【高校サッカー】青森山田の強さの理由はどこにある?
秋が深まり、気温が下がってくると、またこの季節がやってきたかとワクワクする。そう、全国高校サッカー選手権大会である。寒い冬に、熱いサッカー小僧たちの戦いがまた始まる。
今年の第101回全国高校サッカー選手権大会は、12月28日から2023年1月9日まで開催される予定。現在各都道府県から出場48校(東京都は2校)を決める激しい予選が繰り広げられている。今年はどんなドラマが待っているのか。
ここでは、そんな選手権の前年度の優勝校であり、全校でもトップクラスの実力を誇る青森山田高校の強さの理由について考えてみたいと思う。
青森山田の強さは間違いない?
今2022シーズンは苦しい戦いが続いている青森山田。高円宮杯JFAU-18サッカープレミアリーグは、現在イースト5位(17節終了時)。全国高等学校総合体育大会(通称インターハイ)では、2回戦で準優勝した帝京高校(東京)に負け姿を消すなどしている。
だが、青森山田が高校年代を代表する紛れもない強豪チームであることは、多くのサッカーファンが知っていることだろう。数々のプロ選手を輩出し、日本代表になる選手も同校から誕生している。
直近数年におけるリーグ戦と選手権の結果を振り返ると、青森山田はプレミアリーグ優勝2回(2016、2019)選手権優勝2回(2016、2018、2021)準優勝2回(2019、2020)と、間違いなく最強に相応しい結果を残している。
青森山田出身の選手たち
青森山田は各年代、非常に個々の能力が高い選手たちがいた。
2021年の選手権優勝時に3年生だったメンバーには、松木玖生(現FC東京)、藤森颯太(現明治大学)、宇野禅斗(現町田ゼルビア)がいた。
また、檀崎竜孔(現Aリーグメン・ブリスベン・ロアー)、バスケス・バイロン(現東京ヴェルディ)、佐々木銀士(現東洋大学)、天笠泰輝(現ザスパクサツ群馬)、三國ケネディエブス(現アビスパ福岡)、飯田雅浩(現国士館大学)といったメンバーが、2018年の選手権優勝時に3年生だった。
さらに選手権で優勝はしていなくても、武田英寿(現大宮アルディージャ)、藤原優大(現SC相模原)、古宿理久(現Y.S.C.C.横浜)など錚々たるメンバーが青森山田出身である。
高校サッカーファンからしたら、興奮が止まらない顔ぶれであろう。仮に各年代の選手たちを集め、青森山田FCというチームを結成させたらどんな科学反応が出るか、一度は見てみたいものだ。では青森山田の強さの秘密は、個々の能力が高いからなのだろうか。
選手層の厚さこそ、強さの秘訣
もちろん個々の選手の能力の高さが、青森山田の強さの理由の1つではあることは間違いない。間違いなくU18世代の中でもトップクラスである。しかし、特筆すべきもう1つの点に、選手層の厚さが挙げられる。
ここで高校サッカーの特性を考えてみよう。U18世代のチームとプロチームの違いを1つ挙げるとすると、選手補強の仕方である。プロチームはチームにフィットする選手をすぐ補強することが可能だが、U18世代は基本的に学校に入学した選手以外を補強で加えることができない。つまり、自由に選手の補強ができないため、年度によってスタイルが大きく異なることもあり、選手層をキープすることが非常に難しい。これがU18世代の難しさでもある。
そのような状況で青森山田では、トップチームがプレミアリーグに参戦。セカンドチームは高円宮杯JFAU-18サッカープリンスリーグ東北に参戦する。
U18世代の1部リーグに相当するプレミアリーグと2部リーグに相当するプリンスリーグに所属するのは、全国で見ても2022年は流通経済大学柏高校(千葉)と静岡学園(静岡)の2チームしかいない。そのなかでも青森山田のセカンドチームは、プリンスリーグ東北でも現在首位に位置している。トップチームがプレミアリーグにいるため昇格することはできないが、十分昇格も可能な実力である。
「青森山田VS青森山田」が公式戦で実現
2020年、コロナウイルスの影響を高校サッカーも例外なく受けた。プレミアリーグとプリンスリーグは従来のレギュレーションから変更され、各地域別のプレミアリーグとプリンスリーグが合体される形で、東北エリアはスーパープリンスリーグ2020東北として開催された。
そして、このスーパープリンスリーグ東北のチャンピオンを決める決勝カードが、青森山田VS青森山田となったのだ。本来、実現することがない対戦カードが実現してしまったのである。結果、トップチームが2-0で勝利したが、試合自体どちらが勝ってもおかしくなかった。
あとにも先にもトップチームとセカンドチームが公式戦で試合をするのは、これ限りであろうが、青森山田の選手層の厚さを証明する試合になったのは間違いない。
黒田剛監督の最後の花道となるか?
そんな青森山田を1994年から現在まで率いて強豪校に育てあげたのは、黒田剛監督である。先日、同監督がJ2リーグ町田ゼルビアの監督に就任することが濃厚と報じられた。高校サッカー界からいきなりJクラブの指揮官就任は異例であり注目されている。
もしかしたら黒田監督にとって、青森山田を指揮する最後の選手権になる可能性がある。第101回全国高校サッカー選手権の青森予選は11月3日に準決勝、11月6日に決勝が行われる。県内でも八戸学院野辺地西高校などが力をつけてきているため、選手権出場も容易ではなくなってきている。
夏は、インターハイで苦汁をなめた青森山田だが、最後に笑っているのは彼らなのか。寒い冬の楽しみである。
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