F1シンガポールGP木曜会見:ウイリアムズ離脱後の選択肢を模索するクビサ。「レースの喜びを少しでも取り戻したい」
フライアウェイ初戦となったF1第15戦シンガポールGPの木曜日のFIA会見は、2020年の去就を巡って、明暗が分かれる中で開催された。会見に出席したのは、すでに来年も現在のチームに残留することが決まっているルイス・ハミルトン(メルセデス)、ダニエル・リカルド(ルノー)、ランド・ノリス(マクラーレン)の3人と、前日の水曜日までの段階で去就が決まっていなかったロマン・グロージャン(ハース)とロバート・クビサ(ウイリアムズ)のふたりを加えた合計5人だった。
ただし、会見が始まる直前にハースがグロージャンとの契約を更新したという発表を行った。
「このチームで5年目のシーズンを迎えることになった。僕はこのチームでまだやらなければならないことが残っているから、契約が延長できて、いまは正直うれしい。今シーズンは僕たちにとって、厳しい戦いが続いているけれど、これはチームが成長するために経験しなければならない道だと考えている。いまのブラック&ゴールドのカラーリングが来年どうなるかはわからないけれど、ハースのカラーリングのマシンを走らせることに変わりはない」
このグロージャンのコメントを、神妙な面持ちで隣で聞いていたのがクビサだった。それは、このときクビサの胸の中では、ある決断が下されていたからだった。2020年の去就について、「その後、何か進展はありましたか」と尋ねられたクビサはこう言った。
「イエスであり、ノーでもある。来年について、さまざまな検討を行った結果、僕は今シーズンいっぱいでウイリアムズを離れること決断した」
ただし、クビサは引退については否定した。
「ウイリアムズとの契約を今シーズン限りで解消することによって、僕の選択肢は増えると考えている。もちろん、F1に残りたい。今年は僕は『F1にとどまることが目標だ』と言っていたけど、それはいまでも変わりない。レースの喜びを少しでも取り戻したいんだ。今シーズンはマシンのパフォーマンスの観点から非常に厳しいシーズンだったけど、同時に自分にとってもとてもチャレンジングな一年だった。いずれにしても、F1に復帰するチャンスを与えてくれたチームには感謝を述べたい」
クビサの決断を、だれよりも真剣に聞いていたのがハミルトンだった。
「おそらく、いまのF1ドライバーの中で、ロバートと最も長い付き合いがあるのは、僕だろう。たしか、1997年か1998年だったと思うけど(ここでクビサが「1998年だよ」と突っ込む)、僕たちは一緒にゴーカートをしていた。ロバートは僕とレースしてきたドライバーの中で間違いなく、才能が豊富なドライバーのひとりだった。才能があるだけでなく、強い意志も持っている。あのような事故の後にF1に復帰するなんて、だれもができることじゃない。だから、僕は彼が来年もF1にとどまることを願っている」
■ダニエル・リカルドは苦戦中のセバスチャン・ベッテルにエール
前戦イタリアGPでは、ハミルトンと優勝争いをしていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)のドライビングが話題にもなった。その件を尋ねられたノリスは、次のように自らの主張を述べた。
「すべてをきちんと見たわけじゃないけど、あれはあれで良かったんじゃないかと思っている。というのも、彼らはコース上でレースしていたからね。僕たちドライバーはレースがしたいんだ。もちろん、だからといって毎レース、接触していたら、それはそれで困るけど、たまに起きる熱いバトルはOKさ」
そのイタリアGPではセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が不甲斐ない結果に終わり、心配する声が聞かれている。しかし、リカルドは「セバスチャンなら、必ずこの状況を克服する」とエールを贈った。
「セバスチャンが現在の状況と似たようなシチュエーションにあったとき、僕は彼のチームメイトだったから、よくわかる。僕がレッドブルに入った2014年のことさ。でも、彼は翌年フェラーリに移籍して、2戦目に見事な復活劇を成し遂げたじゃないか」
「一度や二度、悪いレースをしたからといって、次のレースがどうなるかなんて誰にもわからない。もちろん、このスポーツはたくさんのスタッフが関わっていて、高額な資金が投入されているから、プレッシャーがハンパない。才能だけではどうすることができないときもある。でも、僕は彼の腕が鈍ったとは思っていないし、実際、彼はいまでもとても速いよ」
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