ドラフト巧者・広島が得意の「1位公表」成功例と勝率は?
新井体制2年目の広島は公表した常廣の指名権を獲得できるだろうか(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext
10月26日ドラフト会議まで2週間を切った13日、広島は青学大の155キロ右腕・常廣羽也斗投手(4年)を1位指名すると12球団最速で公表した。 逆指名制度が撤廃された2007年以降、広島が1位指名を公表した結果を振り返ってみたい。
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【広島のドラフト1位公表】
◆09年(成功)
今村猛→単独指名
◆11年(成功)
野村祐輔→単独指名
◆12年(失敗)
森雄大→2球団競合で抽選負け
◆14年(失敗)
有原航平→4球団競合で抽選負け
◆16年(失敗)
田中正義→5球団競合で抽選負け
◆17年(成功)
中村奨成→2球団競合で抽選勝ち
◆19年(成功)
森下暢仁→単独指名
◆22年(成功)
斉藤優汰→単独指名
公表のメリットの1つとして、他球団に競合を避けて指名候補を変更させる狙いがある。その点、19年ドラフトで大学ナンバーワン投手といわれていた森下(明大)の単独指名成功は、広島にとって会心だった。佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)らが人気を集める状況で、森下を1位公表し、けん制する他球団をしり目に一本釣りに成功。森下は1年目から新人王を獲得し、先発ローテの柱となる活躍ぶりで、他球団を悔しがらせた。
広島はこれまで公表した8度のうち5度、指名に成功している。さらに昨年ドラフトでは広島を含めた過去最多9球団が1位公表したが、いずれも公表球団に指名選手が入団。公表したことによる勝率、過去の成功実績に加え、先手を打つことで他球団を受け身に回らせるアドバンテージもある。
今回1位公表した青学大・常廣は最速155キロ右腕で、6月の全日本大学選手権で18年ぶりの優勝に貢献し、MVPと最優秀投手賞を獲得。ドラフト豊作年といわれる今年の大学生投手のなかでもナンバーワンの呼び声が高く、1位競合は必至といわれている。
広島の公表により、他球団は重複覚悟で指名に踏みきるか、抽選を避けて一本釣りを狙うのか、さまざまなシミュレーションをして指名を読み合う。公表も、非公表も戦略。12球団の駆け引きが、ドラフト最大の醍醐味でもある。
さらに今回、広島が公表する数日前に、阪神の岡田監督が事前の1位非公表を12球団に提言したばかり。言い出しづらい空気が漂ったが、広島は岡田監督の先制攻撃をものともせず、宣戦布告する形となった。
ドラフト巧者といわれる広島が、勝算を見込んで積極的に活用する「公表戦略」。吉と出るか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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