「あやめ」と「しょうぶ」は何が違う?「かきつばた」は? ややこしい……【花にまつわる伝統色】
【菖蒲色(あやめいろ・しょうぶいろ)】とは、赤味がかった紫色のことを言います。日本の伝統色である【菖蒲色】にどのような由来があって、どのように愛されてきたのか、子どもにそのまま教えてあげられるよう、やさしい言葉で解説します。海外の方に英語で説明できるよう、英語での解説も紹介しています。
【菖蒲色】とは?
菖蒲色とは、菖蒲の花を思わせる赤みがかった紫色です。
色の名前 菖 蒲 色 読み方 あやめいろ・しょうぶいろ ayame-iro/shoubu-iro 英語 iris color WEBカラーコード #832e8a CMYK C=56/M=90/Y=0/K=5 RGB R=131/G=46/B=138
※色は環境等により見え方が異なります。各種カラーコードは絶対のものではなく、あくまで参考値です。
【菖蒲色】の意味と由来は?
【菖蒲色】は、初夏に咲く菖蒲(あやめ)の花の色から作られた赤みのある紫色の和名です。
「菖蒲」という漢字は、「あやめ」と「しょうぶ」という二つの読み方があります。どちらも同じものと思っている人も多いでしょう。しかし、この二つは違う植物で、「あやめ」はアヤメ科で、「しょうぶ」はサトイモ科に属しています。また、あやめに似た花は「花菖蒲(はなしょうぶ)」というまた違う植物なので、かなりややこしいですね。さらに似た花で「杜若(かきつばた)」があり、これも色名となっていますが、こちらは菖蒲色よりももっと赤みが強い紫色です。
菖蒲(あやめ)という呼び名は、見た目にも言葉の響きも美しいことから古い時代から愛されてきました。また、菖蒲(しょうぶ)の香りが高い葉は、端午の節句には菖蒲湯として、根は胃薬として重用されるなど、観賞用としてだけではなく、健康に役立つ植物として、暮らしの中でも愛用されていました。しかし、【菖蒲色】が染料として登場したのは、江戸時代など近代になってからと言われています。
【菖蒲色】に合う色は?
菖蒲色 あやめ いろ 曙 色 あけぼのいろ
【菖蒲色】に合う色のひとつに【曙色(あけぼのいろ)】があります。朝焼けを思わせるような曙の空から取られた色で、淡い黄赤色です。菖蒲色と合わせると、優しく柔らかな雰囲気を醸し出す色合いとなります。また、同じ紫系の【浅紫】や果実の色から取られた黄色の【檸檬色】などとの相性もいいです。
なお、着物の組み合わせを現す襲(かさね)の色目には、「菖蒲」と名前のつくものがいくつかあります。「菖蒲」は「表が青、裏が濃紅梅」、「破菖蒲」は「表が萌黄、裏が紅梅」など、菖蒲の花を表した配色になっていて、夏の着物に使われていました。
A traditional Japanese color “菖蒲 ayame or shoubu” is…
A traditional Japanese color “菖蒲 Ayame or Shobu” is the Japanese name for the reddish purple color of the iris flower that blooms in early summer.
The Chinese character for “菖蒲” can be read in two ways: “ayame” and “shobu”. They are two different plants. Ayame belongs to the Iris family, and Shobu belongs to the Taro family. Also, the flower that resembles the iris is called “花菖蒲 Hana-shobu,” which is a different plant, so it is quite complicated. There is also a similar flower called “杜若 Kaki-tsubata,” which is also a color name, but it is a more reddish purple than “菖蒲 Ayame” color.
The name “菖蒲 Ayame” has been loved since ancient times because of its beautiful appearance and the sound of the word. The fragrant leaves of the iris were used as iris baths during the Dragon Boat Festival, and the roots were valued as a stomachic. Iris was not only used as an ornamental plant, but was also used in our daily lives as a healthful plant. However, it is said that it was not until the modern era, such as the Edo period, that “菖蒲 Ayame” color appeared as a dye.
まとめ
【菖蒲色】は、「あやめいろ」と「しょうぶいろ」と二つの呼び名があるめずらしい色名です。しかも実際の花、植物としては違う種類のもので、少しややこしいとも言えます。ですが、色名としては古い時代から多くの人に愛されてきました。初夏になって菖蒲が咲く季節になったら、二つの花の違いを比べてみるのも楽しいでしょう。
(マイナビ子育て編集部)
参考文献・『色名がわかる辞典』(講談社)・『366日 日本の美しい色』(三才ブックス)・『くらしを彩る 日本の伝統色事典』(マイナビ)
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