【高校選手権展望】<昌平>大会屈指のパスワークだけでなく…夏の苦い経験経て勝ち切る冬に
サッカーキング2017年12月28日(木)19時35分
3年ぶり2度目の選手権出場となる昌平 [写真]=平野貴也
30日に開幕する第96回全国高校サッカー選手権大会に出場する昌平(埼玉)は、大会屈指のパスワークを誇る。相手と相手の間に立つポジショニングと、スペースを突くランニング、そして長短の的確なパスを駆使して、相手を翻ろうしてゴールを狙う。最前線には大宮アルディージャへの加入が内定したエースストライカーの佐相壱明がおり、ときには最終ラインから1本のパスで佐相が相手の背後へ飛び出してシュートを放つ。
昌平が全国大会で結果を残したのは、4強に残った昨年のインターハイが最初だ。初戦で優勝候補だった東福岡(福岡)を破って周囲を驚かせたが、隠れた実力校がようやく光を浴びただけの話だった。当時の3年生、松本泰志(サンフレッチェ広島)と針谷岳晃(ジュビロ磐田)の2人はプロの道に進んだ。
今季も昨年に見劣りしないチームに仕上がっている。中盤でシャドーストライカーの位置に入る山下勇希は、大会指折りのプレーメーカー。夏まではアンカーでゲームメークに専念していたが、冬は相手ゴールに近い位置で持ち味のドリブルとシュートを駆使してゴールを狙う。原田虹輝も中盤のスペースを巧みに使う曲者だ。両ワイドは、突破を仕掛けるだけでなく、中央に絞ってサイドDFの攻撃参加を促すことも多い。左DF堀江貴大は「中央主体だけど、僕と右の塩野(碧斗)君は攻撃が武器」とオーバーラップに積極的だ。相手が引いて守る展開が多くなるが、ボールポゼッションから人数をかけた攻撃でゴールを陥れる。フリーでボールを持つセンターバックに展開力がある。特に主将を務める石井は右利きだが、左利きと見間違うほどに両足のキック精度が高く、相手の背後をズバッと突く配球で相手に脅威を与える。
ポゼッション型のチームにありがちな弱点は、2つある。一つは、パスばかりになってシュートが少なくなり得点力が落ちるゲームに陥りやすいこと。もう一つは、攻撃に人数をかけるため、カウンターに脆いことだ。優勝候補の一角として挙げられていたインターハイでは、準優勝した日大藤沢(神奈川)に初戦で敗れた。先制点を取ったが、引いて守る相手を仕留め切れずに追いつかれて敗れた。冬の選手権予選では藤島崇之監督が「一本槍にならないことにフォーカスしてきた。色々な選択肢を持ち合わせながらやるというサッカースタイルは、さらに良くなってきた。パスだけでは崩せないというスタンスはある」と話した通り、相手が築いたブロックにドリブルで侵入してショートコンビネーションを仕掛ける場面も増えており、攻撃はバリエーション増で得点力を向上させている。また、石井と組む2年生CB関根浩平のヘディングシュートを決める確率が高まっているセットプレーも一つの武器となる。カウンター対策は、判断と反応の鋭いGK緑川光希を中心に防ぐ。藤島監督が「(体は)小さいけど、大きい」と評する守護神は、相手FWとの1対1で飛び出すタイミングが抜群。頼りになる存在だ。
夏の反省を踏まえ、パスをつなぐだけに留まらず、勝ち切るチームへの成長を目指して来た。成果を示すのは、全国の舞台だ。エースの佐相は「点を取ってチームを勝たせる。点を取りたい」と強い意気込みを示した。実力は、十分。攻め切って、県予選優勝を果たした埼玉スタジアム2002まで勝ち進む。
取材・文=平野貴也
昌平が全国大会で結果を残したのは、4強に残った昨年のインターハイが最初だ。初戦で優勝候補だった東福岡(福岡)を破って周囲を驚かせたが、隠れた実力校がようやく光を浴びただけの話だった。当時の3年生、松本泰志(サンフレッチェ広島)と針谷岳晃(ジュビロ磐田)の2人はプロの道に進んだ。
今季も昨年に見劣りしないチームに仕上がっている。中盤でシャドーストライカーの位置に入る山下勇希は、大会指折りのプレーメーカー。夏まではアンカーでゲームメークに専念していたが、冬は相手ゴールに近い位置で持ち味のドリブルとシュートを駆使してゴールを狙う。原田虹輝も中盤のスペースを巧みに使う曲者だ。両ワイドは、突破を仕掛けるだけでなく、中央に絞ってサイドDFの攻撃参加を促すことも多い。左DF堀江貴大は「中央主体だけど、僕と右の塩野(碧斗)君は攻撃が武器」とオーバーラップに積極的だ。相手が引いて守る展開が多くなるが、ボールポゼッションから人数をかけた攻撃でゴールを陥れる。フリーでボールを持つセンターバックに展開力がある。特に主将を務める石井は右利きだが、左利きと見間違うほどに両足のキック精度が高く、相手の背後をズバッと突く配球で相手に脅威を与える。
ポゼッション型のチームにありがちな弱点は、2つある。一つは、パスばかりになってシュートが少なくなり得点力が落ちるゲームに陥りやすいこと。もう一つは、攻撃に人数をかけるため、カウンターに脆いことだ。優勝候補の一角として挙げられていたインターハイでは、準優勝した日大藤沢(神奈川)に初戦で敗れた。先制点を取ったが、引いて守る相手を仕留め切れずに追いつかれて敗れた。冬の選手権予選では藤島崇之監督が「一本槍にならないことにフォーカスしてきた。色々な選択肢を持ち合わせながらやるというサッカースタイルは、さらに良くなってきた。パスだけでは崩せないというスタンスはある」と話した通り、相手が築いたブロックにドリブルで侵入してショートコンビネーションを仕掛ける場面も増えており、攻撃はバリエーション増で得点力を向上させている。また、石井と組む2年生CB関根浩平のヘディングシュートを決める確率が高まっているセットプレーも一つの武器となる。カウンター対策は、判断と反応の鋭いGK緑川光希を中心に防ぐ。藤島監督が「(体は)小さいけど、大きい」と評する守護神は、相手FWとの1対1で飛び出すタイミングが抜群。頼りになる存在だ。
夏の反省を踏まえ、パスをつなぐだけに留まらず、勝ち切るチームへの成長を目指して来た。成果を示すのは、全国の舞台だ。エースの佐相は「点を取ってチームを勝たせる。点を取りたい」と強い意気込みを示した。実力は、十分。攻め切って、県予選優勝を果たした埼玉スタジアム2002まで勝ち進む。
取材・文=平野貴也
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