酷暑の王者候補決定戦はトヨタ、シボレーとも意地の勝利。3冠王者セラに2名が挑戦へ/SCB第11戦
11月20〜21日にブラジル最南端のリオグランデドスル州サンタクルス・ド・ソルで争われた2021年のSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第11戦は、最終戦に向けタイトルコンテンダーが9名から3名に絞り込まれる猛暑の1戦となり、レース1は年間最多ポールポジション獲得記録も持つ“最速男”ことチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)がふたたびのポール・トゥ・ウインを決め今季4勝目をマーク。続くレース2ではリカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が勝利し、トヨタとシボレーがそれぞれ意地の勝利を飾る展開に。
一方、週末を通じて4位、6位とポイントを加算した選手権リーダーのガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が初戴冠に向け優位を築き、最終戦に向け2017-18-19年とシリーズ3連覇を経験するダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)に挑む構図となった。
12月11〜12日にサンパウロのF1トラック、インテルラゴスで雌雄を決する最終戦BRBスーパー・ファイナルを前に、この第11戦サンタクルスではルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)やリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)らを含む9名に数学上のタイトル獲得権が残された。
その誰もが「ここが勝負どころ」と理解した緊張感高まる状況で迎えた予選では、実に上位23台が1秒圏内に入る熾烈なタイムバトルとなり、ゾンタが予選Q1で敗退し20番グリッドに沈む波乱で幕を明けると、バリチェロも続くQ2で9番手止まりに。
トップ6で争われたシュートアウトでは、5番手にセラ、6番手にカサグランデを退け、1分23秒552を記録したカミーロがキャリア通算27度目、10戦に1回という現役最高峰の高い頻度を誇る“定位置”最前列を確保した。
明けた日曜の午後14時を前にスタートが切られたレース1は、気温36℃という酷暑の勝負となり、30分のレース時間で義務ピットを消化して以降も、ポールシッターのカミーロが隊列を支配する展開に。
■4度目のタイトル狙うセラ「今度は僕が“ハンター”の役を演じる番だ」
一方、3列目をシェアしたセラとカサグランデのシボレー勢は、3冠王者との直接対決を制したカサグランデが4位でフィニッシュ。5位セラに対しスタンディング上のマージンを広げる結果となり、戦前にはランキング7位だったカミーロは、この勝利により同3位にジャンプアップ。一躍、タイトル候補に名乗りを上げる貴重なキャリア通算36勝目となった。
インターバルを経てそのまま迎えた猛暑日の30分レース2は、トップ10リバースグリッドにより恩恵を受けたセラの僚友リカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が、ラファエル鈴木(フルタイム・バッサーニ/トヨタ・カローラ)とバリチェロのTOYOTA GAZOO Racingブラジル勢を従えて勝利。
このヒートでも集団のバトルに乗じてトップ5圏内で最初のスティントを進めたカサグランデに対し、セラは5番手争いの車列に飲み込まれ思うようにポジションアップが果たせず。
最終的にカサグランデが6位、セラが10位と2ヒート連続でポイントリーダーを下回るリザルトとなったセラが、ポイント上で25ポイントのビハインドを背負う格好に。これはインテルラゴスで獲得できる最大56ポイントのほぼ半分に相当するリードとなり、3位のカミーロは上位2名が0ポイントで、自らは勝利を挙げる条件でのみ戴冠可能という、現実的には厳しい数学的な可能性のみが残された。
「ストックカーのポイントリーダーとして最終戦に挑むのは初めてだね」と、26歳の若きタイトル候補筆頭となったカサグランデ。「今週の決勝前にも話したように、相手は何度もタイトルを獲得した経験のある百戦錬磨の男だ。そんな彼に対し、僕は大好きなレースで戦い、速いクルマを与えられ、タイトル獲得の可能性を持っている。この状況を神に感謝したいし、とにかく自分にできることをやるだけだ」
一方、自身4度目のドライバーズチャンピオン獲得を狙うWEC世界耐久選手権レギュラーのセラも「まだ僕たちは戦いの渦中にあり、レースでは何でも起こりうる」と応じた。
「僕自身、こういうアドバンテージを持ってタイトルを獲得してきたし、今回はこちらにとって簡単な状況じゃないことは理解している。でも今度は僕が“ハンター”の役を演じる番だ。スーパーファイナルの長丁場で、必ず彼のことを捕まえてみせるよ」
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