フルトンは「敬意を払いすぎた」 タパレスが井上尚弥への対策を激白「イノウエの弱点は見えている。パワーも吸収できる」
早くも井上に牙を向けるタパレス。(C)Getty Images
来る大一番に向け、ライバルの分析は淡々と進められている。
現地10月31日、米ボクシングメディア『Boxing News』の取材に応じたボクシングWBA・IBFスーパーバンタム級王者マーロン・タパレス(フィリピン)は、今年12月26日に東京・有明アリーナで実施されるWBC・WBO世界同級王者の井上尚弥(大橋)との4団体統一戦に向けて意気込んだ。
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プロキャリア40戦37勝19KOの実績を誇るタパレスだが、次なる相手は世界屈指の破壊力を持つ“怪物”だ。お世辞にも高くはない周囲の下馬評を見ても、31歳のフィリピン人チャンピオンが苦戦が強いられる可能性は小さくない。
しかし、タパレスは「僕はイノウエをKOできる」と語る。彼が井上に対して、ここまでの強い自信を漲らせる理由のひとつは、過去の経験によって養われたハングリー精神がある。ボクシング大国に生まれたチャンプは、貧しい家庭に育った幼少期を次のように振り返っている。
「子どもの頃は本当に大変だった。僕の生まれたカパタガン(フィリピンの田舎町)は、とても農業的なところで、普通に育つのも大変ぐらいの生活環境だった。家族にボクシング歴はなかった。だから、兄がグローブをプレゼントしてくれるまで、ボクシングで生きていこうなんて考えたこともなかった。ジムに行くお金もないから小さなサンドバッグを作って家に吊るし、自分でトレーニングしていたよ」
そうした苦しい生活環境から這い上がってきた。2008年にライトフライ級でプロデビューを飾ったタパレスは少しずつスターダムをのし上がり、今年4月にはムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との試合に勝利。ボクシング界を騒然とさせるアップセットをやってのけ、見事に王座についた。
数多の修羅場を潜り抜けてきた。だからこそ、世界が「怪物」と評する日本人スターにも動じる様子は見られない。今年7月に行われ、井上が8回TKO勝ちを収めたスティーブン・フルトン(米国)戦について「彼(フルトン)はイノウエに敬意を払いすぎたんだ」と指摘。そして、次のように言い放った。
「イノウエのベストパフォーマンスだったと言われるが、僕から見れば、それ以上にフルトンがはなから不快だった」
強力な破壊力を持つ井上のパワー対策として「スーパーフェザーか、ライト級のボクサーとスパーリングをしている」というタパレス。「イノウエの弱点は見えている。僕は彼のパンチを吸収できる。そして彼のパワーに打ち勝てる」と断言する31歳は、こうも言い残している。
「いつも“世界戦”を戦うときに僕は『アンダードッグ』と呼ばれる。しかし、いつも僕は人々が間違っていることを証明してきた。今回もそうするさ」
どこか不敵さを感じさせるタパレス。彼が規格外に飛躍を続ける井上といかに対峙するかを興味深く見守りたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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