バルセロナ、5シーズンぶりの欧州王座奪還へ…「歴史的大失態」からの巻き返しは?
サッカーキング2019年9月15日(日)14時48分
[写真]=Getty Images
「赤っ恥」(ムンド・デポルティーボ紙)
「歴史的大失態」(マルカ紙)
「空前絶後の笑い種」(スポルト紙)
スペインを代表するスポーツ各紙の一面に踊った辛辣な見出しの数々は、チャンピオンズリーグ(CL)で2年連続の大逆転負けを喫したバルセロナに向けられたものだ。
一昨シーズンのローマとの準々決勝に、昨シーズンのリヴァプールとの準決勝と、ホームでのファーストレグで3点のリードを奪いながら、アウェイのセカンドレグでバルセロナは惨敗を喫した。4シーズン優勝から遠ざかっているチームは、短期決戦での勝負弱さを克服しなければ頂点に立つことは不可能だ。
主将を務める大黒柱のリオネル・メッシも、衝撃的な敗戦の原因としてメンタルの揺らぎを挙げている。
「僕たちは本当に惨めな試合をしてしまった。情けない姿を見せてしまった。ああいった事は時として起こり得る。しかし、2年連続というのは決してあってはならない。リヴァプール戦はローマ戦と良く似た試合だった。早い時間帯にゴールを奪われ、前年の事が選手の頭をよぎってしまった。確かにミスや不注意が多かった。だが、最も酷かったのは、戦うことを忘れてしまったことだ」
精神面に加え戦術面にも問題が…
だが、敗因は精神面だけでなく戦術面にもある。バルセロナの戦い方の真骨頂は、攻撃で圧倒することで守備の負荷を減らすところにある。だが、現在のチームは、高い位置からプレスを掛けられたりマンマークを付けられたりすると、後方からのビルドアップが破綻。持ち味のボールポゼッションがままならなくなり、試合をコントロールできなくなってしまう。無理して繋ごうとしたパスを奪われ、ショートカウンターから失点するという、リスクマネージメントの欠如も散見する。
3連覇が懸かるリーガ・エスパニョーラでも、ビルバオに惜敗した第1節に、オサスナとドローに終わった第3節と、ホームの声援をバックに圧力を掛けてくるチームとの対戦で勝ち点を取りこぼしている。もちろん、開幕前に故障したメッシや開幕戦で負傷したルイス・スアレスの欠場により、ベストメンバーが組めていないという側面はある。だが、実力で劣るチーム相手に脆さを露呈している事実から、問題が依然として解決していないことが伺える。
相手に押し込まれた際に自慢のパスワークが影を潜めてしまう原因としては、ポジショニングの悪さが挙げられている。中でもスペインのスポーツ専門チャンネル『GOL』は、その背景にあるプレーの柔軟性の無さを指摘している。
「バルセロナはテクニックに優れた選手を数多く揃えている。しかし、ボールを持ったセンターバックやボランチにプレッシャーを掛けられた際も、インサイドハーフがサイドに張り過ぎたり高い位置に留まったりするケースが多い。これでは十分なパスコースを確保することはできない。期待の新戦力としてスタメン起用されているMFフレンキー・デ・ヨングも、適切な形でボールを受けられなければ持ち味を生かせはしない。彼が力を発揮するためには、オランダ代表のようにもっと自由にプレーさせる必要がある」
実力を発揮できればCL制覇の可能性も
それとは別に、チームは“メッシ依存症”という問題を何年も前から抱え続けている。しかし、史上最高とも呼ばれる選手への依存度が高くなるのは仕方ないだろう。むしろ、絶対的エースがここ一番で最大限の力が出せるよう、チームとしてマネージメントすることの方が重要だ。そういった意味で、補強の目玉であるアントワーヌ・グリーズマンには、攻撃陣全体の底上げに期待が掛かる。
シーズン序盤から苦戦が続くバルセロナだが、ヨーロッパ指折りの陣容を誇ることは間違いない。メッシ、スアレス、グリーズマンの“MSGトリオ”にウスマン・デンベレを擁する前線は、噛み合えば驚異的な爆発力を持つ。セルヒオ・ブスケツ、イヴァン・ラキティッチ、アルトゥール、アルトゥーロ・ビダル、セルジ・ロベルトらの名手にデ・ヨンクが加わった中盤は、質・量共に申し分ない。ジェラール・ピケとクレマン・ラングレのパス能力にジョルディ・アルバの攻撃参加が特長の最終ラインは、1対1のディフェンスこそ若干不安だが総合力は高い。マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンが君臨するゴールマウスは盤石だ。実力さえ発揮できれば、CL制覇の可能性は十分にあるだろう。
実際、大手オンライン・ブックメーカー8社による優勝予想オッズでは、プレミアリーグ連覇中のマンチェスター・C(3.0~3.5倍)に次ぐ、2番手の評価(4.5~5.0倍)を受けている。これは現王者のリヴァプール(5.5~7.0倍)をも上回るもので、レアル・マドリード(7.0~10.0倍)、パリ・サンジェルマン(8.5~11.0倍)、ユヴェントス(7.0~12.0倍)、バイエルン(9.0~12.0倍)といった名門にも大きな差を付けている。
とはいえ、今大会はグループステージから早くも正念場を迎えている。スラビア・プラハは格下だが、ドルトムントとインテルは難敵であり、予断を許さぬ状況にある。2位以内で決勝トーナメントに進出するためには、早急にチーム状態を上げる必要があり、悠長に構えている時間的な余裕はない。
大一番に泰然自若で挑めるよう、戦力に見合った底力が欲しいバルセロナにとって、むしろ“死の組”に入ったのは良いテストと見る向きもある。2年分連続の悪夢を払拭できるのか、はたまた失意のどん底をまたもや味わうのか。5年振りの頂点を目指す戦いには、グループステージから目が離せない。
文=北村敦
「歴史的大失態」(マルカ紙)
「空前絶後の笑い種」(スポルト紙)
スペインを代表するスポーツ各紙の一面に踊った辛辣な見出しの数々は、チャンピオンズリーグ(CL)で2年連続の大逆転負けを喫したバルセロナに向けられたものだ。
一昨シーズンのローマとの準々決勝に、昨シーズンのリヴァプールとの準決勝と、ホームでのファーストレグで3点のリードを奪いながら、アウェイのセカンドレグでバルセロナは惨敗を喫した。4シーズン優勝から遠ざかっているチームは、短期決戦での勝負弱さを克服しなければ頂点に立つことは不可能だ。
主将を務める大黒柱のリオネル・メッシも、衝撃的な敗戦の原因としてメンタルの揺らぎを挙げている。
「僕たちは本当に惨めな試合をしてしまった。情けない姿を見せてしまった。ああいった事は時として起こり得る。しかし、2年連続というのは決してあってはならない。リヴァプール戦はローマ戦と良く似た試合だった。早い時間帯にゴールを奪われ、前年の事が選手の頭をよぎってしまった。確かにミスや不注意が多かった。だが、最も酷かったのは、戦うことを忘れてしまったことだ」
精神面に加え戦術面にも問題が…
だが、敗因は精神面だけでなく戦術面にもある。バルセロナの戦い方の真骨頂は、攻撃で圧倒することで守備の負荷を減らすところにある。だが、現在のチームは、高い位置からプレスを掛けられたりマンマークを付けられたりすると、後方からのビルドアップが破綻。持ち味のボールポゼッションがままならなくなり、試合をコントロールできなくなってしまう。無理して繋ごうとしたパスを奪われ、ショートカウンターから失点するという、リスクマネージメントの欠如も散見する。
3連覇が懸かるリーガ・エスパニョーラでも、ビルバオに惜敗した第1節に、オサスナとドローに終わった第3節と、ホームの声援をバックに圧力を掛けてくるチームとの対戦で勝ち点を取りこぼしている。もちろん、開幕前に故障したメッシや開幕戦で負傷したルイス・スアレスの欠場により、ベストメンバーが組めていないという側面はある。だが、実力で劣るチーム相手に脆さを露呈している事実から、問題が依然として解決していないことが伺える。
相手に押し込まれた際に自慢のパスワークが影を潜めてしまう原因としては、ポジショニングの悪さが挙げられている。中でもスペインのスポーツ専門チャンネル『GOL』は、その背景にあるプレーの柔軟性の無さを指摘している。
「バルセロナはテクニックに優れた選手を数多く揃えている。しかし、ボールを持ったセンターバックやボランチにプレッシャーを掛けられた際も、インサイドハーフがサイドに張り過ぎたり高い位置に留まったりするケースが多い。これでは十分なパスコースを確保することはできない。期待の新戦力としてスタメン起用されているMFフレンキー・デ・ヨングも、適切な形でボールを受けられなければ持ち味を生かせはしない。彼が力を発揮するためには、オランダ代表のようにもっと自由にプレーさせる必要がある」
実力を発揮できればCL制覇の可能性も
それとは別に、チームは“メッシ依存症”という問題を何年も前から抱え続けている。しかし、史上最高とも呼ばれる選手への依存度が高くなるのは仕方ないだろう。むしろ、絶対的エースがここ一番で最大限の力が出せるよう、チームとしてマネージメントすることの方が重要だ。そういった意味で、補強の目玉であるアントワーヌ・グリーズマンには、攻撃陣全体の底上げに期待が掛かる。
シーズン序盤から苦戦が続くバルセロナだが、ヨーロッパ指折りの陣容を誇ることは間違いない。メッシ、スアレス、グリーズマンの“MSGトリオ”にウスマン・デンベレを擁する前線は、噛み合えば驚異的な爆発力を持つ。セルヒオ・ブスケツ、イヴァン・ラキティッチ、アルトゥール、アルトゥーロ・ビダル、セルジ・ロベルトらの名手にデ・ヨンクが加わった中盤は、質・量共に申し分ない。ジェラール・ピケとクレマン・ラングレのパス能力にジョルディ・アルバの攻撃参加が特長の最終ラインは、1対1のディフェンスこそ若干不安だが総合力は高い。マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンが君臨するゴールマウスは盤石だ。実力さえ発揮できれば、CL制覇の可能性は十分にあるだろう。
実際、大手オンライン・ブックメーカー8社による優勝予想オッズでは、プレミアリーグ連覇中のマンチェスター・C(3.0~3.5倍)に次ぐ、2番手の評価(4.5~5.0倍)を受けている。これは現王者のリヴァプール(5.5~7.0倍)をも上回るもので、レアル・マドリード(7.0~10.0倍)、パリ・サンジェルマン(8.5~11.0倍)、ユヴェントス(7.0~12.0倍)、バイエルン(9.0~12.0倍)といった名門にも大きな差を付けている。
とはいえ、今大会はグループステージから早くも正念場を迎えている。スラビア・プラハは格下だが、ドルトムントとインテルは難敵であり、予断を許さぬ状況にある。2位以内で決勝トーナメントに進出するためには、早急にチーム状態を上げる必要があり、悠長に構えている時間的な余裕はない。
大一番に泰然自若で挑めるよう、戦力に見合った底力が欲しいバルセロナにとって、むしろ“死の組”に入ったのは良いテストと見る向きもある。2年分連続の悪夢を払拭できるのか、はたまた失意のどん底をまたもや味わうのか。5年振りの頂点を目指す戦いには、グループステージから目が離せない。
文=北村敦
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