WTRアキュラ、雨混じりのレースを制し今季4勝目。MSRはクラッシュで選手権首位陥落/IMSA第10戦
6月7日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第10戦『IMSAファストレーン・スポーツカー・ウイークエンド』の決勝レースがアメリカ、ウィスコンシン州のロード・アメリカで行われ、コニカミノルタ・アキュラARX-05(ウェイン・テイラー・レーシング)のリッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ組10号車アキュラARX-05が総合優勝を飾った。
2017年にデビューしたDPiカーが参加するレースも残すはあと2戦。シーズン終盤、DPiラストイヤーのチャンピオンシップを占ううえでも重要な1戦は、気温22度/路面温度25度、非常に細かな雨が落ちるなか、ドライコンディションで2時間40分レースのスタートが切られた。
ホールショットを奪ったのは、ポールシッターのアルバカーキ駆る10号車アキュラだ。選手権ランキング2位につけるこのクルマはチップ・ガナッシが運営するキャデラック・レーシングの01号車と02号車キャデラックDPi-V.Rを従えるかたちでレース序盤を支配していく。
LMP2カーのスタックによって、レース開始から25分過ぎに導入されたフルコースコーション(FCY)中のピットストップ後も、このトップ3オーダーは変わらず。しかし、約20分後にレースが開始されると、強まった雨によってウエットコンディションとなった路面でスリックタイヤが機能せずコースに留まるのがやっとの状況に。
対して直前のピットストップで唯一、レインタイヤに履き替えていた5号車キャデラックDPi-V.R(JDCミラー・モータースポーツ)はライバルたちが悪戦苦闘するなか労せずトップに浮上。同じくウエットタイヤを履いたLMP2の集団とともに他のDPiカーを大きく引き離していく。
その差が約50秒となったところで粘りをみせていた“スリックDPi勢”が一斉にピットボックスへ。各車ともウエットタイヤに履き替えてコースに復帰したが、トップとのギャップは1分40秒以上に拡大することになった。
リチャード・ウエストブルック駆る5号車が快走をみせるなかレース開始から1時間10分過ぎ、LMP3マシンから落下したパーツを回収のためのFCYが出される。この間に5号車がピットイン。ラインができ始めた路面に対応するべくスリックに履き替えて出ていく。この動きにDPiクラスのライバルたちも反応し、全車がふたたびスリックタイヤを履いてコースに復帰した。
スタートから1時間30分、セーフティカーが退きレースは仕切り直しに。トリスタン・ボーティエに交代した5号車キャデラックを先頭にCGRの01号車キャデラック、選手権リーダーの60号車アキュラARX-05(マイヤー・シャンク・レーシング)、10号車アキュラARX-05、02号車キャデラックのオーダーで接近戦が繰り広げられる。
■ジャービスが痛恨のクラッシュ。最終戦を前に選手権トップが入れ替わる
レース終盤の戦いに向けてはLMP3カーのアクシデントによって出された今レース3度目のFCY中、レース時間残り45分でのピットストップでポジションが入れ替わり、60号車と10号車のアキュラがワン・ツーに躍り出る。その後ろに01号車、5号車、02号車のキャデラック勢が続くトップ5となった。
残り時間36分でレース再開。直後からタイトルを争うオリバー・ジャービス(MSR)とアルバカーキ(WTR)によるトップ争いが熱を帯び、両車はテール・トゥ・ノーズの戦いを繰り広げる。20分後、トラフィックに詰まった60号車を10号車が攻略。これでトップが入れ替わる。直後、後方でも表彰台を争っていた5号車と01号車がサイドバイサイドのバトルを見せるが両者ともにオーバーシュートを喫し、この隙に02号車キャデラックが3番手を奪った。
トップ3台が1.5秒差に収まるワンパックとなって迎えたレース最終盤、02号車の追撃を受けていたジャービスが、緩い右コーナーの立ち上がりでコースオフ。ハーフスピン状態で反対側のウォールに激突してしまう。すぐさまデブリの回収とコース清掃のためFCYが導入されるが、60号車はフロントを大きく壊しながらも走行を続ける。
結局、レースはセーフティカー先導のままチェッカーを迎えることとなり、終盤のバトルを制した10号車アキュラがポール・トゥ・ウインを達成した。2位は02号車キャデラック、3位にも僚友01号車キャデラックが続き、フロントを壊したまま走り続けた60号車が4位に。雨の中で一時は首位を走行した5号車が5位でフィニッシュしている。
LMP2クラスは、残り12分で8号車オレカ07(タワー・モータースポーツ)をオーバーテイクした18号車オレカ07・ギブソン(Eraモータースポーツ)が今季初優勝。LMP3クラスでは3番手からスタートし中盤以降レースを優位に進めた74号車リジェJS P320・ニッサン(ライリー・モータースポーツ)がクラス優勝を飾った。
GTDプロはレースの最初から最後まで9号車ポルシェ911 GT3 R(パフ・モータースポーツ)と接戦を繰り広げた14号車レクサスRC F GT3(バッサー・サリバン)がポール・トゥ・フィニッシュで、今年スタートした同クラスでの初優勝を達成している。GTDクラスを制したのは、前戦ライムロック・パークで優勝目前のガス欠で涙を呑んだ57号車メルセデスAMG GT3(ウィンワード・レーシング)だ。
優勝したアルバカーキ/テイラー組が3066ポイントでドライバー選手権首位に立ち、19ポイント差でジャービス/トム・ブロンクビスト組が追う展開となったIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第11戦は、8月27〜28日にバージニア・インターナショナル・レーシウェイで開催される『ミシュランGTチャレンジ・アット・VIR』だ。同イベントはその名のとおりGTカーのみが参加するラウンド。DPi、LMP2、LMP3クラスも揃うシーズン最終戦『プチ・ル・マン』は9月29日〜10月1日に行われる。
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