【ライターコラムfrom神戸】最後まで噛み合わなかった歯車…“運がなかった”では片付けられない
サッカーキング2017年12月27日(水)11時7分
今季途中から神戸を率いた吉田監督 [写真]=JL/Getty Images for DAZN
石の上にも三年。ネルシーニョ体制3年目の2017年はこれまで厳しさに耐えてきた分、飛躍するはずだった。高橋秀人や田中順也、大森晃太郎、渡部博文らJリーグで実績のある選手も補強し、シーズン前の下馬評は高かった。新加入発表記者会見では、数々のタイトルを獲ってきた名将の口から「3年ぶりにタイトルを狙える。そういうチームを指揮できることにやり甲斐を感じている」という言葉まで飛び出した。前シーズン年間7位、セカンドステージだけを見れば2位という好成績を考えても、悲願の初タイトルはいよいよ現実味を帯びていた。
予想通り、いや予定通り、神戸は開幕4連勝を飾り第3節から第6節まで首位に立った。唯一の誤算は昨季J1得点王のレアンドロが開幕戦で負傷し長期離脱することになったこと。それ以外は順調にことが運んでいた。
だが、高いパフォーマンスを維持していた藤田直之と新加入の高橋秀人のボランチ2枚が離脱すると、不動のセンターバックコンビ岩波拓也と渡部がケガの影響で揃わないゲームも出てきた。徐々に守備の歯車が噛み合わなくなっていくのだが、その時に攻撃陣がフォローできていればまた違った結果になっていたかもしれない。だが、頼みのレアンドロがいない。結局、絶対的なエースを開幕戦で失ったことが、大きく影響を及ぼすことになる。
そんな中、神戸の救世主として加わったのが元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキだった。Jリーグデビューとなった7月29日の第19節大宮アルディージャ戦では、まだコンディションが上がっていない中で名刺代わりの2ゴールと活躍。誰もが神戸浮上の予感を感じたが、翌節の柏レイソル戦、第21節の鹿島アントラーズ戦、第22節のFC東京戦と3連敗を喫し、ネルシーニョ監督が解任された。
それを受けてチームの指揮を執ったのはクラブレジェンドの一人、吉田孝行ヘッドコーチだった。吉田監督は、まず守備の立て直しを図った。そしてポドルスキの取扱説明書を紐解きながら、なんとかオフェンスの再構築にも成功。9月を3勝1分け無敗で乗り切るなど手腕を発揮した。ラスト3試合の3連敗が響いて4勝3分け5敗と負け越して終えたものの、急造監督としては上出来と言って良かった。
カップ戦に目を向ければ、JリーグYBCルヴァンカップでは4年連続でノックアウトステージへ進出し、天皇杯ではベスト4に駒を進めるなど確かな爪痕を残した。
だが、12月23日の天皇杯準決勝という大一番を前に、ニウトンが11月末で契約満了になり、ポドルスキがケガの治療で一時帰国し、一時は連絡がつかないという事件も発生。そのドタバタ劇の中で準決勝に挑み、セレッソ大阪に延長の末に逆転負け。この試合が象徴するように、最後まであと一つの歯車が噛み合わないシーズンだった。
結局、どこでボタンを掛け違えたのだろうか。開幕戦でのレアンドロの離脱か、ネルシーニョ監督の解任か、ポドルスキの合流が当初よりも遅れたからか……。もちろん一つではないだろう。だが、運がなかったという言葉で片付けていては、いつまで経ってもタイトルは奪えない。天皇杯敗退で今シーズンは終わった。これから来シーズンへ向けた動きが明るみになるだろう。どういう方向性で来シーズンを戦うのか、これからの動向を見守りたい。
文=白井邦彦
予想通り、いや予定通り、神戸は開幕4連勝を飾り第3節から第6節まで首位に立った。唯一の誤算は昨季J1得点王のレアンドロが開幕戦で負傷し長期離脱することになったこと。それ以外は順調にことが運んでいた。
だが、高いパフォーマンスを維持していた藤田直之と新加入の高橋秀人のボランチ2枚が離脱すると、不動のセンターバックコンビ岩波拓也と渡部がケガの影響で揃わないゲームも出てきた。徐々に守備の歯車が噛み合わなくなっていくのだが、その時に攻撃陣がフォローできていればまた違った結果になっていたかもしれない。だが、頼みのレアンドロがいない。結局、絶対的なエースを開幕戦で失ったことが、大きく影響を及ぼすことになる。
そんな中、神戸の救世主として加わったのが元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキだった。Jリーグデビューとなった7月29日の第19節大宮アルディージャ戦では、まだコンディションが上がっていない中で名刺代わりの2ゴールと活躍。誰もが神戸浮上の予感を感じたが、翌節の柏レイソル戦、第21節の鹿島アントラーズ戦、第22節のFC東京戦と3連敗を喫し、ネルシーニョ監督が解任された。
それを受けてチームの指揮を執ったのはクラブレジェンドの一人、吉田孝行ヘッドコーチだった。吉田監督は、まず守備の立て直しを図った。そしてポドルスキの取扱説明書を紐解きながら、なんとかオフェンスの再構築にも成功。9月を3勝1分け無敗で乗り切るなど手腕を発揮した。ラスト3試合の3連敗が響いて4勝3分け5敗と負け越して終えたものの、急造監督としては上出来と言って良かった。
カップ戦に目を向ければ、JリーグYBCルヴァンカップでは4年連続でノックアウトステージへ進出し、天皇杯ではベスト4に駒を進めるなど確かな爪痕を残した。
だが、12月23日の天皇杯準決勝という大一番を前に、ニウトンが11月末で契約満了になり、ポドルスキがケガの治療で一時帰国し、一時は連絡がつかないという事件も発生。そのドタバタ劇の中で準決勝に挑み、セレッソ大阪に延長の末に逆転負け。この試合が象徴するように、最後まであと一つの歯車が噛み合わないシーズンだった。
結局、どこでボタンを掛け違えたのだろうか。開幕戦でのレアンドロの離脱か、ネルシーニョ監督の解任か、ポドルスキの合流が当初よりも遅れたからか……。もちろん一つではないだろう。だが、運がなかったという言葉で片付けていては、いつまで経ってもタイトルは奪えない。天皇杯敗退で今シーズンは終わった。これから来シーズンへ向けた動きが明るみになるだろう。どういう方向性で来シーズンを戦うのか、これからの動向を見守りたい。
文=白井邦彦
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