「客のほとんどが中国人」 埼玉・西川口の「ガチ中華」に挑戦してみた結果
かつて歓楽街として隆盛を極めた西川口(埼玉県川口市)。「埼玉の歌舞伎町」とも言われるほどの街だったのも今や昔。
現在の西川口は新たなフェーズへと突入している。
そう、今の西川口は街のいたるところに中国料理や中国食品の店が並ぶ「チャイナタウン」として熱い視線を注がれているのだ。
聞くところによると、西川口にある中国料理店は「中国人向け」。つまり、日本ナイズされていない「ガチ中華」が楽しめるという。
ただ、あまりにもむ「ガチ」すぎるせいか、ツイッター上ではこんな意見も。
「なにやら美味しそうなものたくさんあるけど入りづらい」
「西川口の中華料理店、気になるんだけど雰囲気怖くもあって一人じゃ入りづらい」
確かに、あまりに異国情緒が強すぎると入りづらいと感じてしまうのは無理もない。しかし、それで美味しいものを食べ逃してしまうというのは勿体ない!
そこで筆者は、西川口の中国料理店でも、特に中国人からの人気が高い店を訪れてみることにした。
300種類の豊富なメニュー
今回、筆者がチョイスしたお店は西川口駅から徒歩3分ほどの場所にある「橋頭 私家菜(キョウトウ シカサイ)」だ。
「お客さんのほとんどが中国人です。週末にもなれば、色々なところから中国の方がいらっしゃいます」
4月27日、電話取材に応じた「橋頭 私家菜」の店長はそう語った。中国人の心をがっちりとつかんでいる——まさに今回の企画にピッタリの場所だ。
店長によると、同店では300種類もの豊富なメニューを取り揃えている。中国人といっても、出身地方によって食の好みも変わってくるため、人気のメニューもさまざま。
その中でも、この店ではないと日本では早々食べられないメニューがないかを聞くと、
「ヤナギマツタケの干鍋は珍しいでしょう。素材も中国から輸入して作っているんです」
と店長は答えた。
干鍋とは、汁気の少ない鍋料理のこと。四川料理の中でも比較的新しい料理なんだとか。そして、ヤナギマツタケという聞き慣れない食材は、ヤナギなどの広葉樹に発生するキノコだ。
店長のおススメを教えてもらった筆者は翌28日、さっそく店に向かった。
ヤナギマツタケの干鍋を食べてみた
こちらが店長から教えてもらったヤナギマツタケの干鍋だ。鉄製の鍋の下には固形燃料が置かれていて、アツアツの状態で食べられる。
運ばれてすぐ漂ってきたのは、食欲を誘う香ばしい香り。ヤナギマツタケのものだろうか。
鍋から取り分けてみるとマツタケとは似ても似つかない細長いフォルムをしている。噛み応えがあり、味はややアッサリめ。ただ、干鍋の味付けが辛くて濃いため、相性は抜群。
息の合ったコンビの巧みな漫才を楽しんでいるような絶妙なコンビネーションがたまらない......。
ヤナギマツタケのほかには、細かく刻んだ豚肉、にんにくの芽、玉ねぎといった日本人にも馴染みの食材が使われている。
持ち帰りもOK!
汁が赤く、唐辛子も入っていて見るからに辛そうな料理ではあるのだが、意外にそうでもない。舌を刺すような刺激的なものではなく、じんわりと口の中に辛さが広がり、身体を温めてくれる。
見た目が厳つい不良なのに、付き合ってみたら優しくて暖かい奴だった——そんなラブストーリーを想起するような感覚だ。
非常においしくて日本人の友達に勧めたくて仕方のない絶品だったのだが、1つだけ問題があった。今回、筆者は1人でヤナギマツタケの干鍋を食べたが、とにかく量が多い。
店員さんによると本来なら2〜3人で食べるのだそう。食べきれないときは声をかけてくれれば持ち帰りできる。筆者もお言葉に甘えて、残りは家で食べることにした。
今回の取材に訪れる前、店長からは「日本語の対応が難しいかも......」と言われていた。
しかし、実際に訪れてみると、店員さんは日本語も丁寧でフレンドリー。量が多くて、ひとりフードファイト状態になっていた筆者も気にかけてくれて、持ち帰りのことまで教えてくれた。
決して怖がったり、気が引けたりするようなこともなく、気持ちよく本格的な中国料理を味わえた。もし、読者の方に西川口のガチ中華に一歩踏み出せない人がいるのなら、臆することなく挑戦してほしい。きっと温かく迎え入れてくれるだろう!
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