スタートで首位を奪ったフェルスタッペンが連勝。ハミルトンが2位を死守、ペレスは初の母国表彰台【決勝レポート/F1第18戦】
11月7日現地時間13時、2021年F1第18戦メキシコGPの決勝が行われた。
気温は20度、路面温度は40度。
年間3基を超えるパワーユニットを投入した4台はグリッド降格ペナルティを科され、予選結果に準じて17番手角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)、18番手ランド・ノリス(マクラーレン)、19番手エステバン・オコン(アルピーヌ)、20番手ランス・ストロール(アストンマーティン)というグリッド順となった。ストロールは予選でのクラッシュでギヤボックスも交換している。6戦連続使用前にギヤボックス交換を行なったジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)は5グリッド降格ペナルティを受け、この4台を除いたなかでの最後尾16番グリッドからのスタートとなった。
Q3進出組のなかで角田だけがソフトタイヤスタートで、タイヤを自由に選択できる後続ではオコンだけが新品ソフトを履き、それ以外は全車がミディアムタイヤを選択している。
スタートでポールポジションのバルテリ・ボッタス(メルセデス)の加速はクラッチミートの後の伸びが僅かに鈍く、2番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)が早々に並びかける。3番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)もボッタスのアウト側に並び、ターン1でレイトブレーキングでアウトから一気に前へ。ハミルトンは2番手でターン1に飛び込み、その後方のボッタスはイン側でロックアップして止まりきれなかったダニエル・リカルド(マクラーレン)に突かれてスピンを喫する。ターン2でイン側ランオフエリアに逃げたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)は混乱を避けて3番手に上がった。
ターン2の入り口ではオコンのアウト側でミック・シューマッハー(ハース)が弾き飛ばされてリタイア。角田も行き場を失ってオコンのイン側で弾かれてマシンを壊しリタイアとなってしまった。
ボッタスとリカルドは1周目にピットインしてハードタイヤに履き替え最後まで走り切る戦略に切り替える。
中団グループで大きな混乱があったためオーダーは大きく変動し、首位フェルスタッペン、2番手ハミルトン、3番手ペレス、4番手ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、6番手にアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)、7番手カルロス・サインツ(フェラーリ)、8番手セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、9番手ラッセル、10番手キミ・ライコネン(アルファロメオ)となった。
レースは5周目に再開。フェルスタッペンはターン13から加速を初めてハミルトンを寄せ付けずリードを守り、DRS圏外へと引き離してさらにじわじわとギャップを広げていく。サインツはターン1で早々にジョビナッツィを交わして6番手に浮上。ラッセルはライコネン、アロンソらに交わされて徐々にポジションを落としていった。
10周目を過ぎるとハミルトンはタイヤのオーバーヒートによってグリップ低下が進み、これを抑えるためのリフト&コーストを強いられてフェルスタッペンとのギャップは5秒を超え、20周目には8秒まで広がる。これに対してペレスはペースアップしてハミルトンとのギャップを縮めて2秒差でついていく。
11周目にストロールがピットインしてハードタイヤに交換するが、他車はこれに追随しない。後方ではボッタスがリカルドに抑え込まれて抜くことができない。各車ともオーバーテイクは容易ではなく、前後ギャップを維持した上での淡々とした周回が続く。
25周目を超えるとハミルトンはアンダーステアを訴え、ペレスがさらにペースを上げてプレッシャーをかけていく。
29周目にハミルトンがピットインしてハードタイヤに交換。ルクレールの後方5番手で戻るが、翌周ルクレールはピットインしてハミルトンはフリーエアとなり1分19秒953のファステストラップを記録しフェルスタッペンより2秒速いペースで走行する。その前のガスリーも31周目にピットインしてハミルトンはフリーエアとなり、ガスリーはアロンソに引っかかっていたルクレールをオーバーカットすることに成功した。これに対してサインツとアロンソ、ノリスはミディアムのままステイアウトして対抗する。
これでフェルスタッペンは33周目にピットインし、ハミルトンの7.5秒前で実質首位をキープしてコースに戻る。暫定首位に立ったペレスは自己ベストを更新しながらステイアウトを続ける。
ペレスは40周目まで引っ張ってタイヤ交換を行いハミルトンの9.7秒後方でコースに戻り、10周フレッシュなハードタイヤで追いかけていく。42周目には1分19秒659のファステストラップを記録してハミルトンから1ポイントを奪い取った。
ボッタスを抑え続けたリカルドは38周目にピットインして再びミディアムに履き替え、39周目にアロンソもピットイン。ボッタスは40周目にカバーに入るが左フロントタイヤの交換に手間取って11.8秒の静止時間を要して15番手に後退してしまう。
42周目にサインツがピットインしてルクレールの後方6番手でコースに復帰。44周目にはノリスもピットインして10番手でコースに戻り、全車がピットストップを終えた。これでオーダーは首位フェルスタッペン、2番手ハミルトンは10秒後方、その7秒後方に3番手ペレス、20秒離れて4番手ガスリー、5番手ルクレール、6番手サインツ、10秒離れて7番手ベッテル、8番手ライコネン、9番手アロンソ、10番手ノリスとなった。
ペレスは49周目にファステストラップを更新してハミルトンとのギャップを6秒にまで縮める。しかしフェルスタッペンがマシンをいたわって走りながらも52周目に1分18秒999のファステストラップを記録してファステストポイントを自分で掴み獲る。
タイヤのオーバーヒートでグリップ低下に苦しみ周回遅れのノリスとのギャップを縮められずタイムロスするハミルトンに対し、ペレスは一気にギャップを縮めてハミルトンを追い詰めていく。60周目にはついにDRS圏内に入り、残り10周で緊迫のバトルとなった。しかし周回遅れをかき分けていくかたちとなり、この間にペレスはギャップが広がってしまった。
残り2周となった70周目にペレスは再びDRS圏内に入る。ペレスは最終ラップのターン1とターン4でDRSを使って追いすがるが仕掛けるまでには至らず。
フェルスタッペンはクルージング走行で後続を16秒引き離して独走優勝で今季9勝目。ハミルトンは1.197秒差で辛くも2位を守り切り、ペレスは3位に終わったもののメキシコ人として初の地元表彰台獲得を果たした。
周回遅れのボッタスは63周目にピットインしてソフトタイヤに交換し、フェルスタッペンからファステストラップを奪いにいく。しかしフェルスタッペンの直後にコースインしたこともあって交錯し、最速タイムを記録することができなかった。そのためにボッタスはさらにピットインしてもう1セットのソフトに履き替えてコースに戻り、自身の最終ラップである69周目に再度アタック。セクター1と2でベストを刻み1分17秒774を記録してフェルスタッペンからファステストラップポイントを奪い取ることに成功した。
4位にガスリー、フェラーリ勢はサインツを先行させてガスリーにアタックをさせようとしたが追い付けず最後に再びポジションを戻してルクレールが5位、サインツ6位でフィニッシュ。7位ベッテル、8位ライコネン、9位アロンソ、10位ノリスという結果になった。
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