【角田裕毅F1第20戦分析】3基で戦い切れる状況でも新PUを投入。残り4戦で入賞を目指すチームとHRCの決断を支持
「仮に今日、問題が起きたエンジンが使えなくなっても、鈴鹿までにどうこう(5基目を入れる)という話にはならないと思います」
これは、第15戦イタリアGPのフォーメーションラップ中に角田裕毅(アルファタウリ)がエンジンブローした後、ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)が語っていたコメントだ。
つまり、抜きにくいシンガポールと、角田のホームレースとなる鈴鹿まではペナルティを受ける5基目を入れず、プールのなかにあるパワーユニットでやりくりするという主旨のコメントだった。
ホンダは日本GP後、カタールGPとアメリカGPでも5基目を投入せず、今回第20戦メキシコシティGPで5基目を投入してきた。その理由を折原はこう説明する。
「いまある3基のエンジン(ICE=内燃機関)でも、最終戦まで戦おうと思えば、戦えます。ただ、今回メキシコシティGPで(アイザック・)ハジャルが角田選手に代わってフリー走行1回目を走る。角田選手にとっては1セッション失うというハンディがあるのなら、ここでペナルティを消化したほうがいいという認識をチームと共有して、今回5基目を入れることにしました」
これ以外にも、理由はもうひとつある。日本GP後のカタールGPとアメリカGP、そしてメキシコシティGP後のブラジルGPがスプリントフォーマットで開催されるため、車体のセッティングだけでなく、パワーユニットのセッティングを考えるとスプリントフォーマット時にフレッシュエンジンを投入するのは避けたいという事情がある。
そうなると、5基目を入れるチャンスは、このメキシコシティGPしかなかった。
もちろん、入れなくても、いまある3基でやりくりはできたかもしれない。しかし現在のチーム事情を考えると、何もしなければ6番目か7番目のチームなので、実力でポイントを獲れない。それならば、フレッシュエンジンを投入してコンマ1秒でも稼いで、残り4戦でポイントを獲りに行くことを目指した方がいい。
それがアルファタウリとHRCが出した結論だった。そして、その決断を角田も支持している。
「最後尾からですが、ダニエルとともに2台そろって入賞を目指します」
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