【今週の気になるニュース】2021年のF1シートを巡るストーブリーグが激化。フェラーリ育成の若手が台頭
2020年F1第9戦トスカーナGPの開幕直前、来年からアストンマーティンとしてスタートするレーシングポイントが、セルジオ・ペレスの今シーズン限りでの離脱と、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の加入を発表した。これによりペレスの去就に注目が集まっている。
9月18日の時点で2021年のシートがふたつとも確定しているのは、フェラーリ、マクラーレン、ルノー、ウイリアムズの4チームのみで、これ以外の6チームのうち、メルセデス、レッドブル、レーシングポイントの3チームはまだひとつが発表されていない。さらに残るアルファタウリ・ホンダ、アルファロメオ、ハースの3チームはふたつとも未定のままとなっている。つまり、まだ9つのシートについて確定したという発表が行われていない。
したがって、ペレスにもまだチャンスは残っている。しかし、決して安泰ではない。それは残っている9つのシートがすべて完全に空いているわけではないからだ。
たとえば、メルセデスの残るひとつは、ほぼルイス・ハミルトンで決まっていると言ってもよく、レーシングポイントもランス・ストロール以外が乗ることはないだろう。さらにレッドブル・ホンダのひとつとアルファタウリ・ホンダのふたつにはレッドブルの育成ドライバーが座る可能性が高い。
そうなると、残るはアルファロメオとハースの2チームだけとなる。しかも、この2チームのシートを狙っていのは、F1ドライバーだけではない。それは9月11日のautosport webの『シューマッハーら育成ドライバーのF1昇格について語るフェラーリ代表「判断基準は成績だけではない」』というニュースで触れられている。
このニュースで、フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットが語っていることは、現在FIA-F2選手権でランキングトップに立っているのはミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)だが、F1昇格の判断基準は、その成績だけではないということだ。
というのも、現在FIA-F2選手権に参戦しているフェラーリ・ドライバー・アカデミー所属のドライバーは、シューマッハーだけではないからだ。しかも、そのうちカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)とロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)もまたFIA-F2選手権でランキング上位にいる。ムジェロでの第9戦を終えた段階で、アイロットは8点差で2位、シュワルツマンは21点差で4位につけている。
シューマッハーはトップに立っているものの、優勝はわずか1回であるのに対して、アイロットとシュワルツマンはそれぞれ3回優勝している。さらにシューマッハーとアイロットは昨年もFIA-F2選手権に参戦していたが、シュワルツマンは今年がルーキーイヤーという点も重要な判断基準のひとつとなるだろう。
ただし、9月11日のautosport webのニュースのなかで、ビノットはこうも述べている。
「彼らのパフォーマンスだけが決定要因になるだろうか? そうではない」
これは、たとえシューマッハーが1勝のみでタイトルを獲ったとしても、あるいは最終的にタイトルを逃しても、ミハエル・シューマッハーの息子という知名度からF1に乗る可能性がないわけではないということを言っているようにも聞こえる。また、シュワルツマンがロシアのSMPレーシングから強力なサポートを受けており、その金銭面でのバックアップのことを言っているのかもしれない。
F1のシートが実力だけで決まるわけではないことは、今回のペレスとベッテルの交代劇が如実に物語っている。それを身に染みて感じているからこそ、今後について尋ねられたペレスが「いまはまだプランBを考える余裕はない」と語ったのではないか。
いずれにしても、今年のF1のストーブリーグは、サポートレースのF2のドライバーも入り混じって、例年以上に熱い戦いが繰り広げられている。
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