【土屋雅史氏のJ3展望】相模原の西ヶ谷監督の“静岡時代”に注目…鳥取vs長野はホームチーム勝利を予想
サッカーキング2018年11月16日(金)17時1分
相模原を指揮する西ヶ谷隆之監督は、かつて名門の清水商業高校で活躍した。
■“高校版ドリームチーム”清水商業高校で活躍した、相模原の指揮官をフィーチャー
まさかの5戦未勝利で勝ち点をなかなか伸ばせなかったものの、前節の富山戦で久々の白星を手にし、終盤に向けてラストスパートといきたい3位の沼津と、泥沼の4連敗から一転して、ここ5試合は4勝1敗とスイッチが入ってきた感のある10位・相模原が対峙する第32節。この一戦では静岡出身でもある相模原の西ヶ谷隆之監督の“静岡時代”に、スポットを当てたいと思います。
日本サッカー界のレジェンドとして知られる杉山隆一氏の出身校でもある、清水は袖師中学校から名門の清水商業高校に進学した西ヶ谷監督。2年時にはインターハイに全日本ユース選手権と、2つの日本一に輝いたチームの中でレギュラーを獲得し、“全国三冠”を目指して高校選手権に挑みます。
最終ラインは1つ上の望月慎之、大岩剛、薩川了洋に西ヶ谷監督と、4人全員がのちのJリーガー。中盤にも現在では相模原の会長を務める望月重良と名波浩が並び、前線には高校ナンバーワンフォワードと称されていた山田隆裕や田光仁重、興津大三が揃う、まさに高校版ドリームチーム。優勝候補の大本命という位置付けだったことは言うまでもないでしょう。
初戦の佐賀学園戦を6-0で制し、西ヶ谷監督も1得点を記録しましたが、2回戦の市立船橋戦は大苦戦。最近番組でご一緒しているワッキーさんが名波さんを密着マークで苦しめ、試合はPK戦へ。辛くも清水商業が勝ち上がったものの、ワッキーさんの奮闘は当時の雑誌でも称賛されるほど。なお、以前偶然ワッキーさんに遭遇した西ヶ谷監督が、「僕もあの試合出てたんです」と挨拶しましたが、ワッキーさんはまったく覚えていませんでした(笑)。
そして3回戦の大宮東戦も苦戦を強いられ、ゲームは2試合続けてPK戦へ。2人が失敗した清水商業の“全国三冠”は幻に終わったのです。ちなみにこの時の大宮東で10番を付けていたのが、アルディージャで長年広報を務めていた秋元さんという方で、同点アシストを記録したのは、来年から川崎への加入が決まっている昌平高校のミッドフィルダー、原田虹輝のお父さん。いろいろな繋がりがあるものです。ただ、そんな凄まじいチームで、2年生から定位置を掴んでいた西ヶ谷監督が、かなりの実力者であったことは間違いのない所です。
3年時もディフェンスの中心として、同級生の望月重良や1つ下の平野孝らとともに冬の全国へ帰ってきましたが、前園真聖や城彰二、藤山竜仁を擁した鹿児島実業に逆転負けを喫し、3回戦で無念の敗退。結局冬の日本一には手が届きませんでした。ちなみに、そのゲームで清水商業のゴールを守っていたのが、先日今季限りでの現役引退を発表した、相模原でプレーする川口能活だったことも、不思議な因縁を感じずにはいられません。
沼津、相模原とどちらも直近の試合では勝利を収めており、悪くない調子を携えてこの一戦に挑むことになりますが、ここ最近のバイオリズムの良さは明らかにアウェイチーム。ということで、このゲームは相模原が勝ち切るという予想の「2」にマークします。
■準優勝一度、ベスト4四度…輝かしい学生時代を過ごした鳥取のセンターバック
ここ3試合は無敗で、白星先行の6位につけている鳥取と、こちらも4戦無敗で現在は2連勝中の9位・長野が、『とりぎんバードスタジアム』で激突する一戦。このゲームでは、鳥取でただ1人だけフルタイム出場を続けているセンターバックに注目したいと考えています。
甲斐健太郎。24歳。もともと大阪出身の彼は、大森晃太郎や双子の陸と力の松田兄弟、北朝鮮代表にも選出されているリ・ヨンジなど、数々のJリーガーを輩出している大阪セントラルFCで中学までプレーした後、松田兄弟と同じく島根の強豪・立正大淞南高校へ進学する決断を下します。
山陰きっての強豪校で2年からレギュラーを掴むと、いきなりインターハイで白崎凌兵の山梨学院大附属や山岸祐也の尚志などを相次いで撃破し、全国ベスト4まで駆け上がりましたが、その年の選手権は県の準決勝で大社にまさかの敗退。3年時のインターハイでは、松田天馬の東福岡、翁長聖の帝京第三にも競り勝って、2年連続の全国4強を経験しながら、自身も大会優秀選手に選出。選手権予選でも大社に決勝でリベンジを果たし、満を持して冬の全国へと挑みます。
初戦の八千代戦は甲斐の2ゴールもあって、7-1という大勝でスタート。3回戦でも旭川実業をPK戦で退けましたが、準々決勝で結果的に優勝する鵬翔に1-3で屈し、憧れの国立競技場でのプレーは叶いません。ただ、春には高校選抜としてデュッセルドルフ国際ユース大会に参加。室屋成や仙頭啓矢、河面旺成といったチームメイトたちと勝ち獲った優勝を手土産に、阪南大学へと入学することになりました。
2年時からセンターバックの定位置を確保してリーグ優勝に貢献すると、関西選抜にも選出されるなど着実にステップアップしていく甲斐でしたが、その年の総理大臣杯はベスト8、インカレはベスト4止まり。翌年のインカレもファイナルで関西学院大学に0-4で完敗を喫する結果に終わり、頂点には辿り着けません。甲斐、大本祐槻、外山凌、前田央樹、重廣卓也、山口一真、脇坂泰斗など現在Jリーグでプレーする数多くのタレントを擁した4年時も、関西王者として臨んだインカレは準決勝で筑波大学に0-3で敗れ、高校時代から限りなく近付いていた学生日本一にはあと一歩及びませんでしたが、全国大会で準優勝が一度、ベスト4が四度という結果が、大いに誇れる数字であることに、疑いの余地はありません。
既に岐阜の特別指定選手として、大学4年時にJリーグデビューを果たしていた甲斐は、その岐阜でプロ選手のキャリアをスタートさせるも、1年目のリーグ戦には1試合も出場できず。今季からは期限付きで鳥取へ加わると、森岡隆三前監督と須藤大輔現監督の両者から信頼を集め、ここまでリーグ戦は全29試合、2,610分にフルタイム出場。第29節の福島戦ではJリーグ初ゴールもマークしており、チームのディフェンスリーダーとして、さらなる活躍が期待されていると言っていいでしょう。
リーグ戦も終盤にきて好調をキープしている両チームの対戦だけに、好ゲームが予想されますが、鳥取からすれば今季は5勝1分5敗とイーブンとなっているとりスタでの成績を、1つでも白星先行にしておきたい所。この一戦では甲斐のプレーにも注目しつつ、ホームチームが勝利を収めると予想。「1」で勝負します!
文=土屋雅史
J3は当せんの行方を左右する重要な要素。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ3攻略のカギを語る! サッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/top/)』にて、『今週のJ3(http://www.totoone.jp/j3/)』が好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。
■明治安田生命J3リーグ第32節
2018年11月18日(日)13時キックオフ
アスルクラロ沼津vsSC相模原(愛鷹広域公園多目的競技場)
■明治安田生命J3リーグ第32節
2018年11月18日(日)13時キックオフ
ガイナーレ鳥取vsAC長野パルセイロ(とりぎんバードスタジアム)
まさかの5戦未勝利で勝ち点をなかなか伸ばせなかったものの、前節の富山戦で久々の白星を手にし、終盤に向けてラストスパートといきたい3位の沼津と、泥沼の4連敗から一転して、ここ5試合は4勝1敗とスイッチが入ってきた感のある10位・相模原が対峙する第32節。この一戦では静岡出身でもある相模原の西ヶ谷隆之監督の“静岡時代”に、スポットを当てたいと思います。
日本サッカー界のレジェンドとして知られる杉山隆一氏の出身校でもある、清水は袖師中学校から名門の清水商業高校に進学した西ヶ谷監督。2年時にはインターハイに全日本ユース選手権と、2つの日本一に輝いたチームの中でレギュラーを獲得し、“全国三冠”を目指して高校選手権に挑みます。
最終ラインは1つ上の望月慎之、大岩剛、薩川了洋に西ヶ谷監督と、4人全員がのちのJリーガー。中盤にも現在では相模原の会長を務める望月重良と名波浩が並び、前線には高校ナンバーワンフォワードと称されていた山田隆裕や田光仁重、興津大三が揃う、まさに高校版ドリームチーム。優勝候補の大本命という位置付けだったことは言うまでもないでしょう。
初戦の佐賀学園戦を6-0で制し、西ヶ谷監督も1得点を記録しましたが、2回戦の市立船橋戦は大苦戦。最近番組でご一緒しているワッキーさんが名波さんを密着マークで苦しめ、試合はPK戦へ。辛くも清水商業が勝ち上がったものの、ワッキーさんの奮闘は当時の雑誌でも称賛されるほど。なお、以前偶然ワッキーさんに遭遇した西ヶ谷監督が、「僕もあの試合出てたんです」と挨拶しましたが、ワッキーさんはまったく覚えていませんでした(笑)。
そして3回戦の大宮東戦も苦戦を強いられ、ゲームは2試合続けてPK戦へ。2人が失敗した清水商業の“全国三冠”は幻に終わったのです。ちなみにこの時の大宮東で10番を付けていたのが、アルディージャで長年広報を務めていた秋元さんという方で、同点アシストを記録したのは、来年から川崎への加入が決まっている昌平高校のミッドフィルダー、原田虹輝のお父さん。いろいろな繋がりがあるものです。ただ、そんな凄まじいチームで、2年生から定位置を掴んでいた西ヶ谷監督が、かなりの実力者であったことは間違いのない所です。
3年時もディフェンスの中心として、同級生の望月重良や1つ下の平野孝らとともに冬の全国へ帰ってきましたが、前園真聖や城彰二、藤山竜仁を擁した鹿児島実業に逆転負けを喫し、3回戦で無念の敗退。結局冬の日本一には手が届きませんでした。ちなみに、そのゲームで清水商業のゴールを守っていたのが、先日今季限りでの現役引退を発表した、相模原でプレーする川口能活だったことも、不思議な因縁を感じずにはいられません。
沼津、相模原とどちらも直近の試合では勝利を収めており、悪くない調子を携えてこの一戦に挑むことになりますが、ここ最近のバイオリズムの良さは明らかにアウェイチーム。ということで、このゲームは相模原が勝ち切るという予想の「2」にマークします。
■準優勝一度、ベスト4四度…輝かしい学生時代を過ごした鳥取のセンターバック
ここ3試合は無敗で、白星先行の6位につけている鳥取と、こちらも4戦無敗で現在は2連勝中の9位・長野が、『とりぎんバードスタジアム』で激突する一戦。このゲームでは、鳥取でただ1人だけフルタイム出場を続けているセンターバックに注目したいと考えています。
甲斐健太郎。24歳。もともと大阪出身の彼は、大森晃太郎や双子の陸と力の松田兄弟、北朝鮮代表にも選出されているリ・ヨンジなど、数々のJリーガーを輩出している大阪セントラルFCで中学までプレーした後、松田兄弟と同じく島根の強豪・立正大淞南高校へ進学する決断を下します。
山陰きっての強豪校で2年からレギュラーを掴むと、いきなりインターハイで白崎凌兵の山梨学院大附属や山岸祐也の尚志などを相次いで撃破し、全国ベスト4まで駆け上がりましたが、その年の選手権は県の準決勝で大社にまさかの敗退。3年時のインターハイでは、松田天馬の東福岡、翁長聖の帝京第三にも競り勝って、2年連続の全国4強を経験しながら、自身も大会優秀選手に選出。選手権予選でも大社に決勝でリベンジを果たし、満を持して冬の全国へと挑みます。
初戦の八千代戦は甲斐の2ゴールもあって、7-1という大勝でスタート。3回戦でも旭川実業をPK戦で退けましたが、準々決勝で結果的に優勝する鵬翔に1-3で屈し、憧れの国立競技場でのプレーは叶いません。ただ、春には高校選抜としてデュッセルドルフ国際ユース大会に参加。室屋成や仙頭啓矢、河面旺成といったチームメイトたちと勝ち獲った優勝を手土産に、阪南大学へと入学することになりました。
2年時からセンターバックの定位置を確保してリーグ優勝に貢献すると、関西選抜にも選出されるなど着実にステップアップしていく甲斐でしたが、その年の総理大臣杯はベスト8、インカレはベスト4止まり。翌年のインカレもファイナルで関西学院大学に0-4で完敗を喫する結果に終わり、頂点には辿り着けません。甲斐、大本祐槻、外山凌、前田央樹、重廣卓也、山口一真、脇坂泰斗など現在Jリーグでプレーする数多くのタレントを擁した4年時も、関西王者として臨んだインカレは準決勝で筑波大学に0-3で敗れ、高校時代から限りなく近付いていた学生日本一にはあと一歩及びませんでしたが、全国大会で準優勝が一度、ベスト4が四度という結果が、大いに誇れる数字であることに、疑いの余地はありません。
既に岐阜の特別指定選手として、大学4年時にJリーグデビューを果たしていた甲斐は、その岐阜でプロ選手のキャリアをスタートさせるも、1年目のリーグ戦には1試合も出場できず。今季からは期限付きで鳥取へ加わると、森岡隆三前監督と須藤大輔現監督の両者から信頼を集め、ここまでリーグ戦は全29試合、2,610分にフルタイム出場。第29節の福島戦ではJリーグ初ゴールもマークしており、チームのディフェンスリーダーとして、さらなる活躍が期待されていると言っていいでしょう。
リーグ戦も終盤にきて好調をキープしている両チームの対戦だけに、好ゲームが予想されますが、鳥取からすれば今季は5勝1分5敗とイーブンとなっているとりスタでの成績を、1つでも白星先行にしておきたい所。この一戦では甲斐のプレーにも注目しつつ、ホームチームが勝利を収めると予想。「1」で勝負します!
文=土屋雅史
J3は当せんの行方を左右する重要な要素。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ3攻略のカギを語る! サッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/top/)』にて、『今週のJ3(http://www.totoone.jp/j3/)』が好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。
■明治安田生命J3リーグ第32節
2018年11月18日(日)13時キックオフ
アスルクラロ沼津vsSC相模原(愛鷹広域公園多目的競技場)
■明治安田生命J3リーグ第32節
2018年11月18日(日)13時キックオフ
ガイナーレ鳥取vsAC長野パルセイロ(とりぎんバードスタジアム)
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