オジエが8度目の王座獲得。トヨタの27年ぶり3冠達成に「皆を本当に誇りに思う」とラトバラ代表/WRC
11月21日、WRC世界ラリー選手権第12戦モンツァの競技最終日がイタリア・ロンバルディア州のモンツァ・サーキットで行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(トヨタ・ヤリスWRC)が優勝を飾るとともに通算8回目となるドライバーおよびコドライバーチャンピオンに輝いた。
彼らと最終戦までチャンピオンシップを争ったエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタ・ヤリスWRC)は激しい攻防の末、総合2位でフィニッシュし、ドライバー/コドライバー選手権2位を獲得。また、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタ・ヤリスWRC)は総合9位で完走し、チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得を支えた。
2021年シーズン最終戦として18日に開幕した『ラリー・モンツァ』のデイ3は、モンツァ・サーキット内で3本のステージが行われた。早朝は霧が立ち込め、その後は曇り空が続く肌寒い1日となったこの日、初日から両者一歩も引かない大接戦を繰り広げてきたオジエとエバンスは、オープニングのSS14“グランプリ2”でステージ2番手となるまったくの同タイムを記録。ギャップは前日終了時の0.5秒から変わらぬまま、残るステージ数はふたつとなった。
続くSS15でわずかにチームメイトをリードするオジエは4番手タイムをマークした一方、追いかける立場のエバンスは2度のエンジンストールによってタイムを失い、その差が7.6秒に拡がってしまう。
迎えた最終パワーステージ(SS16)でオジエは5番手、エバンスは3番手タイ(4番手扱い)のタイムを残すも、7.6秒をひっくり返すには至らず。この結果、オジエが最終戦を制し、自身とイングラシアにとって8回目となるシリーズチャンピオンを獲得した。
オジエ/イングラシア組の勝利は今季5度目、通算では54回目の総合優勝となっている。なお、今大会をもってイングラシアが現役を退くことから、同コンビによる勝利はこれがラストとなった。
「今の気持ちを表現するのはとても難しい。いつもそうだが、チャンピオンシップを勝ちとるためには多くのことを捧げてハードにシーズンを戦う必要があり、へとへとになってしまうんだ。しかし、僕たちは今日のような瞬間を経験するために戦っている」と語ったオジエ。
「チームのメンバー全員に感謝します。彼らの存在なしに我々は何もできないし、今日はチームの全員がワールドチャンピオンになったのだから、みんなで祝おう!」
■代表としてふたたびチャンピオンに「それを達成できたのは、特別な出来事」とヤリ-マティ・ラトバラ
エバンスが2位でフィニッシュしたことから、トヨタは今季5回目となるワン・ツー・フィニッシュを飾り、同時に2018年以来となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得している。
今回のモンツァでは、チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得をバックアップする役目に徹したロバンペラは、任務を完璧にこなし総合9位でラリーを完走した。今シーズン、彼はエストニアで初優勝し、WRC史上最年少記録を更新。その2戦後のギリシャ(アクロポリス)でふたたびウイナーとなり、シーズン2勝を記録している。
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加し、トヨタ・ヤリスWRCでラリー・モンツァに出場した勝田貴元は、SS14で4番手タイム記録するも、続くSS15でバリアにヒットしサスペンションを破損してしまう。リタイアの可能性もあったなか、メカニックたちは15分間という短いサービスでクルマの修復を終わらせ、勝田をパワーステージに送り込む。その努力に応えるかのように、勝田は最終パワーステージで2番手タイムをマーク。現行WRカーのラストイベントを総合7位でフィニッシュした。
「マニュファクチャラーズタイトル、ドライバーズタイトル、コドライバーズタイトルをすべて同時に獲得するために、我々は非常に努力してきました。チームには本当に感謝している」と語るのは、今シーズンからTOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めているヤリ-マティ・ラトバラ。
「我々のチームには、素晴らしい人材と、WRCで最高のドライバーたちが揃っている。皆を本当に誇りに思う。セブ(セバスチャン・オジエ)とジュリアン(・イングラシア)が成し遂げたことは、信じられないくらい素晴らしいものだ」
「また、エルフィン(・エバンス)とスコット(・マーティン)も、素晴らしい走りで戦いを盛り上げてくれたし、カッレ(・ロバンペラ)とヨンネ(・ハルットゥネン)のサポートにも心から感謝したい」
「2018年に私はドライバーとしてマニュファクチャラーズタイトルを獲得したが、今回、チーム代表としてふたたびそれを達成できたのは、特別な出来事だ。また、ヤリスWRCでこのWRカーの時代を終えることになり、今シーズン9勝できたことも素晴らしいことだと思っている」
2017年から5シーズンに渡りWRCを戦ったヤリスWRCは通算26勝をマークした。新しい時代の“ラリー1”規定が導入される2022年シーズンからは、ハイブリッドシステムを搭載する次世代のラリーマシン『トヨタGRヤリスWRCラリー1』が、TOYOTA GAZOO Racing WRTの新たにワークスカーとして、世界最高峰シリーズを戦っていくことになる。
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