WEC上海:トヨタ、連続ポール記録が10でストップ。苦戦を予想し「新品タイヤを残す決断をした」
11月9日、2019/2020年WEC世界耐久選手権第3戦上海の公式予選が中国、上海国際サーキットで行われ、LMP1クラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingはマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車トヨタTS050ハイブリッドが総合4番手から、セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車トヨタTS050ハイブリッドが同5番手から決勝レースに挑むことになった。
ランキング最下位のマシンを基準にした計算に基づき、1周あたり最大2.74秒遅くなる“サクセス・ハンディキャップ”が与えられたトヨタにとってこれまで以上に苦戦を強いられることが予想されたWECの上海ラウンド。その予想を裏付ける結果は事前のフリープラクティスでも表れていた。しかし、土曜の予選ではその影響がより鮮明になった。
60分間のフリープラクティス3回目で7号車がトップタイムをマークしたトヨタWECチームだったが、迎えた予選ではLMP1プライベーターたちの“逆襲”に直面。彼らもまたそれぞれにハンディキャップを受けるものの、その量は軽微でありレベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13・ギブソンと、チームLNTが走らせる2台のジネッタG60-LT-P1・AERはいずれもトヨタの2台を上回るタイムを記録してみせる。
一方、ハイブリッドエネルギーや燃料使用量が制限されたトヨタTS050ハイブリッドは、7号車に乗り込んだ可夢偉がセクター1で最速タイムをマークしラップタイムでも全体3番手となる1分46秒513と記録するが、昨年の予選タイムから3.8秒遅れる結果に。8号車も一貴がアタックに出るがチームメイトのタイムを上回ることができなかった。
このような状況から、チームはふたり目のドライバーに交代する際のタイヤ交換をキャンセルし決勝レースに向けて、新品タイヤを温存する決断を下す。後半のアタックを担当したコンウェイはそのなかでクリーンなアタックラップを決め、可夢偉との平均ラップタイムでトップのレベリオンから1.3秒差の総合4番手につけた。
対して8号車のハートレーは計測1周目にトラフィックに引っかかってしまい、この周でのアタックを断念。翌周に再度タイムを計測するも、タイヤの摩耗が進んでしまったことから首位から2.8秒差の総合5番手タイムに留まっている。この結果、TOYOTA GAZOO Racingが2018/19年開幕戦スパ6時間以来、前戦富士まで継続してきた連続ポールポジション記録は『10』で途切れることになった。
「難しい予選となってしまいました。ベストを尽くしましたが、チームメイトの7号車にはラップタイムで僅かに届かず、ポールポジションの車両とは大差になりました」と予選を振り返った一貴。
しかし、万全の状態ではなかったようで「まだまだクルマのパフォーマンスを最大限に引き出せたとは思っていません。今日の走行データを分析し、決勝レースまでさらに改善していきます」と付け加えている。
■マイク・コンウェイ「今までのレースのように圧倒的なペースは望めない」
「ポールポジション争いには加われないだろうと思っていたので、僕たちは新品タイヤを1セット決勝レースへ向けて残すという決断をした」とはハートレーの言葉だ。
「アタックラップ1周目は、ピットアウトしてきた車両が直前に出てくるなど、コース上の混雑に阻まれたため、一旦アタックを諦め残り1周に掛けたんだ。けれど、いくつかの小さなミスをしてしまった」
セカンドロウの4番手を獲得した7号車の可夢偉は「よくできた結果」と評した。
「結果を見て分かるとおり、僕らにとって苦しい予選でした。予選開始前から我々2台のTS050ハイブリッドはポールポジションではなく、2列目を争うことになるだろうと予想していました」
「4番手を取れたのはよくできたという結果ですし、後は決勝レースをミスなく、クリーンに戦い抜くことに集中しなくてはなりません」と語れば、チームメイトのコンウェイは「もう少し速く走ることも可能だったよ。だけど、明日のレースでも使用するタイヤを温存したんだ」とコメント。
「今までのレースのように圧倒的なペースは望めないけど、ライバルと接戦になれるよう、よいポジションを維持しながらのレースを展開したいと思う」と明日の決勝に向けた展望を語った。
WEC“シーズン8”第3戦上海4時間レースの決勝は10日(日)、12時00分(日本時間13時00分)にスタートが切られる予定だ。
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