競争というのは横浜FM時代と全く同じ。2022年EAFF E-1選手権で一世を風靡したパリ五輪世代のボランチも今季はJ1リーグ17試合出場のうち、先発は6試合。喜田拓也と渡辺皓太の前にスタメンを勝ち取れずに苦しんだ。
「今の僕は最後の10~15分に出た中で自分に何ができるかだと思う。(6月24日の)サンフレッチェ広島戦では、自分のところから2~3回チャンスあったので、そこで点を決められるかどうか。それが大事だったと感じました。一方で、『自分の仕事は点決めることではなく、チームを落ち着かせることや、自分たちの時間をどれだけ増やせるか』という気持ちもあります。その良さを日頃の紅白戦などで出して、(ケヴィン・マスカット)監督の信頼を勝ち取り、出場時間を増やしていければいいと思っています」
藤田は6月末、偽らざる本音を吐露していた。新天地でも似たような難しさを覚えるかもしれないが、自分のやるべきことを整理し、ピッチで表現し続けるしかない。賢く前向きな彼ならば、必ず壁をこじ開けられるはずだ。
「(五輪代表メンバーの鈴木)唯人を見ていると、欧州に行ってから雰囲気も考え方もすごく変わったと思います。練習中から自分の考えや姿勢を示すようになったし、自分に足りないものを少しでもプラスしようと頑張っている。僕も世界基準を見ながら、自分のプレーを何とかしなければいけない。足りないものは分かっているので、そこにしっかりと向き合っていきます」
彼はこうも語っていたが、球際や寄せ、強度、迫力といった部分をシント・トロイデンで磨き上げられれば、大化けできるだけのポテンシャルがある。そうなるように、新たな環境で必死に取り組んでいくしかない。
9月にはAFC U-23アジアカップ予選も控えている。しばらく公式戦から遠ざかりそうな藤田にとって、灼熱の中東での公式戦はかなり厳しいものになりそうだが、パリ五輪代表では存在感を示し続けなければいけない。そこで目に見えるインパクトを残せば、シント・トロイデンでの序列アップに布石を打てるだろう。
9月以降、ベルギー1部でコンスタントに試合に出て、実績を積み上げることができれば、藤田は一回りも二回りもスケールアップできるはず。その成果を来春に予定されるU-23アジアカップ、そしてパリ五輪本番にぶつけられれば、1年後のステップアップやA代表入りも見えてくる。成功ロードを歩むためにも、21歳の今を大事にすること。藤田にはそれを強く求めたい。
取材・文=元川悦子
今夏のステップアップが噂される日本代表GKシュミット・ダニエルとアルビレックス新潟から加入した伊藤涼太郎が先発。途中から37歳のベテランFW岡崎慎司、新加入のパリ五輪世代のボランチであるMF山本理仁がピッチに立つ中、7月27日に横浜F・マリノスからの完全移籍が決まった藤田譲瑠チマはもちろんベンチ外だった。
労働許可の関係もあり、週が明けてからチームに正式合流し、新天地デビューは早くても8月13日のアンデルレヒト戦になる見込みだ。
問題はポジションとなる。スタンダール戦を見る限り、シント・トロイデンは3-4-2-1の布陣でスタート。伊藤涼太郎はボランチの位置から試合に入り、2列目へ徐々に上がってインサイドハーフやトップ下のような形でプレーした。アンカー的な守備的MFにはマティアス・デロージが入り、85分に山本が彼と交代している。
こういった状況だと、藤田もデロージや山本とのポジション争いを強いられそうだ。あるいは、ボランチから2列目を幅広くこなす伊藤の役割を求められる可能性もある。現時点で一つハッキリしているのは、藤田に定位置が約束されているわけではないということ。それは事実と言っていい。
今季からシント・トロイデンの指揮官を務めるのは、かつてヴィッセル神戸も率いた経験を持つトルステン・フィンク監督。日本人選手の特徴をよく知っているし、藤田と山本が東京ヴェルディのアカデミー時代から共闘してきた間柄だとも認識しているはず。ゆえに、2人を揃って使うという選択肢も持ち合わせているだろう。
ただ、必ずしもそう仕向けるとは限らないし、伊藤ら他選手との兼ね合いもある。全ては藤田が全体練習に合流してからになるが、指揮官はベストな起用法を慎重に見極めていくはずだ。
藤田にしてみれば、厳しい競争というのは横浜FM時代と全く同じ。2022年EAFF E-1選手権で一世を風靡したパリ五輪世代のボランチも今季はJ1リーグ17試合出場のうち、先発は6試合。喜田拓也と渡辺皓太の前にスタメンを勝ち取れずに苦しんだ。
「今の僕は最後の10~15分に出た中で自分に何ができるかだと思う。(6月24日の)サンフレッチェ広島戦では、自分のところから2~3回チャンスあったので、そこで点を決められるかどうか。それが大事だったと感じました。一方で、『自分の仕事は点決めることではなく、チームを落ち着かせることや、自分たちの時間をどれだけ増やせるか』という気持ちもあります。その良さを日頃の紅白戦などで出して、(ケヴィン・マスカット)監督の信頼を勝ち取り、出場時間を増やしていければいいと思っています」
藤田は6月末、偽らざる本音を吐露していた。新天地でも似たような難しさを覚えるかもしれないが、自分のやるべきことを整理し、ピッチで表現し続けるしかない。賢く前向きな彼ならば、必ず壁をこじ開けられるはずだ。
「(五輪代表メンバーの鈴木)唯人を見ていると、欧州に行ってから雰囲気も考え方もすごく変わったと思います。練習中から自分の考えや姿勢を示すようになったし、自分に足りないものを少しでもプラスしようと頑張っている。僕も世界基準を見ながら、自分のプレーを何とかしなければいけない。足りないものは分かっているので、そこにしっかりと向き合っていきます」
彼はこうも語っていたが、球際や寄せ、強度、迫力といった部分をシント・トロイデンで磨き上げられれば、大化けできるだけのポテンシャルがある。そうなるように、新たな環境で必死に取り組んでいくしかない。
9月にはAFC U-23アジアカップ予選も控えている。しばらく公式戦から遠ざかりそうな藤田にとって、灼熱の中東での公式戦はかなり厳しいものになりそうだが、パリ五輪代表では存在感を示し続けなければいけない。そこで目に見えるインパクトを残せば、シント・トロイデンでの序列アップに布石を打てるだろう。
9月以降、ベルギー1部でコンスタントに試合に出て、実績を積み上げることができれば、藤田は一回りも二回りもスケールアップできるはず。その成果を来春に予定されるU-23アジアカップ、そしてパリ五輪本番にぶつけられれば、1年後のステップアップやA代表入りも見えてくる。成功ロードを歩むためにも、21歳の今を大事にすること。藤田にはそれを強く求めたい。
取材・文=元川悦子
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