ル・マン24時間:助っ人加入で優勝のティンクネル、フェラーリとの攻防は「いたちごっこのようだった」
9月19〜20日に行なわれたWEC世界耐久選手権2019/20シーズン第7戦、ル・マン24時間レースのLMGTEプロクラスを制したアストンマーティン・レーシングの97号車アストンマーティン・バンテージAMRをドライブしたハリー・ティンクネルが、フェラーリとの激しいバトルを「いたちごっこのようだった」振り返った。
ティンクネルとアレックス・リン、マキシム・マルタンは、ディフェンディング・ウイナーであるAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evo(ジェームス・カラド/アレッサンドロ・ピエル・グイディ/ダニエル・セラ組)との一騎打ちに勝利した。
レース開始から6時間後には、アストンマーティンとフェラーリから2台ずつが栄光を争ったが、最終的には各陣営から1台がリードラップに残った。
日曜に入ってからも2台は異なるピットストラテジーのため交互に順位を入れ替えた。アストンはフェラーリよりも3周早いピットスケジュールとなっていたが、2台ともにミシュランタイヤをダブル・スティントで使用したことで、「いたちごっこ」になったとティンクネルは言う。
またアストンは、作業時間のかかるブレーキ交換を必要とせずにレースを走り切るように、当初から計画していたという。
自らの“アストンマーティン・デビュー”を飾り、97号車のレギュラードライバーであるリンとマルタンをサポートしたティンクネルは、ライバルのフェラーリに対し「どういう展開になるか、確信がもてなかった」と語った。
「僕らの車は、高速コーナーとダウンフォース(が必要な)コーナーで、非常に速かった」とティンクネルはSportscar365に対して語った。
「とてもインプレッシブなクルマだった。だけど、(フォードGTでの)過去の経験からポルシェカーブにはぴったりだと分かっていた」
「レースペースは非常に力強かったし、その面では僕が過去に乗っていたマシンよりも、すこし楽に運転できたね」
「僕はレース中に、信じられない量のことを学んだよ。とくに最初のふたつのスティントで2台のフェラーリにパスされたときは、長い24時間になると思ったよね」
「でも最初のスティントでいろいろと分かったから、そのあとに第2シケインでセラをパスするときに、学んだことをうまく使うことができた」
「まさにいたちごっこだっった。僕らがニュータイヤをつけても、タイヤが古くなっても、そしてその逆でも同じだった」
「僕らはそれがどのように機能するか、確信を持つことはできなかったけど、それを成し遂げられる車、チーム、そしてスタッフがいたからね」
チェッカーに97号車を導いたリンは、現在のマシンが導入されてからの過去2回のル・マンと比べた“大きな進歩”を、「誇りに思っている」と語る。
「過去数年、とくに僕らはこのレースで、辛酸を舐め続けてきた」とリン。
「良いペースをつかめないまま走るとき、それは長い24時間となる」
「今回は自分たちのスタイルを攻撃的なモードで実践でき、チームが成功できたことを誇りに思う。純粋なラップタイム、バランス、そして信頼戦において、クルマは大幅に進歩した」
一方、激戦の果てに2位となったAFコルセ51号車フェラーリのカラドは、アストンに対してわずかに足りなかったと語る。
「アストンと比べ、少しペースが悪かった」とカラド。
「彼らは少し直線スピードが高く、僕らも常にプッシュしていたけど、彼らの方がわずかに速かった」
「でも、彼らが速すぎてどうにもならない、というものではなかった。コンマ数秒というところだっただろう。でもそれが積み重なっていくと、僕らができることはなにもなかった」
「ポルシェについてはよく分からないよ。彼らはかなり苦労したようだね。最初は(ジャンマリア・)ブルーニを簡単に抜くことができた。たぶん、彼らは来年に備えるため、このレースを少し犠牲にしてるんじゃないかな。よく分からないけどね」
「もちろん勝利を欲していたから、この結果には失望している。2位になれたのはハッピーだけど、去年と比べたら最高な気分ってわけじゃないね」
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