スーパーGT:オートポリス戦を5位で終えたRAYBRIG山本「攻めてもラップタイム向上につながらず」
スーパーGT第7戦オートポリス、GT500クラス予選3番手だったRAYBRIG NSX-GTは決勝を5位で終え、山本尚貴とジェンソン・バトンのコンビはドライバーズランキングで平川亮とニック・キャシディ(KeePer TOM’S LC500)に並ばれ、同率首位として最終戦もてぎへと向かうことになった。山本がレースを振り返り、最終戦への決意を語った。
レースを終えたばかりの山本の表情は、当然ではあるが厳しいものに見えた。自身が担当した後半スティント、最後に4位を走るZENT CERUMO LC500の石浦宏明に迫るも、抜くには至らず「悔しかったです」。しかし山本は、冷静に戦況を分析してもいる。
「最後の2〜3周は相手のペースが落ちてきたみたいで、プッシュしたら追いつけましたけど、それまでは向こうの方がペースは良かったですし、あちらはいろんなラインで走ってもいいペースだった印象がありますね。正直、あそこまで追いつけるとは思っていなかったです。ベストは尽くせたと思います」
予選はNSX勢がワン・ツー・スリー。しかし山本は決勝の苦戦を、ある程度は覚悟していたようだ。
「(土曜の練習走行から)ロング(ラン)は厳しいこと、レクサスの方にアドバンテージがあることも分かっていました。それだけに予選で前に行くことが重要とも思っていましたけどね」
「ただ、今回はマシンのバランス的に予選寄りになりすぎた面がNSXにはあるので、最終戦のことを考えると、(オーバーテイクが難しい)もてぎは予選が特に重要でレース距離も250kmで短いとはいえ、今日みたいに決勝で逆転される展開にならないよう、見直していかないといけない部分があると思います」
オートポリスでのNSXは速かった。しかし「(決勝でも)調子が良かった鈴鹿やSUGOの時に比べると、攻めていった時のキャパが狭いというか、攻めたことが結果としてかえってこない、ラップタイム向上につながらないところがありました」と山本は振り返る。
優勝した前戦SUGOでは「いくら攻めていってもグリップしてくれるし、結果に釣り合う。攻めて楽しい状態でした」。だが、今回は「コントロールしていかないと平均(ラップタイム)が下がる。だから、我慢して走っていた部分はあります。レースが終わったばかりなので、タイヤ、車体、どういうところに要因があるのかは分かりませんけど、最終戦に向けては、攻めた結果が(タイムに)かえってくるクルマにしたいですね」
鈴鹿やSUGO同様に“NSX向き”と考えられていたオートポリスだが、ともにワン・ツーで勝った鈴鹿&SUGOほどの仕上がりは、特に決勝に関して得られていなかったようだ。しかし、他のブリヂストン装着NSXほどには決勝で順位を落とさず(予選3位→決勝5位)に終われた自チームの結果と内容については、山本はあらためて「ベストは尽くせたと思います」と語る。
「もちろん3番手スタートからの5位は良くはないです。ただ、予選で前にいた2台のNSXよりも上位の結果でレースを終われたと考えれば、チームとしてはセットアップと戦略の両面でいい判断をしていったということになりますし、ポイントで追いつかれたこともネガティブではありますけど、同点で済んで良かった、と前向きに考えていけるようにしたいと思います」
シリーズ2位に対しては12点差、平川/キャシディ組には14点差で迎えたオートポリス戦、当然ながら「同点ではなく、もうちょっとリードした状態で最終戦に行ければ良かったんですけど、そこはもう言っても仕方ないですからね。チャンピオン獲得の権利をもってのスーパーGT最終戦はひさしぶりですし、すべての力を注いで戦い、いい走りをしたいと思います」。
これで国内トップカテゴリーは、GT500もスーパーフォーミュラも最終戦を残すのみ(スーパーフォーミュラ最終戦は鈴鹿)。戴冠の可能性を残す面々のキャスティングは両ドライバーズチャンピオンシップとも似通っているのだが、そのなかでも“自力2冠”の権利を有するのはキャシディと山本だけだ。長く「ホンダのエース」と呼ばれてきた山本尚貴が、最高のシーズンエンドを飾るべく、ホンダの本拠(鈴鹿&もてぎ)での“2大最終決戦”に臨む。
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