ガンバ大阪の状況が本当にマズい理由【J1リーグ2022】
明治安田生命J1リーグ、ガンバ大阪(以下G大阪)の状況が厳しい。かつて体現した圧倒的な攻撃力は大きく陰りを見せ、2022シーズン開幕当初に目標としていたACL出場圏(年間1〜3位または天皇杯優勝)の夢はとっくに霞んだどころか、今では残留をかけた崖っぷちの戦いを強いられている。リーグ戦24試合を消化しここまで、勝利はたった5試合。最下位のジュビロ磐田と並んでリーグワーストの勝利数である。
今2022シーズンから新体制でスタートしたG大阪だったが、8月14日に行われたJ1リーグ第24節清水エスパルス戦での敗戦(0-2)をもってJ2降格の大本命になってしまった。この夏に積極的な補強を進めるも、クラブの状況は依然としてネガティブな要素が多い。今シーズンのG大阪の状況が本当にマズいと考える理由をいくつかご紹介したい。
とにかく闘争心がない
個々の意識はともかくとして、G大阪のチーム全体において、闘う意識が希薄化していることが問題点として挙げられる。コミュニケーション不足なのか単なる慢心か、ボールへの寄せ方がとにかく緩く、球際への集中力は改善が必要と考える。
8月14日に行われたJ1第24節清水エスパルス戦(0-2)での1失点目は、まさにその典型であろう。ピッチ中央で攻め込まれたG大阪は、まずカルリーニョス・ジュニオ(清水)の侵入を適切に捕まえることができずにミスリード。そしてパスを受け取ったベンジャミン・コロリ(清水)へのケアを全く行わずにフリーでシュートを打たせてしまった結果、あってはならない先制点を献上することになった。あれだけ簡単にチャンスを作られてしまってはならない。
また、そもそもこの試合が今後のリーグ戦の戦況に影響する非常に重要な試合であることを、選手・監督・スタッフ全員が共通認識として持っていたのかどうかが甚だ疑問である。「裏天王山」でもあるこの試合の意味を理解していれば、90分通してあのパフォーマンスにはならなかったはずだ。
他人任せで保守的なプレーが多い
残念ながら今のG大阪は、他人任せで見苦しいフットボールを表現している。攻撃時にはボール保持者へのサポートが薄く、攻撃の糸口を見つけることができないままバックパス。この繰り返しである。
「いつか誰かがペナルティエリアまでボールを運んでくれるだろう」という淡い期待を抱いてか、ゴール前に多くの選手が滞留していることも問題であると考える。自分の位置するエリア以外からボールを受け取る姿勢が相対的に少なく、相手が守りやすい状態となった結果、攻撃が機能しない現象が起きる。
これが今のG大阪のメカニズムだ。特に夏場の連戦で肉体的にも厳しい時期ではあるが、それは他のどのクラブも同じ環境。ピッチ上において、全員の体力低減を軽減できるような工夫が求められる。
結局何がしたいのか分からない
G大阪がピッチ上において何を表現し、何をコンセプトにゴールを奪うのかが不明瞭な点も、由々しき事態であると考える。一貫した攻撃のメカニズムを持ち合わせおらず、ここまで生まれたゴールも論理的な戦術の下「狙うべくして狙ったゴール」が少ない。再現性が皆無であることが何よりの理由だ。
相手の戦術に対してスキを突くことが試合を制する鉄則ではあるが、そもそもゴールに向かうパターンが不明瞭な状態では試合をモノにすることができない。今のG大阪は羅針盤を持たない海賊船である。
今後の対戦相手が相当厳しい
ここからの再起に期待したいところだが、G大阪(現17位)の2022シーズン残り10試合での巻き返しは相当難しいのではないかと考える。以下がこの後10試合のスケジュールだ。
G大阪2022シーズンJ1第26節以降スケジュール
8月20日:サンフレッチェ広島(A)
8月27日:名古屋グランパス(A)
9月3日:サガン鳥栖(H)
9月10日:FC東京(H)
9月18日:ヴィッセル神戸(A)
10月1日:柏レイソル(H)
10月8日:横浜Fマリノス(A)
10月29日:ジュビロ磐田(H)
11月5日:鹿島アントラーズ(A)
※日程未確定でアビスパ福岡(A)
この後はサンフレッチェ広島(現5位)名古屋グランパス(現10位)のアウェイ戦(A)が待ち構えており、その後も中位以上のクラブとの試合が多く予定されている。残り試合で勝ち点を積み上げることは、かなり困難なミッションになるのではないだろうか。
また、可能な限り同じく残留を目指すクラブから勝ち点を奪いたいが、そのチャンスは9月中旬のヴィッセル神戸(現16位)10月下旬のジュビロ磐田(現18位)の2試合のみに留まり、期待することができない。
いずれにしても壊滅的なチーム状態を冷静に見つめ直し、新戦力との融合によってチームの強化を行う以外に残された道はないG大阪。このままズルズルと時間が進めば、いよいよ真剣に「J2」と向き合わなければならない状況がやってくることになるだろう。
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