接触、ペナルティ、トラブル。表彰台を失った3台の450km【第5戦鈴鹿GT300決勝】
8月29日、鈴鹿サーキットで開催されたスーパーGT第5戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE』決勝。真夏の450km長距離ラウンドはサバイバル戦となり、表彰台争いを繰り広げた車両が次々と戦線を離れることになった。ここではGT300クラスで上位走行中にトラブルやアクシデントで上位戦線を離れた当事者たちに、そのときの状況、トラブルについて聞いた。
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■2度のペナルティで「不完全燃焼」56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R
ポイントランキングトップにつけ、100kgのサクセスウエイト(SW)を搭載して第5戦に挑んだ56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R。27日に行われた公式予選ではウエイトを感じさせない走りで2列目4番グリッドを獲得。2年ぶりの王座獲得に向け、ここ鈴鹿でも大量得点を掴むはずだった。
「88号車と接触があったんだ。シケインの後でね」とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラはその状況を振り返る。
オリベイラがステアリングを握った第2スティント、日立Astemoシケインの立ち上がりで88号車weibo Primez ランボルギーニ GT3と接触。このアクシデントで56号車にはドライブスルーペナルティが課され、表彰台獲得のチャンスを失った。
「あのペナルティがなければ優勝は無理でもポディウムには上がれたと思う。本当に残念だよ」とオリベイラは肩を落とす。
さらに、55号車ARTA NSX GT3がS字コーナーでストップしたため、64周目にフル・コース・イエロー(FCY)が導入された。57周目にドライブスルーペナルティを消化し、1ポイントを獲得できる10番手でチェッカーを受けたオリベイラだったが、このFCY中の追い越しにより、競技結果に40秒加算のペナルティが課され、正式結果は13位となった。
「不完全燃焼です。3位になれたレースでした」と語ったのは、第1スティントを担当した藤波清斗。
「僕としてはできることやったので……これもレースですね、また次に向けて頑張ります」と悔しさを露わにした。
■「もったいないし悔しい」88号車weibo Primez ランボルギーニ GT3
「シケインの立ち上がりで、GT500と絡んでペースが落ちたところで追突されて、オリベイラ選手に抜かれました」と、先述の56号車と接触時に88号車のステアリングを握っていた88号車の第1&2スティント担当の元嶋佑弥は振り返る。
「僕は最終コーナーで横向く感じになり、なんとかリカバリーできたので良かったですけど。それで順位は落としてしまったので、おそらくその追突に対してだと思います」
56号車との接触で順位を落とすも、第3スティントを担当した小暮卓史に変わった時点で88号車は4番手までポジションを回復した。しかし、小暮が搭乗中の61周目に左リヤタイヤから白煙を上げてスローダウンし、予定外のピットインを強いられ、勝負権を失うこととなった。
「徐々にタイヤの内圧が落ちてきちゃって……終了って感じです」と小暮は悔しさを滲ませる。
「もったいないですよね。もったいないし悔しいです。こんなレースはしたくないので、確実に戦えるように考えなくちゃ駄目ですね、本当に」と小暮。
また、88号車は元嶋がステアリングを握った第1スティントから原因不明のトラブルを抱えていたという。
「自分のスティントでもトラブルが出て。タイムを大きく失ってしまい、ストラテジー通りには走れませんでした。表彰台圏内だったので、第2スティントもとにかく頑張って、とにかく集中して走っていたのですけど。去年も前回(2022年第3戦鈴鹿)も毎回表彰台圏内を走ってるときにトラブルが続いているので、つらいです」と元嶋。
2022年シーズンはトラブルが続いた88号車。「ただ、見ていただいたとおり、クルマが遅いわけではないので。しっかりと、もっともっと詰めるとこ詰めて、(今回優勝した)4号車のようにしっかり勝って、みんなで喜びたいですね」と元嶋は語った。その視線はもう第6戦SUGOを見据えているようだ。
■2戦続いたトラブルに「次は勘弁してほしい」55号車ARTA NSX GT3
8番手スタートからオープニングラップで6番手に浮上した55号車ARTA NSX GT3。第3戦富士以来となる今季2回目の入賞、さらには今季初の表彰台に向けて快調な滑り出しを見せたが、「スタートでポジションを2つ上げて1周目を終えましたが、そこから先は少しタイヤがきつくなり、ついていくのも精一杯でした」と第1&2スティントを担当した木村偉織は明かした。
17周目に最初のピットストップを終えると、ピット義務1回消化済みのトップで周回を続け、6周目には2番手まで上げた木村。
「途中で52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTに詰まったのがひとつ悔しい部分だったのですけど、そこからは自分の走りができて、(第2スティントの)最後は何周にもわたって2号車muta Racing GR86 GT、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGとバトルを繰り広げました。そういう意味ではできることやりきれたかなと思います」と自身のスティントを振り返った。
そんな23歳のGT300ルーキーとコンビを組むベテラン武藤英紀は「落ち着いていましたし、周りの人とペースを比較してもよかったですよね。想像よりも気温も高いなか、厳しかったと思います。でも、落ち着いて、すごく冷静に走っていました」と評する。
「偉織選手は結構大変な中、ペースと順位を保っていました。自分が乗ってからも、始めは思うようなペースでは走れませんでした。順位も1つ落としてしまったり。でも終盤はどんどんとバランスが良くなって、ペースを上げられるかなといった矢先に、でした」
武藤がステアリングを握る50周目の時点では5番手につけていた55号車は、ピット義務2回消化済みの中では2番手だった。56周目には10号車TANAX GAINER GT-Rにかわされるも順位は3番手をキープ。この時点で4番手だった52号車とは13秒近いギャップが開いており、表彰台獲得は目前。あとは終盤にスパートをかけて優勝を手にできるかどうかの戦いだった。
しかし、そんな中で迎えた64周目のS字カーブで、武藤は車両をコースサイドに止めることとなった。原因については「電気系統か……まだ原因は特定できていません」と武藤は明かした。
「なので、“その先”を見てみたかったなと、正直思います。とはいえ、同じようなトラブル(第4戦富士も原因不明のトラブルによりリタイア)が続いているので、次は勘弁してほしいですね」
「今回が300kmレースだったら無事チェッカーを受けていたと思います、難しいですね。でもチームも変えられる部品は全部変えると言っています。みんな一生懸命に戦って、手は抜いていません。そんな中でも起きてしまうトラブルなのだと思います。こればっかりは誰かを責めることはできませんね」と武藤は語った。
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