【コラム】2年前と形勢逆転…バルセロナに訪れた“忘れ去りたい夏”
サッカーキング2017年9月6日(水)18時1分
バルベルデ監督のもと、王座奪還を目指すバルセロナ [写真]=Getty Images
ほんの2年前の夏、バルセロニスタはライバルの失態を笑っていた。バルセロナはMSN(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)というトリデンテの攻撃力を最大限に活かし、チャンピオンズリーグ(CL)、リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイの3冠を達成した後に迎えた夏だった。一方、最大のライバルにタイトルを独占されたレアル・マドリードは、当然ながら補強は必須だった。中でも目玉は、マンチェスター・Uのスペイン代表GKダビド・デ・ヘアだった。GKイケル・カシージャスを追い出し、正GKのポストを用意したほどだった。GKケイロル・ナバスのトレードを絡めて進められたオペレーションは移籍市場最終日にレアル・マドリードとマンチェスター・Uの間で合意に至ったが、8月31日24時の提出期限までに書類手続きが間に合わず、失敗に終わった。歴史に残る失態を笑っていたクレだが、まさか2年後にCLを連覇したマドリディスタに自分たちが笑われるとは想像もできなかったに違いない。そう初夏に誰もネイマールが退団するとは考えられなかったように。
2017年夏はバルセロナにとって、失敗だった。CLを連覇し、リーガまでも奪ってしまったレアル・マドリードを追撃しなければならないのに、チームはクレが望むような増強が出来なかった。ネルソン・セメド、ジェラール・デウロフェウ、パウリーニョ、ウスマン・デンベレがやって来たが、ネイマールの喪失感を穴埋めできるクオリティもなければ、華も欠ける。初夏にはマルコ・ヴェラッティ、8月にはフィリペ・コウチーニョ、アンヘル・ディ・マリアと連日地元紙に躍ったが、9月のメンバー表に彼らの名前はない。
失敗の移籍市場を更なるパロディにしたのが、バルトメウ会長ら役員の公のコメントだ。9月3日付のスペイン紙『アス』は、そんな彼らの言動をまとめていた。
「ヴェラッティを私たちはほしいし、彼は来たがっている」(7月8日/会長バルトメウ)
「ネイマールは200パーセント残留する」(7月18日/第3副会長ジョルディ・メストレ)
「コウチーニョは熱くなっている。なぜなら(気温が高い)8月だからだ」(8月7日/スポーツ・マネージャーペップ・セグウラ)
「(契約更新時に)ネイマールの違約金を上げたのは、バルサにとっていい決断だった。もし残っていれば、偉大な選手を保持でき、出て行ったので、大きな収支となった」(8月8日/会長バルトメウ)
「契約は近いが、全てを締結しなければ、私たちは何も言うことは出来ない。コウチーニョが青とエンジのユニフォームを着ることを期待している」(8月16日/スポーツ・マネージャー、ペップ・セグウラ)
「もっと競争力があるチームを持てることを期待している」(8月26日/監督エルネスト・バルベルデ)
「他の契約をまとめることが私の意向であり、それは2人になるかもしれない」(8月28日/スポーツディレクターロベルト・フェルナンデス)
ヴェラッティ、コウチーニョは来ず、ネイマールで手にした収支は上手く活用できず、エルネスト・バルベルデ監督に「もっと競争力があるチーム」は用意されなかった。
移籍市場が閉まった翌日、批評や批判を迅速に最小限に喰い止めようという意図があったのかどうかは分からないが、プロフェッショナル・スポーツディレクターのアルベルト・ソレールとテクニカル・セクレタリーのロベルト・フェルナンデスは会見を開いた。
「2億7000万ユーロ(約352億円)をかけて今日2人(コウチーニョとディ・マリア)の選手の入団を発表していたら、私たちは辞任しなければならなかった」。「クラブの経済的な危険にさらすことは出来なかった」
彼らのコメントをソシオは正論と受け取ったのか。または言い訳と聞き流したのか。
忘れたい夏は終わったが、クレの不安はまだ尽きない。バルセロナの役員たちは口を揃えて「メッシの契約延長は順調だ」と語るが、代理人である父親と弁護士は署名をしているが、当の選手本人はまだサインをしていないと報じられているからだ。対照的にレアル・マドリードは、オイルマネーに対抗するため、チームの将来であるアセンシオの違約金を7億ユーロ(約913億円)に上げるだろうと報道された。
2年後、すっかり立場は逆転している。
文=座間健司
2017年夏はバルセロナにとって、失敗だった。CLを連覇し、リーガまでも奪ってしまったレアル・マドリードを追撃しなければならないのに、チームはクレが望むような増強が出来なかった。ネルソン・セメド、ジェラール・デウロフェウ、パウリーニョ、ウスマン・デンベレがやって来たが、ネイマールの喪失感を穴埋めできるクオリティもなければ、華も欠ける。初夏にはマルコ・ヴェラッティ、8月にはフィリペ・コウチーニョ、アンヘル・ディ・マリアと連日地元紙に躍ったが、9月のメンバー表に彼らの名前はない。
失敗の移籍市場を更なるパロディにしたのが、バルトメウ会長ら役員の公のコメントだ。9月3日付のスペイン紙『アス』は、そんな彼らの言動をまとめていた。
「ヴェラッティを私たちはほしいし、彼は来たがっている」(7月8日/会長バルトメウ)
「ネイマールは200パーセント残留する」(7月18日/第3副会長ジョルディ・メストレ)
「コウチーニョは熱くなっている。なぜなら(気温が高い)8月だからだ」(8月7日/スポーツ・マネージャーペップ・セグウラ)
「(契約更新時に)ネイマールの違約金を上げたのは、バルサにとっていい決断だった。もし残っていれば、偉大な選手を保持でき、出て行ったので、大きな収支となった」(8月8日/会長バルトメウ)
「契約は近いが、全てを締結しなければ、私たちは何も言うことは出来ない。コウチーニョが青とエンジのユニフォームを着ることを期待している」(8月16日/スポーツ・マネージャー、ペップ・セグウラ)
「もっと競争力があるチームを持てることを期待している」(8月26日/監督エルネスト・バルベルデ)
「他の契約をまとめることが私の意向であり、それは2人になるかもしれない」(8月28日/スポーツディレクターロベルト・フェルナンデス)
ヴェラッティ、コウチーニョは来ず、ネイマールで手にした収支は上手く活用できず、エルネスト・バルベルデ監督に「もっと競争力があるチーム」は用意されなかった。
移籍市場が閉まった翌日、批評や批判を迅速に最小限に喰い止めようという意図があったのかどうかは分からないが、プロフェッショナル・スポーツディレクターのアルベルト・ソレールとテクニカル・セクレタリーのロベルト・フェルナンデスは会見を開いた。
「2億7000万ユーロ(約352億円)をかけて今日2人(コウチーニョとディ・マリア)の選手の入団を発表していたら、私たちは辞任しなければならなかった」。「クラブの経済的な危険にさらすことは出来なかった」
彼らのコメントをソシオは正論と受け取ったのか。または言い訳と聞き流したのか。
忘れたい夏は終わったが、クレの不安はまだ尽きない。バルセロナの役員たちは口を揃えて「メッシの契約延長は順調だ」と語るが、代理人である父親と弁護士は署名をしているが、当の選手本人はまだサインをしていないと報じられているからだ。対照的にレアル・マドリードは、オイルマネーに対抗するため、チームの将来であるアセンシオの違約金を7億ユーロ(約913億円)に上げるだろうと報道された。
2年後、すっかり立場は逆転している。
文=座間健司
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