MotoGP:ドーピング陽性のアンドレア・イアンノーネ、4年間の資格停止処分が決定
スポーツ仲裁裁判所(CAS)は11月10日、ドーピング検査の結果、陽性反応が出たため2019年12月17日から2021年6月16日までの18か月間の出場停止処分を受けているMotoGPライダーのアンドレア・イアンノーネ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)に対して、2023年12月16日までの4年間の資格停止を科すことを新たに発表した。
ロードレース世界選手権はドーピング検査を定期的に実施しており、2019年のMotoGP第18戦マレーシアGPの決勝日にあたる11月3日にMotoGPクラスからはイアンノーネ、ホルヘ・ロレンソ、マルク・マルケスの3名が尿サンプルを提出。通常の手順に従いドイツにある世界ドーピング防止機構(WADA)の研究所に送って検査された。
この検査の結果、イアンノーネのサンプルから禁止物質の蛋白同化男性化ステロイド薬(ドロスタノロン/筋肉増強剤)の陽性反応が出たため、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)はFIMアンチ・ドーピング規則7.9.1に従い、暫定的にイアンノーネの参戦資格を2019年12月17日付けで停止していた。それにより、イアンノーネはバイクレースやプロライダーとしての活動を行うことができなくなり、以降のオフシーズンテストやレースには参加していない。
イアンノーネ自身はドーピングを否定しており、再検査を受ける権利があるためBサンプルを提出。WADAで検査が行われたが、こちらもAサンプルと同様に陽性反応が出た。2月4日にはFIM本部で国際懲罰法廷(CDI)によるヒアリングが行われ、3名のCDI委員とイアンノーネが出席して審理が行われた。
そして4月1日にCDIがイアンノーネに2019年12月17日(暫定停止処分の発効日)から2021年6月16日の18か月間の出場停止処分を3月31日に下したことが発表された。
しかし、イアンノーネは第18戦マレーシアGP前にマレーシアで摂取した汚染された肉が原因と述べ、無罪を主張。出場停止処分の決定を無効とする異議申し立てをしたが、WADAは禁止物質の供給源が肉の汚染に起因するという必要な基準を確立できなかったという理由で、4年間の資格停止を要求した。
また、CASはイアンノーネが摂取した肉の正確な種類の肉を確認できず、イアンノーネと彼の専門家もドロスタノロンによる肉の汚染が問題であることを明確に立証できなかったことを確認。イアンノーネのアンチドーピング防止規則違反(ADRV)は意図的ではないと確立するには不十分であり、説得力のある証拠を提供できなかったと確認された。
公聴会は10月15日に実施され、CASはイアンノーネが提出した控訴を却下し、WADAが提出した上訴を支持。その結果、CASは、3月31日付けでCDIが下した決定は取り消され、イアンノーネに4年間の資格停止期間を科すことを決定した。
この発表とともに、第18戦マレーシアGPと第19戦バレンシアGPは失格となり、この2ラウンドのすべての結果をはく奪されることも決定した。
イアンノーネは2005年にロードレース世界選手権125ccクラスでデビューし、2013年に最高峰クラス昇格。ドゥカティやスズキでMotoGPマシンを駆り、2019年からはアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニに移籍しランキング16位でシーズンを終えた。
2020年もアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニからMotoGPクラスに参戦する予定だったが全戦に参加できずテストライダーが代役を務めている。そして2023年12月16日までレースに出場できないことが今回決定した。
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