STC2000開幕戦:トヨタのロッシ、0.1秒差の死闘で惜敗。バリチェロは8位デビュー
2020年も9月中旬になってようやくシリーズ再開のアナウンスを実現した、アルゼンチン最大のツーリングカー選手権、スーパーTC2000(STC2000)の開幕戦が9月19〜20日にブエノスアイレスのオスカー・ファン・ガルベスを舞台に開催された。
土曜のクオリファイレースで勝利したTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラSTC2000)は、日曜フィーチャーレースでも優勝争いを繰り広げたものの、2016年王者のシボレー・YPFチーム所属アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)にわずか0.1秒差で惜敗し、新型カローラの初戦を勝利で飾ることは叶わなかった。また、今季からアルゼンチンデビューを果たした元F1ドライバーのルーベンス・バリチェロは、予選レースを経て日曜の決勝を8位で終えている。
南米大陸を襲った新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの拡大と深刻な影響により、隣国ブラジルより遅れての開幕となった2020年のSTC2000シリーズ。今季からは車両規定も変更され、より空力性能が向上したマシンが用いられることとなり、一層の高速化とバトルの激化が予測されていた。
再開直前になってアナウンスされた開幕の地、首都ブエノスアイレスの元F1サーキットは、計時予選から2020年モデルの新型カローラが速さをみせ、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)のエースを務めるロッシが幸先よくポールポジションを確保する。
そのまま土曜日に行われた12ラップのクオリファイレースでもロッシは1度も首位を譲ることなく完勝。2位カナピノ、そして3位に入った2017-18年王者のファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT/ルノー・スポール・アルゼンティーナ)を従え、日曜日の“本戦”、33周のフィーチャーレースに臨んだ。
このレースのスタートで優位を維持したかったロッシだが「蹴り出しで思うようなグリップが得られず」1コーナーまでにカナピノの先行を許すと、終始シボレーのテールを追い続ける展開に。
2周目には4番手のジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000/TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニア)が元王者アルドゥソをかわしてロッシの背後3番手に上がり、シボレー攻略への支援体制を整えていく。
■シボレーとトヨタが横並びでチェッカーに飛び込む
残り2周の時点でほぼサーキット全周をサイド・バイ・サイドの状態で周回した首位争いの2台は、ファイナルラップの最終コーナーへも横並びの状態で突入し、アウトサイドを回ったカローラがわずかに高い車速を保ったものの、ホームストレートのフィニッシュラインへはインサイドのシボレーが先に到達し、そのまま0.111秒差でチェッカー。
シボレーのカナピノがようやく再開なったシリーズで2020年最初のウイナーとなり、トヨタ勢のふたりが表彰台を占める結果となった。
一方、前日の予選レースでアクシデントに巻き込まれ、この日曜を18番手からスタートしていた“鉄人”バリチェロは、母国のSCBストックカー・ブラジルでの好調を持ち込むかのように、走行距離を伸ばすたびにトヨタ・カローラSTC2000の個性を習得。日曜は序盤からみるみるポジションを上げ、11周目にはトップ10圏内をロックオンしてみせた。
その後、2019年王者のリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT/ルノー・スポール・アルゼンティーナ)らが終盤6番手走行中にハイドロリック・トラブルで戦列を去った影響などもあり、ホンダレーシング・アルゼンティーナのファン-マヌエル・シルヴァ(ホンダ・シビックSTC2000)に次ぐ8位フィニッシュを果たしている。
「最高だ。さらに若返ってまた初めからレースを戦っているような新鮮な気分だよ。開幕前にほとんど満足なテストができない状態だったが、パフォーマンスを比較できる強力なチームメイトがいることが助けになった」と、笑顔で振り返った48歳のバリチェロ。
「このマシンは本当に面白い。パワーのある前輪駆動のレースカーについて、僕にはまだまだ学ぶことがたくさんありそうだ。このいくつかの特別な特徴がドライビング上の大きな課題で、とても緻密かつ繊細に正確な操作を心がける必要がある」
「そしてなんといっても、このシリーズを戦うドライバーたちの熟練の技。これは僕の挑戦を真に動機づける。アルゼンチンは、F1ドライバーを数多く輩出するブラジルに比べて財政的に不利な状況を抱えてきたが、ここには本当に有能なドライバーたちが揃っているよ」
続く2020年シーズンのSTC2000第2戦は、連戦となる9月26〜27日に向け同じくブエノスアイレスのF1トラックに留まり、あらゆるレイアウトへの可変が可能な特徴を活かしてわずかに全長を伸ばしたテクニカルレイアウトでの勝負が予定されている。
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