トロロッソ・ホンダF1密着:苦戦の予想を覆し力強い走りを披露したガスリー、ベルギーGPで連続入賞
「いままで高速サーキットでは苦しい戦いを強いられるケースが少なくなかったですが、今回はストレートでオーバーテイクされることもなく、その点に関しても、ポジティブな結果だったと思います」
トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが9位入賞を果たしたF1第13戦ベルギーGPのレース後、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターはそう言って、9位という結果だけでなく、力強い走りを披露したことも高く評価していた。
2015年から2017年までのマクラーレン・ホンダの3年間は、ベルギーGPで厳しい戦いを強いられてきた。15年はフェルナンド・アロンソ13位、ジェンソン・バトン13位。16年はアロンソが7位に入賞したが、バトンはリタイア。そして、17年はストフェル・バンドーンが14位で、アロンソはリタイアに終わっている。
今回のガスリーの9位は16年のアロンソの7位に次ぐ好成績。14位に終わったブレンドン・ハートレーも、スタート直後の不運がなければ、十分ポイントを獲得できる走りを披露した。
レースはスタート直後の1コーナーで多重クラッシュが発生。この混乱をうまくかわしたのが10番手からスタートしていたガスリーだった。ガスリーはスタートでスーパーソフトタイヤを装着し、好ダッシュしていたことがアクシデントを回避できた遠因となった。
一方、11番手からスタートしたハートレーはソフトタイヤを選択。
「タイヤを2台で分けるにあたっては、ミーティングでいろんな意見が出ましたが、結果的には良かったと思います。ハートレーがソフトにした理由は、彼のセッティングと金曜日のデータからデグラデーションを考慮して決めました。ハートレーから後ろのドライバーが全員ソフトを選択したことを考えれば、間違っていたとは言えません」(田辺TD)
■多重クラッシュの影響を受けたブレンドン・ハートレー
ハートレーもスタートは悪くなかったが、1コーナーでダニエル・リカルド(レッドブル)とキミ・ライコネン(フェラーリ)が接触。
その真後ろを走っていたハートレーは、1コーナーの立ち上がりで、「マシンにダメージを負った2台の後ろで足止めを食らう」(ハートレー)形となり、オー・ルージュの手前でウイリアムズとザウバーのマシンに抜かれてしまった。
1周目を8番手で通過したガスリーは、その後、グリッドペナルティを受けて17番手からスタートしていたメルセデスのバルテリ・ボッタスにオーバーテイクされたものの、その後はコース上で一度もオーバーテイクされることなく、トップと同一周回の9位でフィニッシュ。前戦ハンガリーに続いて、自身初の連続入賞を果たし、チームとしては第11戦ドイツGPから3戦連続ポイントを獲得した。
田辺TDは、「リカルドやライコネンという明らかに我々よりも速いドライバーがスタート直後のアクシデントに巻き込まれてリタイアするというラッキーな部分もありましたが、自分たちもミスなく、しっかりと力を出せたレースでした」と、チームとして、持てる力をしっかりと発揮したことも評価していた。
それを可能にしたのは、もちろん、ガスリーとハートレーの力であり、そのふたりに戦闘力の高いマシンを用意したトロロッソである。
しかし、週末を通して、ホンダがパワーユニットに全く問題を発生させなかったことも忘れてはならない。パワーユニットの性能は決して馬力だけではない。チームの2台のマシンが、実力を100%発揮できるよう、安定して走行できる信頼性も大切だということをあらためて感じさせたトロロッソ・ホンダとして、初めて臨んだベルギーGPだった。
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