【F1日本GP決勝の要点】序盤から白熱のチームメイトバトル。同士討ちこそ回避も、ライバルに差を詰められたメルセデス
7、8番グリッドからF1第17戦日本GPスタートしたルイス・ハミルトン、ジョージ・ラッセル(ともにメルセデス)のふたりは、スタート直後から緊迫した接近戦を繰り広げた。
レース序盤のふたりは、10番グリッドから6番手にジャンプアップしたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を追う展開だった。ところが多重事故で導入されたセーフティカーが5周目に開けるや、ラッセルが一気にハミルトンを抜きにかかった。いったんは前に出たラッセルだったが、ここはすぐに抜き返された。
しかしこれで完全に闘争心に火がついてしまったのか、そこからのラッセルは猛然とチームメイトを追い始めた。とはいえアロンソのDRS圏内につけていたこともあって、なかなかハミルトンを抜くことはできない。だがアストンマーティンの乱流をもろに受け続けたハミルトンのミディアムタイヤは、完全に限界に近づいていた。
15周目、ハミルトンはデグナーのふたつ目でコースオフを喫し、一気に差を詰めたラッセルがスプーンでアウト側から並びかける。一触即発のチームメイトバトル。辛くも防いだハミルトンだが、そのままピットに向かいハードタイヤへ交換。10番手まで後退した。
それにしても、あまりに熱すぎる攻防だった。前戦シンガポールを終えた時点で、メルセデスはコンストラクターズ選手権でレッドブルに次ぐ2位につけているが、3位フェラーリとの差は24点しかなかった。同士討ち、ダブルリタイアで0ポイントにでもなれば、簡単にに逆転されてしまうポイント差。チームメイト同士で戦っている余裕などないはずだが、チームもほとんど放置プレイだった。
実はこの週末のメルセデスは、トト・ウォルフ代表が膝の手術のために来日せず。代表代行を務めたのは、元F1ドライバーのベルギー人、ジェローム・ダンブロジオだった。彼は今年初めにメルセデスの若手育成プログラムのドライバー育成担当ディレクターに任命され、一方でグランプリ週末は常にチームのガレージ内でウォルフ代表の横にいる姿が目撃されていた。
その後、ウォルフ代表は、「私が現場に来れないときは、ジェロームが代理を務める」と、言明。ダンブロジオが有力な後継者候補であることを、公式に認めた。その初めての機会が、今回の鈴鹿だったというわけだ。
しかし代表代行のデビューの場は、同士討ちという最悪の事態こそ避けられ、5、7位でレースを終えたものの、4、6位に入ったフェラーリに20点差まで詰められる結果となった。
トト・ウォルフという重しがなくなった空白状態に乗じて、ドライバーたちがつい自由にバトルしてしまったということなのか。いずれにしてもダンブロジオの代表就任は、まだ時期尚早のようだ。
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