【コラム】バルサが復調? レアルが不調? 目まぐるしく変わるスペインサッカー事情
サッカーキング2017年9月19日(火)11時57分
バルサとレアルを率いる両監督 [写真]=Getty Images
分刻みでニュースが更新され、1日で情報が消費される現代において、日毎にチームの置かれる状況が変わるのは、当たり前のなのかもしれない。
バルセロナがエスパニョールとのダービーに大勝し、開幕したチャンピオンズリーグ(CL)でユヴェントスに快勝すると地元メディアから綺麗に「危機」というフレーズが消えた。スーペル・コパでレアル・マドリードに大敗してから「危機」と連日騒ぎ立て、メディアに煽られるようにカンプ・ノウのスタンドが「バルトメウ、辞任しろ!!」とコールしていたのが嘘のようだ。エスパニョール戦で何度も起こった会長の辞任を要求する声は、ユヴェントス戦では「ほとんどなかった」と友人のソシオは言っていた。そんな彼もエスパニョール戦の前には現体制への不満を語っていたが、そのクレームは今は霧散した。地元メディアも「今のバルセロナは危機にあるが、それはこの次のゲームに有利に働くか?」とエスパニョールの選手に質問をしていたはずだが、1週間も経たないうちにリオネル・メッシに始まり、エルネスト・バルベルデ監督、そして彼が指揮するチームへの賛辞の言葉が並ぶ。
スペイン紙『マルカ』は電子版で、バルセロナの好調はバルベルデの采配にあると分析した。
「メッシがゴールにより近い位置にポジションを取るようなった」
「MSNがなくなり、システムが変わった。ディフェンスの時は4-4-2で、メッシとルイス・スアレスを前線に残し、ウスマン・デンベレ、アンドレス・イニエスタがそれぞれのサイドのポジションを埋め、イヴァン・ラキティッチがダブルボランチの位置に下がるようになった」
「ネルソン・セメドの補強が当たり、ディフェンスが強固になり、また攻撃面でも厚みを加えた。昨夏に加入し、即戦力となったサミュエル・ユムティティのようになるだろう」
「バルベルデは中盤に時間を作りたいと考えており、イニエスタが絶対的なレギュラーとして、主役の1人に戻ってきた」
夏の移籍市場が終わった時は「エクトル・ベジェリンを獲得できず、第2候補がやって来た」と言われたセメドだったが、チーム同様に今ではそのパフォーマンスは誰もが認めている。
一方、レアル・マドリードはリーガ・エスパニョーラでバレンシア、レバンテ相手に引き分けに終わり、早くもバルセロナのとの勝ち点差を広げられてしまった。スーペル・コパに完勝した時は「史上最高の陣容」と評していたが、今では手の平を返し、チームの編成に疑問符が投げかけられ、決定機をことごとく逃した挙句に、負傷交代したカリム・ベンゼマの代役を務められる「“9番”を獲得しなかったのは、失敗ではないか?」という議論が起こっている。昨シーズンはアルバロ・モラタがいたが、今シーズンはいない。昨シーズンはジネディーヌ・ジダン監督がローテーションを採用し、クリスティアーノ・ロナウドらがいなくてもリーガではモラタやイスコが活躍し、勝ち点3を取りこぼさなかった。今シーズンは早々と2引き分けと、勝ち点を4も失ってしまった。スペイン紙『マルカ』は「ジダンはボルハ・マジョラルに信頼を置いている」とレンタル移籍から復帰した若手に懸けるチームの決断を称えたが、決定力不足で2戦連続ドローとなった後は「ジダンが会長に“9番”の獲得を直訴」「レアル・マドリードの“9番”候補はこの選手だ」という具合にトピックの見出しが変わっている。
世相は目まぐるしく変わる。
特にサッカーでは、1試合の結果で全てが変わる。
バルセロナがユヴェントスに勝利した翌日、決定力不足が指摘されていたレアル・マドリードは、リーガでは出場停止中の大エース・クリスティアーノ・ロナウドがスタメンで出場し、キプロスのアポエル相手に2得点を決めた。さて地元紙の論調は、どう変わるだろうか。
19シーズン連続でチャンピオンズリーグ初戦で黒星を喫しなかった試合の翌日、嬉しそうにしているクレはこう言う。
「ベルトメウへの退任を求めるコールはなかった。でも次のヘタフェ戦で負ければ、また全てが変わるんだ」
まだ9月だ。シーズンは始まったばかりで、その1試合で全てが決まるわけではない。そうは頭で理解していても、地元メディアの報道に染められ、週末の結果に大げさなほどに一喜一憂し、結果で生まれた感触、感情が次のゲームまで世相を支配する。一事が万事。それがメガクラブとそのクラブを応援する人の宿命だ。
文=座間健司
バルセロナがエスパニョールとのダービーに大勝し、開幕したチャンピオンズリーグ(CL)でユヴェントスに快勝すると地元メディアから綺麗に「危機」というフレーズが消えた。スーペル・コパでレアル・マドリードに大敗してから「危機」と連日騒ぎ立て、メディアに煽られるようにカンプ・ノウのスタンドが「バルトメウ、辞任しろ!!」とコールしていたのが嘘のようだ。エスパニョール戦で何度も起こった会長の辞任を要求する声は、ユヴェントス戦では「ほとんどなかった」と友人のソシオは言っていた。そんな彼もエスパニョール戦の前には現体制への不満を語っていたが、そのクレームは今は霧散した。地元メディアも「今のバルセロナは危機にあるが、それはこの次のゲームに有利に働くか?」とエスパニョールの選手に質問をしていたはずだが、1週間も経たないうちにリオネル・メッシに始まり、エルネスト・バルベルデ監督、そして彼が指揮するチームへの賛辞の言葉が並ぶ。
スペイン紙『マルカ』は電子版で、バルセロナの好調はバルベルデの采配にあると分析した。
「メッシがゴールにより近い位置にポジションを取るようなった」
「MSNがなくなり、システムが変わった。ディフェンスの時は4-4-2で、メッシとルイス・スアレスを前線に残し、ウスマン・デンベレ、アンドレス・イニエスタがそれぞれのサイドのポジションを埋め、イヴァン・ラキティッチがダブルボランチの位置に下がるようになった」
「ネルソン・セメドの補強が当たり、ディフェンスが強固になり、また攻撃面でも厚みを加えた。昨夏に加入し、即戦力となったサミュエル・ユムティティのようになるだろう」
「バルベルデは中盤に時間を作りたいと考えており、イニエスタが絶対的なレギュラーとして、主役の1人に戻ってきた」
夏の移籍市場が終わった時は「エクトル・ベジェリンを獲得できず、第2候補がやって来た」と言われたセメドだったが、チーム同様に今ではそのパフォーマンスは誰もが認めている。
一方、レアル・マドリードはリーガ・エスパニョーラでバレンシア、レバンテ相手に引き分けに終わり、早くもバルセロナのとの勝ち点差を広げられてしまった。スーペル・コパに完勝した時は「史上最高の陣容」と評していたが、今では手の平を返し、チームの編成に疑問符が投げかけられ、決定機をことごとく逃した挙句に、負傷交代したカリム・ベンゼマの代役を務められる「“9番”を獲得しなかったのは、失敗ではないか?」という議論が起こっている。昨シーズンはアルバロ・モラタがいたが、今シーズンはいない。昨シーズンはジネディーヌ・ジダン監督がローテーションを採用し、クリスティアーノ・ロナウドらがいなくてもリーガではモラタやイスコが活躍し、勝ち点3を取りこぼさなかった。今シーズンは早々と2引き分けと、勝ち点を4も失ってしまった。スペイン紙『マルカ』は「ジダンはボルハ・マジョラルに信頼を置いている」とレンタル移籍から復帰した若手に懸けるチームの決断を称えたが、決定力不足で2戦連続ドローとなった後は「ジダンが会長に“9番”の獲得を直訴」「レアル・マドリードの“9番”候補はこの選手だ」という具合にトピックの見出しが変わっている。
世相は目まぐるしく変わる。
特にサッカーでは、1試合の結果で全てが変わる。
バルセロナがユヴェントスに勝利した翌日、決定力不足が指摘されていたレアル・マドリードは、リーガでは出場停止中の大エース・クリスティアーノ・ロナウドがスタメンで出場し、キプロスのアポエル相手に2得点を決めた。さて地元紙の論調は、どう変わるだろうか。
19シーズン連続でチャンピオンズリーグ初戦で黒星を喫しなかった試合の翌日、嬉しそうにしているクレはこう言う。
「ベルトメウへの退任を求めるコールはなかった。でも次のヘタフェ戦で負ければ、また全てが変わるんだ」
まだ9月だ。シーズンは始まったばかりで、その1試合で全てが決まるわけではない。そうは頭で理解していても、地元メディアの報道に染められ、週末の結果に大げさなほどに一喜一憂し、結果で生まれた感触、感情が次のゲームまで世相を支配する。一事が万事。それがメガクラブとそのクラブを応援する人の宿命だ。
文=座間健司
(C) SOCCERKING All rights reserved.
「レアル」をもっと詳しく
「レアル」のニュース
-
レアル指揮官、2年ぶりのラ・リーガ制覇を決めた選手たちに称賛「このチームを管理するのは簡単だった」5月5日9時9分
-
レアル、2季ぶり36度目V サッカーのスペイン1部5月5日8時51分
-
ソシエダ久保建英を絶賛!古巣レアル“クソ発言”に内田篤人「凄いスペイン人」5月3日5時44分
-
久保建英がラ・リーガ年間ベストメンバー(TOTS)候補にノミネート レアルから最多8人が選出5月2日21時41分
-
注目浴びる“ブンデス1年生”の快速FW! ビジャレアルら複数クラブが関心…ブレーメンも契約延長を目指す5月2日14時54分
-
レアル、新守護神のウクライナ代表GKと2028年夏まで契約延長へ!5月2日13時31分
-
レアル 2季ぶり決勝へ前進 ビニシウス2発 シュート数で劣るも価値あるドロー5月2日4時41分
-
レアル、GKルニンとの契約を2028年夏まで延長へ!…交渉はすでに最終段階か5月1日23時1分
-
バイエルンとの第1戦はドロー…レアルDFリュディガー「まだいい結果」5月1日14時1分
-
先勝を逃したバイエルン ムシアラが口にしたレアルの“本質”「何もないような状況から…」5月1日11時14分