「ラッセンおじさん」芸人・永野の正体は最強のロック野郎
初めての著書『僕はロックなんか聴いてきた~ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!~』(リットーミュージック)が話題になっているピン芸人の永野。彼はこの本の中で独断と偏見を交えて自分の好きなロックミュージックについて語っている。つかみどころのない孤高の芸風を貫く永野は、ロックからどんな影響を受けてきたのだろうか。
※ 「ニルヴァーナに憧れて人生間違った!?」永野が真意を明かした前編はコチラ!
■馴染めない、努力しない、ドラマもない
――永野さんの「居場所がない」という話を聞いて思い出したのが、本に書かれていた生い立ちの話です。幼稚園から中学までは一貫制の品の良い感じの学校に通っていて、高校でいきなりヤンキーが大勢いるようなところに通うようになって。永野さんはどちらにも馴染めなかったんですよね。
永野 そうなんですよ、それを今回初めて書いたんです。中学まではずっと落ちこぼれで、でもヤンキーにもなれなくて。高校に入ったら、周りにヤンキーがいっぱいいたんですけど、それも下品で嫌だなと思っていて。その感覚がずっと残っているから、お笑いをやっている中でもなんか天邪鬼なところがあるんです。
――ずっと周りとは何かが違うという感覚があったんですね。
永野 最初はそのことを誇らしく思っていたんですよ。でも、今はマジで嫌だなって思います。嫌なんですけど、酒を飲んでごまかしたりできるから助かってます。何でも笑ってくれる後輩が4~5人いて、そいつらに「すごいですね」とか言ってもらっているので。
この本を書いてみて、自分のことがわかったのは良かったです。貧乏だった人が努力して夢をつかんだ、とかだったら支持されるじゃないですか。でも、僕の場合、こいつを見ても誰も感動しないな、って。
――引っかかるところがない、ということですか?
永野 もともといい学校に通っていて、本人の努力不足で不良の学校に行って、高校卒業してからは親の金で専門学校に行って。身一つで東京に出てくるとかいうドラマが1個もないから、こんなやつは応援できないですよね。
――最初に上京したときも母親が付き添っていて、CDを買ってもらったんですよね。
永野 そうです。ナイン・インチ・ネイルズという猟奇的なバンドの『ブロークン』というEPを買ってもらいました。殺人事件の現場をスタジオにしてレコーディングされたものなんです。中学生のときにも、セックス・ピストルズの写真集を母親に買ってもらってますからね。そういうのは万引きしろよ! なんで母親に買ってもらってるんだよ! って自分でも思います。
――ただ、あまりいないタイプですよね。
永野 僕と同じように特にドラマもなく、何にも馴染めなかったっていう人は、ひょっとしたら僕を見て安心するかもしれないですよね。よく誤解されるんですけど、僕はすごく不遇だったからこういう芸風になったとかじゃないんです。普通に毎日ご飯食べてましたからね。
――そんなに苦労はしていないと。
永野 僕の場合、全部本人が悪いという話なんですよね。不遇の時代があったとか、ウソを話したことはありますよ。相手が喜ぶかなと思って。でも実際は、お金がないときも働くのが嫌でほとんどバイトもしていなかったけど、友達の家に行ってご飯食べたりしていて、お腹は満たされていたんですよね。
たしかに、お笑いを始めてから売れるまではずっと不遇と言えば不遇なんですけど、それは自分が悪いだけなんですよね。人に何かされたわけでもなく、ただ自分の努力が足りなかった。地元で仲良かった友達とかも、ろくでもないやつしかいないですからね。
――永野さんはYouTubeで「映画『稲村ジェーン』が面白かった」という話をされていましたね。世間では駄作という声も多いんですけど、永野さんにとっては何もしてない若者のダラダラした生活が描かれているのがリアルだったという。
永野 あれは逆張りでも何でもなく、本当に感動しちゃったんです。高校生の頃に映画館で見たんですけど、そのときはよくわからなかったんです。でも、いま見たらめっちゃ感動したんです。本当に何にもない青春なんですよ。それで、自分の若いときのことを思い出しました。
地元に水産会社の社長の息子がいて、そいつがなぜかいつも会うたびに500円くれたんです。だから毎日500円持ってひたすらゲーセンに行ってました。そのうちにゲーセンに行くことにも飽きちゃって、ずっとビリヤードをしていました。当時19か20ぐらいで、その生活が絶対に良くないのは知っていて、お笑いはやりたかったから気持ちは焦っていたんだけど、何もできなかったんです。そのときの自分と全く一緒だと思ったから、『稲村ジェーン』は刺さりまくりました。その頃の友達は本当にろくでもないですよ。
――なるほど……。
■「感動させない」こと
永野 今の社会では「これだけがんばったからこれだけ報われた」っていう話が求められてるじゃないですか。僕がニルヴァーナとかのロックを好きなのは、努力とかじゃなく、ただ才能がすごかったからあれだけ行った、っていう感じがするところなんですよね。カート・コバーンとか、どう考えても性格悪いですからね。でも、そういう人が好きなんです。
僕も自分の本を読み返して、我ながらろくなやつじゃないなと思うんですけど、そんなやつにしてはがんばった方じゃないかな、というのもあります。反成功、反社会、反充実みたいな、人生をどこまで捨てられるかみたいな感じでやってきて、歳とってだんだんヤバいなと思い始めていたけれど、ラッセンのネタで行ったから、危ねえ、助かった、みたいな。
――今はお笑いでも賞レースに向けて芸人が一生懸命練習したり努力したりするところを見せるし、受け手の側もそれを見たがりますよね。
永野 そう、見たがるんですよ。だから、僕みたいに「そんなの見たくねえよ」って言うのはディストピアなんです。(僕と同じ感覚の人は)誰もいなかったんですよ。それどころか、みんな熱く語っちゃうじゃないですか。昔の人は誰もそんなことしなかったのに。
――お笑いの世界も、永野さんが始めた頃とは変わっていますよね。
永野 もう、美学みたいなものがないじゃないですか。あの頃は練習しているところなんて誰にも見せなかったし、平気なふりして舞台に立っていた。でも今は普通にネタ合わせとかするんでしょう。ようやるわ、恥ずかしくないのかな、と思うけど。
カート・コバーンも「俺はビートルズの曲の全部のパターンがわかった」とか言って、苦労なんかせずに曲なんて簡単に作れるっていう感じを出していたんです。いま考えたら絶対ウソなんですよ。
――そんなわけないですよね(笑)。
永野 そう、そんなわけないのに。カート・コバーンがパール・ジャムの悪口を言ってたのも、いま考えたらパフォーマンスなんですよ。でも、それが面白かったんですよね。今はすぐに「実は仲がいい」みたいなのを出しちゃうじゃないですか。そういう時代なんでしょうけどね。
――永野さんは「ラッセン」のネタでブレークしたときに、もともとファンだった人からは嫌われたと書かれていましたね。それはどうしてなんですか?
永野 あれも天邪鬼なんですけど、ニルヴァーナの真似なんですよね。ちょっと売れた後に彼らは「インディーズ界の嫌われ者です」とか言っていたので、その非情な感じが格好良いなと思っちゃって。
本当なら、売れる前にもともと一緒にライブに出ていたような芸人と写真を撮ったりすればいいんですよ。それは「win-win」になるじゃないですか。こっちはいい人に見えるし、そいつらは名前が出るし。
でも、僕はカート・コバーンの真似をして、仕事で会っただけのよく知らないモデルとばっかり写真を撮っていたんです。そんなの誰が見ても嫌じゃないですか。お笑いファンも感動が見たいのに。
だから、僕はロックから「感動させない」ということも学んだんです。ロックってスポーツじゃないから感動しないもんな。カート・コバーンが自殺したのも、ヘロインとかやっていて、自分のせいじゃないですか。
――自分が悪いんだろう、と。
永野 お前が悪いんだろう、って。あれがやっぱり最高ですよね。そういうドライな感じがいいんですよね。今は世の中がウェットすぎて「褒めてちょうだい」みたいな顔したやつしか歩いてないじゃないですか。
――今はみんな「エモい」とかが好きですよね。
永野 別にエモくなくていいよ。みんなが「認めてほしい」とか考えすぎて、心がおかしくなってるんじゃないですか。別にドライでいいじゃん、いい酒飲めればいいじゃん、って思いますけどね。もちろん僕も人だから、褒められたいという気持ちはありますよ。でも、お前らほどじゃねえよ、って思います。
〜つづく〜
※ 「老害上等」気持ち悪い現代社会を永野が一喝する後編(15日16時に配信予定)はコチラ!
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