【ライターコラムfrom東京V】クラブ初のPO進出へ…最終節出場停止の主将・井林章「あとは託すだけ」
サッカーキング2017年11月19日(日)13時0分
主将・井林章はチームメイトに思いを託す [写真]=J.LEAGUE
「あとは、託すだけです」。ここまで、41試合全試合フル出場を続けてきた井林章は、すっきりとした表情で、最終節への思いを語った。
前節・京都サンガF.C.戦で今季4枚目の警告を受け、今節は出場停止となった。現在、チームは5位徳島ヴォルティスと勝ち点「67」で並んでの6位。J1昇格プレーオフ進出は目前だが、奇しくも今節の相手は、他でもない、徳島なのである。仮に、黒星を喫した場合でも、勝ち点「66」の7位松本山雅FC、同「65」の8位ジェフユナイテッド千葉の結果次第によっては、このまま通過できる可能性は残されているが、「勝利あるのみ」だ。
勝てば、クラブ初のプレーオフ進出が決まる大一番となるだけに、ここまで試合に出続け、この状況を作り上げてきた功労者である主将がピッチに立てないことは、非常に残念である。当然、本人が1番無念であろう。「どうしても出たかった」「すごく悔しい」などの言葉が並ぶことを予想し、リーグ最終節2日前にその胸中を尋ねると、意外なほど冷静な答えが返ってきたのだった。「僕がいなくても、チームとしてやることは決まっているので、大丈夫ですよ」。あまりの穏やかさに、思わず「でも、さすがに出たかったのでは?」と、改めて問うと、「やることはやったので。あとは、スタンドから祈っていますよ」と、やはり穏やかに微笑んだ。
「やることはやった」と言い切れるのは、それが直近だけの話ではないからだろう。昨季18位に終わったチームが、いま、プレーオフ出場を争えている要因についても、「みんなが方向性をしっかり持ち、軸をぶらさず、やれることをしっかりとやるということが、結果につながった」と話している通り、自身もチームの一員として、日々のトレーニング、毎試合の中で自分がやれること、やるべきことを全力で取り組んできたからこその言葉に他ならない。前節受けたイエローカードについても、「『カードをもらったら次が出られない』なんて考えは、なかったです。次の試合のことよりも、この試合に勝たなければ終わるなと思っていました。先制点を取れて、(田中マルクス)闘莉王選手が出てきたので、とにかく『ここで止めなければやられる』という意識が強かった」と、決して無駄なファウルではないため、後悔は一寸もない。
また、出場停止が決まった以上、「僕にとって今週は、チームの勝利へ貢献できる場は、練習しかない」と、いつも以上に良い守備を心掛けた。ただ、「あからさまに気張ったりしたら、ちょっと変かなと思ったので」、あくまで、“いつも通り”を全力で、というのがなんとも井林流である。
さて、プレーオフ出場をかけた決戦だ。主将はDFの柱であるため、欠場がマイナス要素であることは間違いない。だが、日頃の練習では、紅白戦なども、決して固定メンバーで行わず、可能性のあるあらゆる組み合わせを試しているだけに、「誰が出ても、『(この選手とは)やったことがない』と、焦ることがない」と、選手たちに不安は無い。むしろ、「代わりに出た選手にとって絶好のアピールとなるので、その選手がプラスの部分で補ってくれると思う。きっちりと勝って、プレーオフの試合で、また井林にキャプテンマークを渡したい」と、GK柴崎貴広。
プレーオフ出場が叶えば、まだ2試合戦える。その2試合で大暴れするためにも、まずはチームメイトのリーグ戦ラストゲーム・徳島戦勝利が必須だ。そのために、今の自分には主将として何ができ、何をすべきなのか。置かれた立場でできる、最大限のサポートで、チームを鼓舞してくれるはずだ。
文=上岡真里江
前節・京都サンガF.C.戦で今季4枚目の警告を受け、今節は出場停止となった。現在、チームは5位徳島ヴォルティスと勝ち点「67」で並んでの6位。J1昇格プレーオフ進出は目前だが、奇しくも今節の相手は、他でもない、徳島なのである。仮に、黒星を喫した場合でも、勝ち点「66」の7位松本山雅FC、同「65」の8位ジェフユナイテッド千葉の結果次第によっては、このまま通過できる可能性は残されているが、「勝利あるのみ」だ。
勝てば、クラブ初のプレーオフ進出が決まる大一番となるだけに、ここまで試合に出続け、この状況を作り上げてきた功労者である主将がピッチに立てないことは、非常に残念である。当然、本人が1番無念であろう。「どうしても出たかった」「すごく悔しい」などの言葉が並ぶことを予想し、リーグ最終節2日前にその胸中を尋ねると、意外なほど冷静な答えが返ってきたのだった。「僕がいなくても、チームとしてやることは決まっているので、大丈夫ですよ」。あまりの穏やかさに、思わず「でも、さすがに出たかったのでは?」と、改めて問うと、「やることはやったので。あとは、スタンドから祈っていますよ」と、やはり穏やかに微笑んだ。
「やることはやった」と言い切れるのは、それが直近だけの話ではないからだろう。昨季18位に終わったチームが、いま、プレーオフ出場を争えている要因についても、「みんなが方向性をしっかり持ち、軸をぶらさず、やれることをしっかりとやるということが、結果につながった」と話している通り、自身もチームの一員として、日々のトレーニング、毎試合の中で自分がやれること、やるべきことを全力で取り組んできたからこその言葉に他ならない。前節受けたイエローカードについても、「『カードをもらったら次が出られない』なんて考えは、なかったです。次の試合のことよりも、この試合に勝たなければ終わるなと思っていました。先制点を取れて、(田中マルクス)闘莉王選手が出てきたので、とにかく『ここで止めなければやられる』という意識が強かった」と、決して無駄なファウルではないため、後悔は一寸もない。
また、出場停止が決まった以上、「僕にとって今週は、チームの勝利へ貢献できる場は、練習しかない」と、いつも以上に良い守備を心掛けた。ただ、「あからさまに気張ったりしたら、ちょっと変かなと思ったので」、あくまで、“いつも通り”を全力で、というのがなんとも井林流である。
さて、プレーオフ出場をかけた決戦だ。主将はDFの柱であるため、欠場がマイナス要素であることは間違いない。だが、日頃の練習では、紅白戦なども、決して固定メンバーで行わず、可能性のあるあらゆる組み合わせを試しているだけに、「誰が出ても、『(この選手とは)やったことがない』と、焦ることがない」と、選手たちに不安は無い。むしろ、「代わりに出た選手にとって絶好のアピールとなるので、その選手がプラスの部分で補ってくれると思う。きっちりと勝って、プレーオフの試合で、また井林にキャプテンマークを渡したい」と、GK柴崎貴広。
プレーオフ出場が叶えば、まだ2試合戦える。その2試合で大暴れするためにも、まずはチームメイトのリーグ戦ラストゲーム・徳島戦勝利が必須だ。そのために、今の自分には主将として何ができ、何をすべきなのか。置かれた立場でできる、最大限のサポートで、チームを鼓舞してくれるはずだ。
文=上岡真里江
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