緊急事態宣言下で幼児の歩数減少顕著に…3-5歳で最大6割減
リセマム2020年9月4日(金)12時45分
順天堂大学と花王による共同研究グループは、2020年4~5月の新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言下における幼児(1~5歳)の活動実態について、歩数の計測を中心に調査を実施。歩数減少は保護者より幼児に顕著にみられ、3~5歳では2~6割減少していたことがわかった。
緊急事態宣言が発出され「ステイホーム」が求められた4月以降、生活が大きく変化し、子どもたちの健康や体力への影響が心配されてきた。そこで、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の内藤久士研究科長・教授、鈴木宏哉先任准教授と、花王 サニタリー研究所、パーソナルヘルスケア研究所は、共同で両者の持つ知見を活用し、緊急事態宣言が幼児の活動にどのような影響を与えたかについて歩数計測を中心に調査・分析した。
研究では、親との関わり合いが多い就学前の幼児(1~5歳)とその保護者(母親)を対象に、緊急事態宣言により行動が限られた環境下での活動実態を調査。花王が保有するモニターパネルから首都圏在住の1~5歳の幼児とその保護者41組を対象に、歩数計による歩数計測、日誌記録(外出の有無、過ごした場所、通園の有無など)、アンケート回答を実施した。調査期間は5月1日~14日。歩数計測とアンケート調査を通して、親子の活動実態やそこで生じている課題を速やかに把握し、“新しい生活様式”に対応した解決の糸口を探ることを目指した。
調査期間中の幼児の1日あたり平均歩数は1~5歳で6,938歩、3~5歳で6,702歩という結果に。3~5歳の歩数は幼稚園や保育園に通園する平日に多い傾向があり、先行研究によると平日の平均歩数は9,686~1万5,278歩、休日の平均歩数は8,238~1万1,207歩。調査期間中は平日と休日の差はあまりみられず、3~5歳の歩数は先行研究に対して約2~6割減少。先行研究の平日と比較すると大幅減となっていることが明らかとなった。アンケートからも「子どもが運動不足になっている」という回答は多く、認識と一致する結果となった。一方、保護者の1日あたりの平均歩数は5,885歩で、花王が行った先行研究と比較すると約1~2割減にとどまり、大人よりも子どものほうが活動に対する影響を大きく受けていた。
調査期間中の歩数は外出の有無に影響されており、非外出時は1~2歳で約3割減、3~5歳で約4割減と大きな減少幅に。3~5歳だけでなく、先行研究が乏しかった1~2歳についても外出が制限されることが歩数減の大きな要因になったことが推察される。また、1~2歳の歩数は保護者の歩数に比例し、保護者の活動量が多いほうが子どもの歩数も増えていた。さらに、外出していないときに保護者が幼児の活動を促す工夫をすると、幼児の歩数が増える傾向がみられた。庭で思い切り遊ばせる、階段の昇り降りをする、トランポリンを導入、お父さんとかけっこ、一緒に体を動かす動画を見て遊ぶなど、保護者の少しの工夫が外出しづらいときに減少しがちな活動量を取り戻すきっかけとなっていた。
自由回答形式のアンケートからは活動量が減ったこと以外にも、「子どもの生活リズムが崩れている」51%、「子どもがストレスを感じている」49%との回答が約半数にのぼった。「以前より甘えや癇癪が増えた」「ストレスを感じて泣いてしまうことがある」「寝つきが悪くなった」などの影響がみられたという。また、子どもだけでなく、保護者自身もストレスを感じているという回答が多くみられた。
順天堂大学の研究グループは、運動不足による健康問題は成人・高齢者のみならず、特に心身の発育・発達が著しい幼児においても危惧されるとしながら、今回の調査結果から、いずれの年齢においても感染に気を付けながら体を動かす工夫をしたり、外出をするだけでも活動量(歩数)の低下は抑制できることが示されたとした。その反面、密を避けソーシャルディスタンスを保つことが今後しばらく続くことで、幼少期に必要な多様な経験の機会を奪ってしまう可能性を指摘。子どもたちの成長が妨げられないよう、量に加えて質を重視した運動の機会が持てるよう、さまざまな遊びのアイデアを活用しながら動きの多様性を培ってほしいとした。
遊びのアイデアについては、日本スポーツ協会アクティブ・チャイルド・プログラムのWebサイトや、スポーツ庁の「子供の運動あそび応援サイト」を紹介している。研究内容や参考文献などの詳細は、順天堂Webサイトの同研究リリースから見ることができる。
緊急事態宣言が発出され「ステイホーム」が求められた4月以降、生活が大きく変化し、子どもたちの健康や体力への影響が心配されてきた。そこで、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の内藤久士研究科長・教授、鈴木宏哉先任准教授と、花王 サニタリー研究所、パーソナルヘルスケア研究所は、共同で両者の持つ知見を活用し、緊急事態宣言が幼児の活動にどのような影響を与えたかについて歩数計測を中心に調査・分析した。
研究では、親との関わり合いが多い就学前の幼児(1~5歳)とその保護者(母親)を対象に、緊急事態宣言により行動が限られた環境下での活動実態を調査。花王が保有するモニターパネルから首都圏在住の1~5歳の幼児とその保護者41組を対象に、歩数計による歩数計測、日誌記録(外出の有無、過ごした場所、通園の有無など)、アンケート回答を実施した。調査期間は5月1日~14日。歩数計測とアンケート調査を通して、親子の活動実態やそこで生じている課題を速やかに把握し、“新しい生活様式”に対応した解決の糸口を探ることを目指した。
調査期間中の幼児の1日あたり平均歩数は1~5歳で6,938歩、3~5歳で6,702歩という結果に。3~5歳の歩数は幼稚園や保育園に通園する平日に多い傾向があり、先行研究によると平日の平均歩数は9,686~1万5,278歩、休日の平均歩数は8,238~1万1,207歩。調査期間中は平日と休日の差はあまりみられず、3~5歳の歩数は先行研究に対して約2~6割減少。先行研究の平日と比較すると大幅減となっていることが明らかとなった。アンケートからも「子どもが運動不足になっている」という回答は多く、認識と一致する結果となった。一方、保護者の1日あたりの平均歩数は5,885歩で、花王が行った先行研究と比較すると約1~2割減にとどまり、大人よりも子どものほうが活動に対する影響を大きく受けていた。
調査期間中の歩数は外出の有無に影響されており、非外出時は1~2歳で約3割減、3~5歳で約4割減と大きな減少幅に。3~5歳だけでなく、先行研究が乏しかった1~2歳についても外出が制限されることが歩数減の大きな要因になったことが推察される。また、1~2歳の歩数は保護者の歩数に比例し、保護者の活動量が多いほうが子どもの歩数も増えていた。さらに、外出していないときに保護者が幼児の活動を促す工夫をすると、幼児の歩数が増える傾向がみられた。庭で思い切り遊ばせる、階段の昇り降りをする、トランポリンを導入、お父さんとかけっこ、一緒に体を動かす動画を見て遊ぶなど、保護者の少しの工夫が外出しづらいときに減少しがちな活動量を取り戻すきっかけとなっていた。
自由回答形式のアンケートからは活動量が減ったこと以外にも、「子どもの生活リズムが崩れている」51%、「子どもがストレスを感じている」49%との回答が約半数にのぼった。「以前より甘えや癇癪が増えた」「ストレスを感じて泣いてしまうことがある」「寝つきが悪くなった」などの影響がみられたという。また、子どもだけでなく、保護者自身もストレスを感じているという回答が多くみられた。
順天堂大学の研究グループは、運動不足による健康問題は成人・高齢者のみならず、特に心身の発育・発達が著しい幼児においても危惧されるとしながら、今回の調査結果から、いずれの年齢においても感染に気を付けながら体を動かす工夫をしたり、外出をするだけでも活動量(歩数)の低下は抑制できることが示されたとした。その反面、密を避けソーシャルディスタンスを保つことが今後しばらく続くことで、幼少期に必要な多様な経験の機会を奪ってしまう可能性を指摘。子どもたちの成長が妨げられないよう、量に加えて質を重視した運動の機会が持てるよう、さまざまな遊びのアイデアを活用しながら動きの多様性を培ってほしいとした。
遊びのアイデアについては、日本スポーツ協会アクティブ・チャイルド・プログラムのWebサイトや、スポーツ庁の「子供の運動あそび応援サイト」を紹介している。研究内容や参考文献などの詳細は、順天堂Webサイトの同研究リリースから見ることができる。
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