トヨタ、8年ぶり復活のWRCアクロポリスで初日トップ3独占。ラトバラ「大変なのは明日以降」
9月9日、ギリシャの首都アテネでWRC世界ラリー選手権第9戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』のデイ1、SS1が行われ、最高峰クラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTはセバスチャン・オジエが初日首位に立った。また、僚友のエルフィン・エバンスが総合2番手、カッレ・ロバンペラが総合3番手に続きトヨタ・ヤリスWRCがトップ3を独占した。
WRCにおける伝統のラリーのひとつであるアクロポリス・ラリーは1951年に初開催され、1973年からシリーズのカレンダーに組み込まれた。しかし近年は2013年以降、他のラウンドに置き換えられWRCイベントとしては実施されてこなかった。
そんなアクロポリス・ラリーが今年、中止が決定したWRCチリ・ラウンドの代替戦として8年ぶりにWRCカレンダーへの復帰を果たした。
中央ギリシャの都市ラミアにラリーの拠点となるサービスパークを構えた同イベントは9日(木)に競技初日を迎え、この日は朝に行われたシェイクダウン後、ラミアから約200km離れた首都アテネへ移動。パルテノン神殿の下で実施されたセレモニアルスタートに続いて、市街地に設けられた全長0.98kmの特設ターマック(舗装路)ステージでSS1が行われた。
トヨタのドライバーたちは、このストリートコースでライバルたちを上回る速さをみせ、ロバンペラ、エバンス、オジエの順にトップタイムを更新してみせる。最終的には51.5秒というタイムを刻んだシリーズ7冠王者が初日最速の座を手にし、0.6秒差の総合2番手にエバンス、さらに0.2秒の僅差でロバンペラが続き、デイ1終了時点でワン・ツー・スリー体制を築いている。
なお、今戦もTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムから出場予定だった勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、コドライバーのキートン・ウイリアムズが緊急を要する家族の事情により急きょ帰国することになったため、開幕直前に出走を取りやめることとなった。
「クラシックなイベントであるアクロポリス・ラリーを、歴史あるアテネからスタートできたことをとてもうれしく思う」と語るのは、TGR WRT代表で2013年のアクロポリス・ラリー・ウイナーであるヤリ-マティ・ラトバラ。
「最初のステージは我々にとっていい結果になったが、大変なのは明日以降だ」
「今週は、ここまでのところ私が過去にこのラリーで経験したことがないような天気となり、2日間雨が降り続き、ステージはかなりぬかるんでいる。明日については、ステージが行われるルートラキの周辺では雨が降っていなかったので、コンディションは良さそうだがね」
■金曜日のドライコンディションは「僕にとっては残念」とオジエ
「ラリー前のテストは暑く、ドライコンディションの道で行なったため、今朝のシェイクダウンでぬかるんだ道を走ることができたのは良かったと思う」と続けたラトバラ代表。
「これで、必要に応じてラリー中にセットアップを変更し、ぬかるんだコンディションにもうまくクルマを適応させることができるだろう」
初日のSS1から一転し本格的なグラベル(未舗装路)ラリーがスタートする10日(金)のデイ2は、アテネ西部のコリントス運河の近くにあるビーチリゾート、ルートラキの周辺で3本のSSを走行した後、午後は北へ移動しラミアのサービスパークに向かう途中で、さらに2本のステージが行われる。計5本のSSの合計距離は89.40km。リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は485.67kmだ。
TOYOTA GAZOO Racing WRTドライバーの競技初日終了後のコメントは以下のとおり。
●セバスチャン・オジエ/デイ1総合首位
「ギリシャに戻って来ることができてうれしく思う。すでに多くのファンからの応援を受けていて、それが最初のステージでは自分たちの力になった」
「今週末は、きっとチャレンジングな戦いになると思う。レッキは多くの雨と霧に見舞われて簡単にはいかず、完璧なペースノートを作ることは難しかった。今朝のシェイクダウンは、過去のギリシャのステージよりもはるかにぬかるんだコンディションだったが、ラリー本番でも同じような区間があるかもしれない」
「僕にとって残念なのは、明日のステージに関してはドライコンディションになりそうなことだ。ドライコンディションのステージを出走順1番手で走る場合、道の表面の滑りやすい石を掃き飛ばしながら走行しなくてはならないので、とてもタフな作業となる」
「ここまで戦ってきたグラベルラリーと同じように、金曜日のタイムロスをできる限り最小限に抑え、その後どこまで挽回できるのか考えたいが、今回のようなコンディションでは決して簡単な週末にはならないと思うので、やれるだけのことをやってみるつもりだ」
●エルフィン・エバンス/デイ1総合2番手
「今晩、アテネでラリーをスタートすることができてうれしく思うし、たとえ距離が短いステージであったとしてもいいスタートを切れて良かった」
「今朝は雨が多く降り、非常にぬかるんだ路面でのシェイクダウンとなり、どれくらいグリップするのか判断するのが難しかった。この週末も同じような路面コンディションになるかどうかは分からないが、明日のステージはもっともドライな路面になるだろう」
「土、日曜日のステージについてはレッキの段階ではかなり濡れていてぬかるんでいたが、実際に我々が本番で走る時までにどれくらい乾くのか予想できない」
「明日はタイヤ選択が大きなカギを握ると思うけど、自分たちの選択が正しいことを願っている」
●カッレ・ロバンペラ/デイ1総合3番手
「自分にとって初めてのアクロポリス・ラリーをスタートすることができて良かったし、多くのファンの前で最初のステージを走り、クルマのパフォーマンスを見せることができてうれしく思う」
「今日の朝、トリッキーなコンディションでシェイクダウンを走ったのはとても有益だった。というのも、レッキの段階ではステージに水や泥が多くあったからだ」
「これから路面はかなり乾いていく可能性があるので、コンディションがどう変化するのかを注意して見ていく必要がある」
「とはいえ、シェイクダウンでは何度かクリーンな走りができたし、ドライビングを楽しむこともできた。面白いラリーになることは間違いないだろう」
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