ポコノ戦の多重クラッシュに佐藤琢磨が弁明「自分の正当性はきちんと主張したい」
NTTインディカー・シリーズ第14戦の舞台は、ペンシルバニア州のポコノ。トライアングルの形をした2.5マイルオーバルで、今年も500マイル200周のレースで戦う。佐藤琢磨は2017年にポコノでポールポジションも取っている相性のいいトラックだ。
だが、このポコノでは近年、大きなアクシデントが起きている。2015年にジャスティン・ウイルソンを亡くし、昨年はキャッチフェンスに激しくヒットしたロバート・ウィッケンスが大怪我を喫し、リハビリ生活を送っている。
来年以降ここでインディカーを開催するべきでないとする声も多い。開催の契約はまだ締結しておらず、場合によってはこれが最後のインディカー・レースとなるかもしれない。
レースウイークエンドになると、土曜日には朝のプラクティス開始前にサンダーストームがポコノ周辺を通過したために予選がキャンセルとなり、代わりに2時間のプラクティスが設けられた。
インディ500で好結果をもたらした琢磨の30号車ならば、同じスーパースピードウェイのパッケージであるポコノでも良いのではないかと期待された。しかし、走り初めからペースが上がらず、琢磨はピットインを繰り返し、マシンをどんどん修正していき、終わってみると18番手という厳しい結果に。
「イニシャルのセッティングがダメで、全然ペースが上がらなかった。2時間走ってようやくスタート地点に来た感じ」と表情も険しかった。
グリッドはここまでのエントラントポイントのランキング順となったため、7番手のグリッドに着いた琢磨。
グリーンフラッグでスタートするとアウト側からターン1にアプローチした琢磨は勢い良く立ち上がり、前のグラハム・レイホールをかわすとライアン・ハンター-レイに追いつく。ハンターレイは前を走るアレクサンダー・ロッシをイン側から抜こうとし、琢磨はロッシのアウト側に動き3ワイドに。
ターン2に差し掛かろうとする頃に、琢磨の左リヤとロッシの右フロントが接触。隣のハンター-レイも巻き込んでイン側に弾かれると、さらにイン側のバリアに当たってコースに戻り、フェリックス・ローゼンクヴィストにも接触。5台を巻き込む多重クラッシュとなった。
琢磨はハンター-レイのマシンにもつれるような形で、最後は完全な裏返しになって止まった。幸いにもすぐに救出され、琢磨、ハンター-レイ、ロッシ、ジェームズ・ヒンチクリフと各ドライバーはメディカルセンターからリリースされた。
いちばん容体が心配されたローゼンクヴィストも念のため市内の病院に搬送されたが、検査の結果、異常は見つからなかった。
「アクシデントの後はフェリックスの事が心配でしたが、ドライバーの誰も大きな怪我がなかった事が不幸中の幸いでした。またこのアクシデントでタイトルを争うロッシを巻き込んでしまった事は申し訳なく思っています」と琢磨はすぐにコメントしていた。
だがTV解説を含め、このアクシデントについてロッシからも琢磨の非を問う声も多く上がり、SNSでも琢磨を糾弾する声が上がった。
琢磨はこれに対して自らの見解をツイッターで主張。また日本のメディア陣にも画面を添えて説明してくれた。
「ロッシのオンボードのリプレイを見ると、僕がいきなり彼に当たっていったように見えていますが、僕の自分のオンボードを見ると路面のシール(黒い線)に沿ってまっすぐ走っていて、そこに急に左後ろから当てられているように映っています」
「そのVTRをインディカーにも見てもらい説明しましたし、彼らは11台のカメラで分析もしている。見え方によって意見が食い違っているのかもしれませんが、その点において僕も自分の正当性はきちんと主張しなくてはいけないと思います」と説明した。
だが仮に琢磨の潔白が証明されたとしても、0周リタイアとなった事態には変わりはなく、昨年のアクシデントを思えば、まずドライバーが無事であったことを幸いとせねばならないだろう。
今シーズン残りのレースは残り3戦となり、琢磨もランキング8位に後退してしまったが、次戦以降の奮起に期待したい。
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