広島・西条の酒蔵で愛され続ける伝説の「美酒鍋」を食べてみた
食楽web
東広島市西条町といえば、言わずと知れた全国屈指の酒どころです。7軒の酒蔵が集まるこのエリアでは、「美酒鍋(びしょなべ)」と呼ばれる鍋料理があるのをご存知でしょうか?
もともとは酒蔵で働く蔵人たちのまかないとして誕生し、毎年10月に開催される「酒まつり」でも振る舞われるこの鍋料理。賀茂鶴酒造直営のレストラン『佛蘭西屋(ふらんすや)』で食べられると聞き、さっそくいただいてきました。一体どんな鍋料理なのでしょうか。
蔵人のことを想って賀茂鶴の役員が考案
1873年創業の賀茂鶴酒造。西条の各蔵にはレンガの煙突が残されており、かつては酒米を蒸すための石炭ボイラーの排煙用として使われた
西条には「酒蔵通り」と呼ばれる通りがあり、賀茂鶴酒造もその通り沿いに位置しています。賀茂鶴酒造といえば、「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」がオバマ前大統領の来日の会食で振る舞われたほど。
酒蔵通りのマンホールからも酒造りの町であることがわかる
そんな西条の町にある「佛蘭西屋」は、1階が洋食店、2階が和食店になったレストラン。噂の美酒鍋は2階でいただけます。
佛蘭西屋では、日本酒の仕込み水を使った料理と賀茂鶴の日本酒が楽しめる
1階の洋食店でいただいた和モダンフレンチのディナー。日本酒に合うように出汁を使用している
看板メニューの「美酒鍋」は、もともと酒蔵で働く蔵人に栄養を付けてあげたいと、昭和30年代に当時の賀茂鶴の役員が考案したものです。作業の合間に食べても利き酒に影響が出ないように、砂糖や醤油での味付けをしないのが最大の特徴。蔵での作業は服がびしょびしょになるので、そんな蔵人が食べる料理だから「びしょなべ」と呼ばれました。
すき焼き鍋のような鉄鍋で、にんにく、豚バラ肉、鶏肉、砂肝を炒める。この香りだけで食欲がそそられる
お肉を炒め終えたら、野菜、こんにゃく、しいたけなどを加え、ここに日本酒を注ぎます。具材が浸らない程度の日本酒で炒め煮するのがポイント。基本の味付けは塩とこしょうのみなので、あっさりしているのが特徴です。
日本酒をしっかり加えて素材の旨みを引き出す。賀茂鶴の「本醸造 上等酒」を使用している。
完成した美酒鍋はそのまま食べてもいいですし、お好みで溶き卵につけて食べても構いません。しっかりにんにくが効いており、まさに元気が出る鍋。とはいえ、味付けは塩こしょうのみなので、野菜や肉の旨みが引き立っています。シンプルゆえに食べ飽きることもなく、まかない料理として始まったのも納得です。
「美酒鍋」(1760円・税抜)は単品だけでなくコースでも注文可能
日本酒をたっぷり使っているものの、加熱しているのでアルコール感はほとんどありません。日本酒、塩、こしょうだけでいいので、自宅でも手軽に作れます。実際、賀茂鶴酒造のホームページでは美酒鍋に作り方が公開されているので、自分で挑戦してみるのもおすすめ。
塩味が濃くなったら酒を足すだけでOK。日本酒との相性は申し分なし!
佛蘭西屋では賀茂鶴の多彩な日本酒を飲めるので、気に入った日本酒は賀茂鶴酒造の見学室直売所に買いに行ってみては? 蔵だけで販売される原酒や純米吟醸酒もあるので、日本酒が好きな人はぜひ足を運んでみてください。
●SHOP INFO
店名:佛蘭西屋(ふらんすや)
住:広島県東広島市西条本町9-11
電:082-422-8008
営:【和食】11:30〜14:30(14:00LO)、17:00〜22:00(21:00LO)/【洋食】11:30〜14:30(14:00LO)、17:00〜21:00(20:00LO)
休:【和食】水曜、第1・2月曜/【洋食】木曜、第3・4月曜
http://www.france-ya.jp/
賀茂鶴酒造 https://www.kamotsuru.jp
●著者プロフィール
今西絢美
編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好きで、フードツーリズムマイスターの資格も持つ。
(c)TOKUMA SHOTEN@All Rights Reserved
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